M83『Hurry Up,We’re Dreaming』
《フランス・アンティーブ出身のアンソニー・ゴンサレスによるエレクトロ/ロック・プロジェクト。2001年に活動を開始し、同年にアルバム『M83』を発表。浮遊感が漂うメランコリックなメロディと、広がりのある轟音ギター・サウンドを響かせ、フランス発のエレクトロ・シューゲイザーとして話題となる。05年には『ビフォアー・ザ・ドーン・ヒールズ・アス』を日本リリースし、クラブ/ロック・シーンから好評をもって迎えられた。アンビエントやドリーム・ポップへのアプローチも積極的で、多彩な音楽性を持った逸材として注目を集めている。》~CDジャーナルより~前作『SATURDAYS=YOUTH』は2008年のマイベストアルバムNo.2にしたほどのお気に入り盤でした。エレクトロ・シューゲイザーだけれども甘酸っぱい青春音像を描き出した世界観にゾッコン惚れましたです。新作『Hurry Up,We’re Dreaming』も凄く期待しました。2枚組というボリュームに圧倒された。『SATURDAYS=YOUTH』を発展させたコンセプトアルバムの様相ですね。ジャケットに少年少女のフォトを使用するのも、前作と一緒。少年少女の持っている純朴な夢や、傷つきやすい繊細な感情をエレクトロ・シューゲイザーで描き出すという方法論にこだわりがあるのだろう。アンビエントな空間に埋没することもなく、メランコリックで感傷的な気分に誘ってくれるのには、本当に感動してしまいます。壮大感は間違いなく『SATURDAYS=YOUTH』よりも増している。それは豪快なビートを強調している事に表れていると思います。エレクトロ・シューゲイザー系ではヴォーカルをないがしろにしているようなアーティストも見受けますが、M83はしっかりとメロディーを歌い上げている所が素晴らしい。音楽の核にメロディーがあって、取り囲むサウンドはメランコリックに盛り上げるという。特にバラード系に顕著で、オーケストラアレンジを導入しチルドレンコーラスも取り込んだ「Splendor」なんか本当に素敵です。アンソニー・ゴンサレスの声も好みなんですね。線は細く男っぽいタイプではないけど、弱々しい所が好き。耽美にコーラスを被せるところなんか、センスなんだろうけどフランスらしくてエレガントでお洒落です。「Midnight City」は『SPIN』誌が選ぶ今年の20曲の中の12位にランクされていますね。「Wait」も名曲。ゆったりとした流れの中にもキーボード・プログラミングの高揚感があります。序盤のエフェクトをたっぷり掛けられたスキット風ヴォーカルとアコースティックギターとの絡みが素敵すぎる。「Soon,My Friend」にしてもリードに加えてバックグラウンドもアンソニー・ゴンサレスがヴォーカルを担当。歌に対する力の入れ具合は相当なものだと思います。これも傑作にて名盤。フジロック’09では見逃しているので、今度来日したら絶対に行きます!きりっ(^^)/M83/Hurry Up We're Dreaming