7月17日は昭和を代表するスター石原裕次郎さんの命日にあたる。ご存命なら90歳。
石原裕次郎さんは、1987年(昭和六十二年)7月に、52歳でこの世を去った。青山斎場で行われた葬儀には、3万人を超す人々が献花に訪れ、その光景を見たとあるお年寄りは「大正天皇の時よりすごい人出」と評したという。上空には「永遠 に裕ちゃん」と書かれた飛行船が飛んだ・・・。
彼が本格的に映画デビューしたのは、一九五六年(昭和三十一年)七月公開の「狂った果実」である。その前年、兄慎太郎さんの小説『太陽の季節』が芥川賞を受賞、刺激的で退廃的ともいえるインモラルな若者たちの姿を描いた作品は、世に大きなセンセーションを巻き起こした。その映画化が縁で、裕次郎さんは映画俳優の道に進んだ。
そして裕次郎さん登場は、映画界の二枚目スターの概念を根底から覆した。都会的で、精惇な足の長いスポーツマン・タイプの若者が標的となり、それまでの美青年タイプは影が薄くなってしまった。それは映画の傾向をも変え、アクション映画が各社の企画の主流となっていった。