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テーマ:時代小説がダイスキ(438)
カテゴリ:羽駈羽駈旅行記
【二つ名に請われ残暑の御神牛】
『鬼平犯科帳』に〔寝牛の鍋蔵〕という盗人が登場する。 ネットでおつき合いいただいている“ちゅうすけさん”のHP「盗人探索日録」 に 茨城県出身の盗賊も紹介されていて、この〔寝牛の鍋蔵〕もその一人。 ちゅうすけさんやお仲間のたゆまぬ探索の結果、現在の水海道市ではないかというところに落ち着いた。 好奇心に駆られ、比較的近くということで出かけていった。 鬱蒼とした雑木林に囲まれた天満宮には誰もいなくて、ただただ、蝉の声だけが社域全体に降り注いでいる。 菅原道真公の伝説があるという社殿には、たくさんのお札が並んでいた。 おみくじをひく。末吉。微妙だ(笑) 【夕立の雨は見るみるはれ行きてこずえ涼しくせみのなくなり】 こんな歌があった。下句はまさに今の状況。 「天保二年」と刻まれた常夜燈のすぐわきに、真新しい牛の像が堂々と横たわっている。 牛の頭をなでながら 「盗人の呼び名に使われてるよ」 と、教えてあげた。余計なお世話か(笑) 周囲は、早くも穂を垂れた稲が一面に広がる田んぼ、田んぼ、田んぼ。 当時は、貧しい農家がほとんどで、盗人にでもならなければ、食えない人々も多かったのかもしれない。或はこの鍋蔵、生まれついてのワルガキで、田畑を耕すだけの生活に、満足できなかっただけなのだろうか。 こうして小説に登場する架空の人物を追ってみるのは、史実をたぐって当時を学ぶものとは、また違った楽しみがあるものだ。 頼るは自らの想像力のみ。 木々のざわめきと蝉時雨のただ中に立っていると、のっそりと現われた鍋蔵が不敵な笑いを浮かべて、私を見ているような気になってくる。ちょっと涼しくなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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