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テーマ:旅の写真(3471)
カテゴリ:羽駈羽駈旅行記
紅葉前線が南下している。私の住む町では、道路の並木「花水木」が赤く染まり、晩秋の感を色濃くしてきてはいるが、銀杏やかえでなどは、まだまだ。 そんな時、群馬の友人から嬉しいお誘い。 「いい温泉を見つけたから遊びにおいで~♪」 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くふった」 川端康成の『雪国』でのあまりにも有名な冒頭の文だ。もっともこちらは鉄道でのお話だけれど、私たちは国道17号線を走り、三国トンネルを抜けると、そこは美しい紅葉の山国であった。 目指すは「貝掛(かいかけ)温泉」。苗場スキー場を過ぎ、みつまたスキー場も通りすぎ、ほどなく左へと道をとる。狭い坂を下ると川のせせらぎが聞えてきて、車幅ぎりぎりの橋を渡ると、見事な紅葉の中に、重厚な庄屋造りの建物が見えてくる。ここが貝掛温泉唯一の宿だ。立ち寄り湯としても知られているらしく、日曜日ということもあって、だいぶ山の中に入り込んでいるにもかかわらず、駐車場はいっぱいだ。 道路際の紅葉と、雪が覆う前の苗場スキー場 受付をすませ、さっそく浴場へと向う。内湯が二つと露天風呂。ひんやりとした外気が体を包み、急いでお湯に入る。無色透明でわりと温めのお湯だ。出たり浸かったりを繰り返して長湯をするにはもってこいのお風呂だ。すぐそばを流れるせせらぎを聞きながら、“錦秋”という言葉がぴったりの山々を眺めながら、時がとまったような感覚にひたる。ここには「日常」のかけらもなく、別世界に身を委ね、毛穴が全開するような気分(^^) 岩魚の塩焼きや炊き合わせなどの食事も楽しみ、気のおけない友人とともに、贅沢な時間を過ごした。 帰る頃には、小雨模様になった。抜けるような青空と紅葉のコントラストも素晴らしいが、小雨に煙る山の景色もしっとりと落ち着いた風情がありいいものだ。 音楽や文学など、人の心を癒してくれるものはたくさんあるが、こうした大自然の営みの中にいると、体が透明になり、心がさらけ出され、きれいに浄化されていくような気がする。天地に守られ、周囲の空気と一体となったような心地よさ。やはり人間も自然の一部として、この世界に存在しているのだなあ、としみじみと感じる。 日頃、背負っているもの、まとっているものを、一時とはいえ、すべて我が身からはがして過ごす時をもてる、こんな幸福感を味わえる喜び。なにもかもに感謝をした。 玄関前に、あじさいが在った。咲いているという表現がそぐわない雰囲気で、なんとも渋い佇まいで、ただそこ在る。鮮やかな紅葉の中で、ただただ自分で在ることを主張しているような、静かな存在感を漂わせていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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