日本経済とバタフライ効果
今、アメリカに帰るJAL便を待って、成田空港のJALのラウンジで、いつものとおり、朝からワインを飲んでいます(笑) 日本滞在、11日間、あっと言うまでした。 まあ、親の状態が状態なんで、この10日間のうち4日は、両親の居る老人ホームへ行っていましたし、あとの4日はとうぜん仕事だったので、あまり個人的なことはするヒマもありませんでした。 そうこうしているうちに、日本がTPP論議でゆれている間に、欧州危機がだんだん拡大の様相を呈し、世界経済危機の懸念が高まっています。 すでにギリシャから始まり、イタリア、スペイン、ベルギーが危険水準に近づき、その影響で、フランスなども国債金利が上昇(つまり値下がり)、ドイツまで、募集した国債の6割しか買い手がつかなかった状態となり、もうヨーロッパは総崩れですね。 ここまで行くと、アメリカも対岸の火事ではすまず、株式は暴落、FRBの取った経済立て直し策も効果を上げられず、という悪循環にはまっています。 経済と言うのは、昔は、決定論的な経済理論が主流だった頃は、原因がはっきりわかれば結果は予想できる、という前提に立っていました。 現代物理学がそうであるように、最初の位置と初速がわかれば、どこにいつ落ちるかわかる、という考え方です。 ところが、カオス理論が、このような決定論的な論理が通用しないものがあることを証明し、よく言われるバタフライ効果ということが盛んに言われるようになりました。経済も、カオス理論の延長である複雑系のシステムの最たるものなので、世界のどこかで誰かがくしゃみをしたら、地球の反対側の国の銀行がつぶれる、という世界です。 むずかしく考えることはなく、単に「予測不可能なほど複雑なことはある」というだけです(笑) つまり、経済学者が昔どおりに、これがこうなって、あればああなったから、結果はこうなる、といろいろ予想するんですが、そんな予想は「当たらない」ということです。 複雑系の科学を経済に適用することによって、これを解決できるかのごとく言われた時期もありましたが、それからもう10年以上経っていてもなんの実効的な解決策を提示できていないところから考えると、これも難しいんでしょう。 個人的には、この「複雑系」の中に「個人の思惑」と「人間の欲」がある限り、予想を確定するのは原理的に不可能だ、と思っています。 なぜならば、予想が確定したと思ったら、その裏をかこう、と意図する人間が必ずでるわけですから。 それが「人間」でしょう。 さて、そんな複雑系の世界。 欧州の風邪が重態になったら、日本の健康状態はどこまで影響されるんでしょうか・・・・。