「アメリカン・ドリーム」の終焉
誰もが認めるように、アメリカという国の凋落傾向は、いろいろな面であきらかになりつつある。 まだITや新技術分野では圧倒的な力を持っているものの、これらは一部の、それも海外からの移民を含めて、圧倒的に層の厚い「人材」に依っているところが大だ。 一方で、この「凋落傾向」が一番如実に現れているのが、中流以下の米国民の生活、および生活実感であろうか。 先日、「増え続けるフードスタンプの受給者」と言う記事(下記)があり、「生活保護」という、日本の最低限のセイフティーネットに相当する、食糧配給券の記事があった。 ⇒ http://xbrand.yahoo.co.jp/category/lifestyle/4622/1.html (リンクはコメント欄) そして、今日は、「米国民は、富裕層増税案支持か?」と言う記事で、一昔前の米国民と、今の米国民の意識の差を報道していた。 この記事の表題に関しては、昔は、一般の米国人でもいつかは成功するという「アメリカン・ドリーム」を持ち続け、そのために富裕層への増税には消極的だったのが、今は、ほとんどのアメリカ人はそういった希望をなくし、だからこそ、富裕層への増税支持に回りつつある、という内容。 しかし、逆の意味で、私が驚いたのは、そこに掲げられたアンケート結果で、アンケート対象者の「79%」は、将来「一億円」以上の資産を持つことはないと「諦めている」というもの・・・・・ これを逆に読めば、残りの「21%」は、「未だに」将来一億円以上の資産を形成できる、と思っている、ということだ。 上で「諦めつつある」と書いたが、数字を見る限り、この21%もの人がまだまだ成功の希望を持っている、と受け取れるのではないか、と。 この数字が高いか低いかは、まあ比較の問題なのだが、上に引用したフードスタンプの受給者を始め、米国の低所得者層は現在激増しつつあり、その生活レベルも年々下降している。 ある別な記事では、アメリカ人のうち70%以上が、もし急に$1000の出費に迫られたらその捻出に頭を悩ませる、と書かれていた。 この「頭を悩ます」の中には「銀行預金や株などの金融商品を解約して」というのは入っていない。 これらは「悩む」の中に入っていないのだ。 ここでいう「悩む」は、「人から借金する」「家財を売る」「ローンを払わない」あるいは「クレジットカードで前借りする」などの、非常手段をとらざるを得ない、ということであり、中には、それさえ出来ない人も(例えばクレジットカードの上限が$1000もない、など)多い。 急に8万円の出費を迫られた時に、こういった状況にはまる日本人はどれくらい居るだろうか? 当然何割かの人は、相当困るだろうけれど、70%以上も居るとは思えないがどうだろう? こういった状況での、上記の21%の人がまだミリオネアになれる、と考えている、とうのだから、米国人は相当楽観的なのか、まだ「アメリカ・ドリーム」という幻を追っているのか、そんな感じがした記事でした。