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カテゴリ:面白おかしい話
毎日毎日、『寒い!』と文句ばっかりの私。
今日は絶対に仕事場から出ないぞ!と決めていたのだが・・・ どうしても印刷しなければいけない書類が。 しかし、運悪くインク切れ。 しかも、『インクが切れそう』ではなく、『全然あらへん!』という感じ。 仕方ない。文具店へ行かなければ・・・ 意を決した私は、厚手のジャケットを着、手袋をはめ、自転車に乗る。 が、しかし。 歩けばよかった!と、漕ぎ始めてから後悔する。 とにかく、向かい風がすごい! ただでさえ自転車操縦術をつい最近やっと習得した私なのに、 こうゆらゆら揺らされたら危ない、危ない。 まるで酔っ払い運転よ、これじゃ。 赤信号。 片足を地面に着け、肩を丸めて待つ私。 とにかく寒い。寒いのだ! すると、一台の自転車が私の隣に。 チラッと見ると、乗ってる人は白髪のおじいさん。 しかも、ヒゲも真っ白。 そして、黒縁メガネをかけている。 おお!これぞ、和製版カーネル・サンダースなり! 長すぎる赤信号。 カーネルじいさんにまた目をやる。 『へ~!このおじいさん、すごいやん!マウンテンバイク乗ってるで!』と密かに感心。 しかも・・・ ショッキングピンクにライムグリーンのストライプの入った長スパッツを履いている。 シューズは、黒のコンバース。 『なんでバスケシューズやねん!』と突っ込みたい気持ちを抑え、上半身に目をやる。 カーネルじいさんはグレーの薄っぺらいフリースしか着ていない。 マフラーもなし、帽子もなし。 しかも・・・ ノー手袋。素手なのだ! 信号は依然と赤のまま。 行き交う自動車の騒音に囲まれる中、ふとあるメロディーが聞こえてくる。 "I was dancing with my darling to the Tennessee Waltz...♪" え~っ!? カーネルじいさん、鼻歌歌ってる! それも演歌とかじゃなく、『テネシー・ワルツ』だし。 それに英語で歌ってるし!!!発音も結構オッケーよ!!! って・・・ そんなことどうでもいいけど、この人寒くないのか!? ようやく信号は青に。 カーネルじいさんは姿勢を正し、疾風の如く交差点を渡る。 呆気に取られている私には目もくれず。 もちろん、鼻歌を歌いながら。 その背中を目で追う私は、感動に似た感覚にとらわれる。 あのおじいさん笑ってるよ、この寒い日に。 しかも歌ってるよ、風に吹かれながら。 カーネルじいさん、若いよ!若過ぎる!すごいよ、すご過ぎる! BRAVO!!!!! が・・・ちょっと待てよ。 府に落ちないぞ。 だって・・・ 本当に『若い』のは私ではないか!!! その私が『寒い、寒い』と猫のように体を丸め、眉間に縦ジワ入れててどうする!?! がんばれ、若者!がんばれ、abimeg!!! 慌ててペダルを漕ぎ出す私。 よ~し!カーネルじいさんには負けんぞ! それに、寒さにだって、ビュービュー吹く風にだって負けない! どんなに寒くても・・・ せめて、背筋はビシッとしよう! そして、私も鼻歌を歌いましょう! そしたら、気分も晴れるでしょう~!!! 『る~るる、るるる~♪今日もいい天気~♪』 しかし、まあ。 真っ先に口から出る歌が、『サザエさん』なのは何故!?(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年12月19日 23時17分48秒
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