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私は、小説が書けない

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カテゴリ:仕事の話

ただいまです。昨日、無事に帰ってまいりました。
あまりにも内容が濃く、そしてすごく思い出深い2日間だった。
緊張あり~の、驚きあり~の、充実感あり~の!
たったの2日だけど、おそらく書き始めると非常に長くなってしまうこと
間違いなしだから、2回に分けてつづろうと思う(と言っても、前編も長いけどね・・・)

残念ながら、ブログ上では団体名や関わった人達など、事細かに話せない。
しかし、書ける範囲でお話しさせてくださいね。


さて、今回の仕事。
前にブログ上では、簡単に“会議通訳”と書いたけど。
実は、某団体の大会が開催されていて、
そこで開会式(初日)と祝賀会(翌日)で司会者の通訳をする・・・
これが、仕事の内容。

・・・のはず、だった。

しかし、初日。
到着後すぐ、リハーサルのため現場へ直行。
そこで私を待ち受けていたのは、超特大急の“爆弾”。

開会式の担当者が、「はい、司会者の方。マイクテストしま~す。どうぞ!」
が、しかし。辺りを見渡しても、司会者に該当する人はいない。
えっ!?まさか・・・
恐る恐る担当者の方を見ると、ニコニコして私を見ているではないか!

なんと!司会者は、私となっていたのだ!

「いや、私。司会者の通訳として来たのですが・・・」と答える私。
「でも、abimegさんだと伺っております」と返す担当者。

モゾモゾする私。
「もう、時間がないんだから。早く!」と言わんばかりにイライラとする担当者。
この人と議論しても、らちが明かないので、「ちょっと確認してみます」と
私はエージェント(この仕事をゲットしてくれた派遣元)に電話を入れた。

すると、エージェントは、こんなことを言うではないか!
「弊社の段取りが悪く、十分に説明できてなくてごめんなさい。
でも、これは国際大会で、共通語は英語なのです。
だから、行事などすべて英語で執り行われるのです。」

はい?
そんなイイワケ、通用するはずないじゃないの!
これ、あなたの大きなミスなんだからね!

しかし、エージェントは続ける:
「でも、abimegさんなら大丈夫ですよ。英語で司会をお願いします。」

ダチョウ倶楽部の「聞いてないよ~!」がこれほどまでに、
私の人生で大きな意味を成すとは、この時初めて実感した。

いや、ねぇ。通訳なら、それは私の仕事なのだから。
主催者側からクレームがもし来たとしても、責任持てるけど。
でも司会なんて!私、プロの司会者じゃないし!
英語が話せるからといって、誰でも司会できるなんてあり得ないし!
もし後で文句言われても、責任取れないよ~!

その旨をエージェントに必死で伝えると、
「分かります、お気持ち本当に分かります」と。

しかも、泣きそうな声になっている。
あのですね。泣きたいのは、私なんですけどぉ。
現場で困っているのは、あなたじゃなくて、この私なんだから!

「弊社の説明不足でごめんなさい。でも・・・」

はい、はい。でも、仕方ないのでしょ?
だって代わりの人を探す時間、もうないのだし。
とりあえず、頑張ってくれってことでしょ?

私が事前に聞かされていた内容は、次の通り:
これは、大きな大会。アジア各国のお偉いビジネスマンが集まる。
そこで司会者の通訳をする・・・以上。

この情報を聞いただけでも、心臓バクバクで、胃が痛くなるほど緊張していた。
でも、これをモノにできれば、飛躍できる!キャリアを積める!と期待もしていたのだ。

しかし、それは、あくまでも“通訳”としての範囲内の話。
仕事の主旨が違うと知った今、私はただただ愕然とするしかなかったのだ。

「時間がないんです。リハーサル、始めましょう!」と担当者。
「本当に申し訳ない。でも、きっと。大丈夫ですよ!」と電話口のエージェント。

あれほど、「ピンチは、チャンス!」と豪語していたのに・・・
私が今まで考えていた“ピンチ”など、想定内の話に過ぎなかった。
想定外の“ピンチ”に直面した時、自分のもろさを思い知らされた。
前向きになんて・・・ なれない。
素直に、「これは、チャンスよ!」なんて・・・ 思えない。
私は、ただの情けない人間になっていたのだ。

しかし、同時に。腹をくくることにした。
それは、“ピンチは、チャンス!”という肯定的な根拠に基づいているのではなく、
むしろ降参してしまったからなのだ。
仕方がない、どうすることもできない」との哀れな理由ゆえに・・・

「お待たせして、すみません。よろしくお願いします。」
極度の緊張と、それ以上の不安にかられつつ、

担当者が待つステージへと、歩み寄った。

本当に、“ピンチはチャンス”なのだろうか。
そんなことを考える余裕すら、私にはなかったのだ。

(後編に、続く)






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最終更新日  2006年05月29日 22時19分35秒
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