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私は、小説が書けない

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カテゴリ:生徒君の話

夏の終わりとは言え、残暑が未だ厳しい本日の午後。
関西国際空港から、一人の青年が旅立った。
彼を乗せた飛行機は、太平洋を越え、
日付変更線をまたぎ、アメリカという大陸を目指す。

日本からは毎年のように、大勢の若者が世界各国へ旅立って行く。
ショートステイだったり、ワーホリだったり。
本格的な留学が目的の者も少なくはない。
だから、たかが一人の青年がアメリカで一年を過ごすことなど、
別に特別なことでもなければ、驚くようなことでもない。

が、しかし。生徒君(カテゴリ参照)の場合は少し違う。
彼は、真面目過ぎて、人一倍の心配性。
これまでずっと、新しいことにチャレンジするよりは、現状維持を貫いてきた。
だからこそ、“留学”という二文字は、それこそ彼にとって
人生を左右するほど大きな決断ではなかったかと思う。

出発の3日前。
生徒君から、悲痛な声で連絡があった:
「持って行くものが多すぎて、スーツケースが閉まりません!」
「じゃあ、何か減らしたら?」
「だって、必要なものばかりだもの。」
「例えば?」
「歯ブラシとか・・・」
「なんで、歯ブラシ持って行くの?向こうで買えばいいやん!」
「サイズが合わなかったら、困るから。」
「一体、何本持って行くの?」
「毎月1本使う計算で、12本。」
「・・・(苦笑)・・・」

最後の最後まで、誰も想定しないことまで心配し続けていた彼。
しかも、レンジでチンできるご飯や麦茶パックを1年分持って行くと言い出す始末。
さすがに私は、これに待ったをかけた:
「いい加減にしなさい!北極に行くワケじゃないんだから。
現地ではまず、現地の食生活に親しみなさい!
それに和食が恋しくなっても、あっちでは幾らでも日本食レストランがあるでしょ!」
さて、最終的にどうしたのだろうか?(笑)

出発の2日前。
生徒君は、「最後のアドバイスお願いします」と聞いてきた。
私には、何が言えるのだろうか?
言えることは、一つだけ。だから私は、心を込めて、こう告げた:
「何があっても、もう心配したらアカンよ。
心配な気持ちになったら、『大丈夫、大丈夫!』と自分に言い聞かせること。
とにかく、楽しんできて!いっぱい、いっぱい楽しんでね!」

出発日当日の今日。
一通のメールが彼から届いた:
「短い間でしたが、本当にありがとうございます。じゃあ、行ってきます!」
単文であったが、それはとても元気と期待に溢れたものだった。

日本時間の明日未明、生徒君は西海岸のワシントン州シアトルに到着する。
そして、彼の一年に渡る長期留学生活が始まるのだ・・・

*********************************************************
今年の2月から、生徒君のお話を何度かこのブログで紹介してきました。
とりあえず、これで最後になります。
私は、彼からあまり連絡が来ないことを願っています。
なぜなら、連絡がないほうが、現地で楽しい生活を送っているという証拠だから。
生徒君は、私がブログに彼のことを綴っていたとは知りません。
今は見せようとは思いません。一年後、一回り大きくなって帰ってきた時に、
見せてあげようかな~ぁ。それか、もっと後に・・・(笑)
兎にも角にも、一年後が楽しみです!!






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最終更新日  2006年09月05日 22時58分33秒
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