私は、小説が書けない

今日街で、プチびっくりなおばさんを見た。
自転車に乗って、日傘を差して、タバコを吸っていた。

はい、もう一度。
自転車に乗って、日傘を差して、タバコを吸っていた！

このプチびっくり度、伝わりましたか？？

念のため、もう少し詳しくご説明しませぅ。
つまり、このおばさんは自転車を漕ぎながら、
右手で日傘を差し、左手に火がついたタバコを持っていたのだ。

自転車を漕いでいるのだから、両足は勿論ペダルに。
日傘を差しているのだから、右手はハンドルにまったく触れていない。
辛うじて、タバコを持っている左手を軽くハンドルにそえているだけ。

そして、時折。
タバコを吸うために、その左手を口元へ持ってゆく。
しかも、ゆっくりと。
その間、両手ともハンドルから離れた状態だが、
自転車を漕ぐ一定のペースは崩れない。

すごいなぁ・・・

と、小さな驚きを感じながら、同時に疑問が２つほど。
まず、1つ目：
そこまでしてタバコを吸わねばならない理由は？
（ってか、そんなちょっとした時間ですら我慢できなかったのぉ～？）
そして、２つ目：
吸い終わった吸殻はどうする？
（ポイ捨てする気じゃないでしょうねぇ～？）

何はともあれ、曲芸に近いことをサラッとやってくれるじゃないの！

でもね、後もうちょい！もう一つなのよ。
プラスアルファの何かが足りない。

例えば、その状態から立ち漕ぎし出すとか、
ポンとサドルに飛び乗るとか・・・

後もう一つ「オッ！」と驚かせてくれる要素が加われば！

きっと。
中国雑技団からスカウトされるかも！？
少なくとも、木下大サーカスからお声がかかるかも！？

あっ、でも。やっぱり無理かもしれない。
なぜなら、すごいことはすごいんだけど、中国雑技団は
もっとアンビリーバボーなことをする連中なので、
団員ならこんなこと寝ながらできるかもしれない。
そして、木下大サーカスも諦めるべし。
だって、サーカスってそもそも子供のためにあるものだから、
タバコ吸ってちゃクレーム殺到すること間違いなしだ。

では、このおばさんが活躍する場は、どこ？
結局、普通の街のなんの変哲もない普通の日常の中、
私のような通行人を驚かせることなのかもしれない。

それでも、普通の街のなんの変哲もない普通の日常の中、
普通の一般人である私にとって、このような小さなサプライズは・・・

道端で１００円玉を見つけた時のささやかな幸福感に通ずるものかもしれない。
いや、待てよ。５００円玉ぐらいかも！？