出張ではいつも私だけのお部屋を頂いています。どんなにヘボイ安宿でも、必ず一人の部屋を。これは当然のことだと思います。けれど、この度。私はこれまでのお仕事人生で初の「相部屋」を経験することになりました。
今回のお仕事はとあるスポーツイベントで、現場は山奥の小さな町。そのエリアにある宿泊施設は温泉旅館のみ。通訳は私一人だけだったのだが、スタッフなどの関係者数がとても多かったので、「一人につき一部屋」なんてことをしてたら、皆の部屋を確保できないという理由で「相部屋」となりました。
とは言え、私がこのことを知ったのは、現場入りしてからのこと。「今日はお一人でお泊り頂きますが、明日からはお部屋にスタッフの女子が2名加わります。よろしいでしょうか?」はぁ?「よろしいでしょうか?」って、何やねん!そんなこと聞いてなかったやん!知らん人と相部屋になるなんて、ある意味気持ちの準備がいることなんやから、先に言ってくれや!と、内心プンプン状態だったけど、ここは建前上、「全然構わないですよ」とにこやかに返答。
「せめて、初日は一人で良かったわ・・・」と思いつつ、第一日目の仕事を終えて、宿泊先に到着したワタクシ。さて、この旅館。外観がとても立派だったので、期待感MAXだったのだけど、通されたお部屋は旧館の一室。新館と旧館で、ここまで落差がある宿なんて!正直、驚きました。部屋自体はボロボロ。何がボロボロって、もうすべてがボロボロ!しかも、入室5分以内に、カメムシ2匹を捕獲しました。さらに、ゴッキーちゃんが冷蔵庫の裏から飛び出してきたのを逃さずダイビングキャッチ~!まあ、そんなお部屋だったけど、贅沢言ってもしょうがない。これは遊びではなく、出張なのだ。部屋のドアと窓さえちゃんと閉まり、セキュリティー上問題なければ、私はそれで全然平気なのだから・・・と、思ったのも束の間。ドアも窓も、ガタガタでしたからっ!一応どちらとも鍵は付いているのだけれど、「飾り?」と疑ってしまうほどお粗末。こんなちゃっちい作りの鍵ならば、へナチョコこんにゃく人間の私でも楽に破って侵入できること間違いナッシング。ということで、初日の夜は、「怖いよ~、不安だよ~」とおびえながら(ちょい大げさ・・・笑)眠りにつきました。
そんなワケで、翌朝を迎える頃には、自然と「相部屋」が楽しみに。その日は第2日目だったので、前日と同じようなお仕事が一日中続きました。そして夕方頃には、その夜から部屋をシェアする女性スタッフ2名と対面。一人は私より4~5歳年下で、もう一人は少し上のお姉さん。自己紹介を簡単に済ませた後、ある共通点が発覚。なんと!3人とも、タイガースファンだったのだ!
嗚呼、タイガース魂というものは・・・
なんて神秘なパワーに満ちているのでしょう
お互いが虎党と知るやいなや、私達は急速に仲良しになりました。その仲良し具合と言ったら、周りの人がビックリ仰天するほど。「君たち、ほんの数日しか過ごしていないのに、まるで昔からの親友みたいだね」と皆から驚かれました。イベントでのお仕事自体では絡むことはなかったのだけど、仕事が終わってから一緒に食事に行ったり、温泉を楽しんだり(温泉旅館だったからね)、部屋に戻ってビールを飲みながらうだうだと阪神への愛を語ったり、その他いろんなことをお喋りしました。勿論、3人ともかなりの睡眠不足の数日間を過ごしたワケだけど、仕事に支障が出なかったのでオーライでしょう(笑)。
最後の日。帰らなきゃいけない時には寂しい気持ちに。幸い、3人とも住まいは関西で電車で行き来できる距離だから、近いうちに大阪で飲みに行く約束を交わしました。また、日本海へドライブ計画も立てちゃったりなんかして(笑)。
こんなこと書いていると、まるで私は誰とでもすぐに仲良くなれるように思われちゃうけど。実際、そうではありません。私って案外、人見知りなのです。ただ、私が最も苦手なのは、「沈黙」と「絶句」。だから初めて会う人にはできるだけ話そうと努力するけど、内心はドキドキで顔は強張っているかもしれない。また、どれだけこちらから話題を投げても、反応があまり見られなかったら途中で諦めてしまいます。しかし、今回の2人はすぐに心を開いてくれたし、私のことを知ろうとしてくれたので、こんな短期間でもスムーズに友情を育むことができました。そして、そのきっかけは、勿論・・・
タイガース!阪神って、さすがだわっ!虎党なら誰でも分かることだけど、タイガース魂ってただ野球やチームを愛する精神だけでなく、人と人との心を繋ぐきっかけを作ってくれる不思議な力。いや、大げさでも何でもなく、本当に。とにかく、偉大なチームに感謝!(来年は、勝てよ~!おい!・・・笑)