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私は、小説が書けない

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劇場公開は2年ほど前だから、新作ではないんだけど。この映画、好き。ものすごく!

ぶっちゃけ、ストーリーとしてはイマイチと感じました。ごめんね、偉そうに。でも、これが私の正直な意見だから、ゆるちて(笑)。3分の1ぐらい観て、「こういう結末になるんだろうなぁ」と思いきや。ずばり、そういうエンディングでした(笑)。だから吉原が舞台の物語を楽しみたければ、映画じゃないけど、松井今朝子さんの小説「吉原手引草」のほうがずっとお勧め。

では、何故?今日ご紹介する映画を私がこれほど大絶賛してんのか?ずばり、「アートな映画」だからです。

とは言え、私には絵心もなければ、芸術をたしなむ感覚もありません。あいにく、そういうセンスはゼロです。例えば世界的な美術作品を観ても、頭の中がハテナ印で埋まっちゃうこと多々あり。まあ、口では「そうよね、ここのこういうところがスンバラスィ~♪」って一応同調しちゃったりするチキンな私ですが(笑)。実は、内心。「なんで私には分からんのやろ?」と焦ってるのさ。

でも、そういう「ゲイジュツって何ですか?」の私に対し、この映画はそっと示唆してくれました。

いや~、もう。色彩美に圧巻!セットの色と言い、役者の衣装や化粧と言い。超ドギツイ。ゴテゴテのハデハデ。なんの断りもなく、視覚に土足でドカドカと踏み込まれる感じ。なのに、どうして?こんなに心地良く、魅了されちゃうのだろう。気がつくと、歓声を上げたり、溜息をつく自分を発見。監督さん(蜷川実花さんなんだけどね)の色使いのセンスには、「参りました・・・」としか言いようがありません。

ただ、乗っ取られるのは、何も目だけじゃない。耳も!この映画で、椎名林檎が音楽監督に初めてトライしたってことなんだけど。彼女の何事にもとらわれないスタンスが見事に功を奏しました。ロックあり~の、ジャズあり~の、ポップスあり~の、タンゴあり~の!一応、江戸時代が舞台の映画なのに、そんなこともうどうだっていい。ジャンルも時空も越えた林檎ちゃんの音楽、そして彼女特有の魂を削るような歌い方に聴覚を支配されちゃう。でも、これもまた。何故か心地良い。

と言うことで、「アート」だの「ゲイジュツ」だの。未だそっち系には疎いワタクシですが。美術作品を前にし、焦りながら周りと同調するこれまでの自分ではなく、今の私ならこのような映画を観続けたい。そういう形で、「芸術」との対面を果たしたい。むしろ、「芸術」とかそういう呼び名さえも、取るに足りないことで。頭じゃなくて、理屈じゃなくて。誰に勧められたワケでもなく。ただ感覚を支配されても良いような、それほどの衝撃。それが、もしかして私にとって一番しっくりとくるのかも。

ちなみに、この映画のタイトルは「さくらん」です。冒頭の写真ですぐに分かったと思うけど、念のため。

そして、これも念のため言っとくけど。一応、内容が内容なので。良い子のみんなは、大人になるまで待ちましょう。また、心がまだボーイやガールの方は、精神的に成長するまで待ちましょうね(笑)。






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最終更新日  2009年12月12日 01時51分13秒
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