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カテゴリ:和全般
前回に続いて、北斎展の見物記です。
((東京国立博物館 平成館 12/4(日)まで) 長蛇の列を経て、いよいよ北斎展の会場に入場です・・! それにしても改めて、北斎の力量とパワーに圧倒されます。 そもそも、平均寿命が50年くらいの江戸時代において、90歳まで傑作を生み出し続けたということ自体も、並はずれてスゴイと思うのですが・・! 自由自在の軽妙洒脱な筆致は、20歳頃の画壇デビューの浮世絵や役者絵から、すでにその片鱗が伺われます。 とにかく、着物の文様や髪の毛の一本一本、背景や建物など、よくもここまでと思ってしまうほど、ものすごく細かく描き込まれているのです。 遠近法の広がりのある風景、髪の生え際の微細な線、流れるような衣服の線、背景の人や動物もユーモラスな動作、などなど・・・。 面白すぎて一枚一枚思わず丹念に見入ってしまうのですよね。 役者絵でも、荒事を描いたものは、豪快なパワーが漲っていて、「荒事らしい力強さ」が画面いっぱいに表現されているのです。 やっぱり力のある人の作品というのは、黎明期から違いますねー。 人の足を留めさせ、観る人を作品にぐいぐい引き込んでしまうのだから。。 それにしても北斎の画家としての全方位マルチぶりに改めて驚かされます。 浮世絵、役者絵から伝統的な日本画まで、絵の対象も美人画、人物(北斎漫画)、動物、植物、風景、・・・・どれをとっても秀逸です。 力の入った美人画には、我知らず魅了されてしまい、動けません。 衣裳の文様から、傘の質感まで、見事です。 北斎の描く鳥は、独特のギョロ目をしています。 応挙の描く孔雀なんかと心の中で思わず対比してしまう。 しかしそれぞれの鳥の羽の質感がすごくリアル。 私はとりわけ蛇の表現がすごいなと思いました。 蛇の恐ろしさ怪しさが、おどろおどろしく表現されていて、釘付けになってしまう。。 植物や魚介類など、若沖のルーツはここにあり!?と思ってしまいました。 (海鼠(!)を描いた扇面なんかもあった。。) あるいは黒雲煙る中からおどろおどろしく垣間見える、龍の細く尖った爪の恐ろしさ・・! 雷神図など、雷鳴轟く黒雲の中に浮かぶ龍というモチーフは、宗達に始まり光琳、抱一、と連綿と受け継がれ描かれてきた図柄です(風神雷神図)。 しかし、龍の身体を描かずに黒雲の中からちらりと爪だけを覗かせることで、却って不気味さを醸成する、北斎の独特の手法に唸らされました。 そして、北斎漫画に代表される、ユーモラスな人物の仕草と表情!(>泰斗期) 風景画の中で立ち働く人々、往来する人々が活き活きと躍動しています。 お化けシリーズもお茶目で楽しい♪ はたまた、風景画などに見られる今見ても斬新な構図! 「神奈川沖浪裏」は、版画でも実物はやはりすごい迫力!(>為一期) あまたの風景画のなかでも、やはり秀逸の傑作という感じがします。 しかるに、私が最も印象に残っているのは、晩年の頃の肉筆画帳の4枚です。(>画狂老人卍期) 蛙、蛇、桜と紙包み・・粋を洗い上げた極地という感の、美と粋の境地に到達している感じがしました。 もとい、言い得て妙の「画狂人」やら「画狂老人卍」などという画号に、そのセンスが集約されているとも言えましょう。 とにもかくにも画狂人の想像を絶する画業は、質量ともに我々凡人はとても咀嚼しきれるものではありません。 この人は、ほんとにただもう心から絵が好きで好きで、生涯楽しみながら絵を探究し続けたのだなぁ~~と改めてしみじみと思わせられました。 芸術家としての真髄ですね・・! できればリピートして2回くらい足を運び、じっくり鑑賞したいところ。 私もこうして復習してサイトの絵を見ていたら、またムラムラと観に行きたくなってしまいました。。。 **参考** ほぼ日刊イトイ新聞の、キューレターの永田氏のインタビューがとても面白い! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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