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The holy place of a seed~種の聖地~

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2007/12/15
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※はじめに、この作品は残酷な描写が多いです。
そのため、一部の方に不快感を与える恐れがあります。
ですので、耐性がない方は見るのをご遠慮ください('A`;)
ちなみに、指定的にはR15ぐらいを設定してます。
それでは、本編をお楽しみください。



プロローグ「戦線記録報告・新種遭遇報告書」


○帝国軍・東南アジア第八番国際坑路 第15回間引き戦線記録。
提出先:日本帝国 帝国軍情報部・アグリネス生体研究班・志色機関
詳細:映像記録は帝国陸軍 第29連隊・連隊長 蒼代 夕緋(アオシロ・ユウヒ)中佐から回収。
残された音声テープから新型種の現れた形跡を確認。
蒼代 夕緋中佐から事情聴取を試みようとしたところ、間引き戦線中に下腹部周囲の損傷を負い、代替臓器を移植をしたところ拒否反応が発生。
急遽特別病院へ移送されたということが判った。
関係者に事情聴取を聞いたところ、精神的な負荷が掛かったことによる、ショック症状のようなものだと判明。
拒否反応臓器移植手術後、心身ともに衰弱が激しいために事情聴取は困難と判断し、安定するまで当分見送りとする。
約一ヵ月後に行った事情聴取を行い、新種についての情報は収集完了した。

(注)これを元に作られた報告記録は、データとして添付する。


─────。


それは本当に唐突だった。
突然、激しい地震が起こったのだ。

それによって地割れが発生し、その亀裂に歩兵部隊と第一種(汎用型)外戦装甲部隊を収容し

た大型移送車の大半が消えて行った。

私を含めた一部の機体はすぐさま回避行動によって跳躍して危機を免れたが、それ以外の特概

機と第二種(支援型)外戦装甲部隊の殆どはバランスを崩し、地面の亀裂に呑まれていく。

その光景は大津波に飲み込まれているようだった。
大きな岩石によって機体の頭部が押し潰され、頑強な装甲は亀裂に挟まれて変形していく。

それから30秒程すると、地震は治まった。

私が地面に着地すると、それに従い他の機体たちも地面へと着地する。

「おい、だいじょ……」
『アアアアアアアァァァァ───!!』


広域通信回線を開いた途端、ノイズに交じった彼らの悲鳴が響いた。

思わず私は眼を逸らした。
一瞬だけ視界に映ったコックピット内部の状況は、見るにおぞましい物だったからだ。

内部を映すカメラには皹が入り、血がこびり付いている。
操兵を守るために上から覆う形に装着されている保護装甲が、地面に押し潰されたときに仇と

なって彼らの身体を圧迫する。
さらにはモニターの画面を覆うガラスが割れ、眼に突き刺さったりしていたりなどしていた。

幾ら仲間達の死に慣れているとはいえ、一瞬でここまでの被害を被ったのは初めてだった。
意識が呆然として、操縦桿を掴む腕が震える。

そして……


(しっかりしないか、蒼代夕緋!!)

恐怖に捕われそうになる自分に喝を入れる。

そうだ、しっかりしなければ。
私は一体誰だ、蒼代夕緋?

そうだ、誇り高き帝国軍特別武導隊・黒衣隊の出身であろう。
隊を導く身であるなら、最善の行動を取らないか。

その時、丁度良いタイミングで司令部からの通信が入ってくる。

『こちらHQからランサー1。 こちらのレーダーで大半の兵のロストを確認。
一体何が起こったのかを報告せよ。』
「こちら、ランサー1! 作戦行動中に地震発生。
その時に発生した地割れにより、歩兵大隊の大半が地面に飲み込まれてロスト。
さらに外戦装甲大隊と特概機大隊の半数近くが行動不能状態。
怪我人も多数いる模様。
救援部隊此方に回すよう手配をお願いする!!」
『こちらHQ。 そちらにあと20分ほどで救助部隊がそちらに到着する。
ランサー連隊は、周囲を警戒しつつ、救助活動に入れ。』
「こちら、ランサー1。 了解。 急を要するため出来るだけ早く……」

『ヒィィィ……! ア、アグリネスだ!!』
「!!」

突如、広域回線によって響く悲鳴。
それに素早く反応して、通信が来た方向へとメインカメラを向ける。

──そこには、割れた地面の隙間から這い上がる、見るもおぞましい醜悪な生物が人を蹂躙す

る姿があった。

(アグリネスがこんなときに!?)

それは予想だにしていなかった展開だった。
ここはまだアグリネスの出現圏内から遥かに離れていたからだ。

「各隊、迎撃開始!! 味方への誤射を控えろ!!」
【了解──!!】
「特概機部隊は、フィールドの展開を急げ!!」

私の号令の元、了解の返事と共に戦場に弾丸が飛び交っていく。

私も、自分の機体──準第四世代 65式改 駿河──の左手が掴んでいる、60ミリ突撃機関砲が

アグリネスの群れを迎撃する。

巨大な蜘蛛のような生物や、巨大な腕を振るう生物など、様々な種類の群れを吹き飛ばし、死

屍累々と死体が積み上がっていく。
しかし、救助活動を同時に行っている手前、どうしても狙えない箇所から敵が侵攻していく。

■■■■■■■■■■──!!

聞くもおぞましい叫び声と共に、アグリネスの一体──ボクサー級と呼ばれる種──がその強

靭な拳を振り下ろす。

「えいっ!!」

右手で、右背部武装ラックに差し込まれた第七式長異刀<神凪>を引き抜き、トリガーを引く



その瞬間、第七式長異刀<神凪>の刀身……とは言い難い二つに並んだ棒が、紫電を放ちなが

ら互いに逆向きに回転を始め、それをボクサー級の腕に合わせて振りかぶる。

バシュッ!

水風船が弾けるような音と共に、ボクサー級の腕が消し飛び、敵の身体は大きく仰け反る形に

なる。

「死ね!」

それに追い討ちをかけるべく、機関砲を敵の頭部に発射し、敵を撃破する。
そして、すぐさま突撃銃を他の敵のいる方向へと向け、発射する。

「ランサー1からセレス大隊(支援型外戦装甲部隊)は救助支援中隊に歩兵部隊の救出をさせ

ろ!! グランツ大隊(特概機部隊)の一個中隊は救助支援中隊の援護!!
戦闘不可能機体は機体からパージ完了後、救助支援の援護に回れ!!
怪我人は無理してでもいいから無事なトレーラーに押し込め!!」
【了解!!】
「特概機部隊……グランツ1、フィールドの形成はまだか!?」
『こちら、グランツ1! 粒子を幾ら分布してもフィールド形成が出来ません!!』
「!! ……判った、では引き続き、迎撃を続けろ。
『了解!』

その返事を確認と同時、すぐさまHQへと繋ぐ。

「こちらランサー1!! HQ、聞こえるか!?
現在、敵と交戦中!! 救助部隊だけではなく最低でも特概機二個大隊をこちらに送ってくれ!

!」
『こちらHQ……通信……が悪………もう一……』
「だから敵と遭遇したのだと───」

ブツ───。
無情にも、無機質な音が耳に入る。

「くそ、通信が途絶したか!! ランサー1からランサー2……京麻!! 聞こえるか!?」

私の横で単分子ナイフを両手に携え、敵に斬りかかる一機の駿河へと通信を入れる。

『おい、一体どうしたんだ夕緋……!』

画面の端に、一人の男が小さく表示される。

男の駿河は、十字に合わせたナイフでボクサー級の首を切り落とし、ナイフを収容して突撃銃

を取り出しながら返事に応える。

「通信状況が突然悪くなって司令部との連絡が途絶えた!!
お前はラージ小隊を率いて、至急後方の方に下がって救助要請を伝えてきてくれ!!」
『なっ、本当なのかよ──。
判った……ラージ小隊を連れて行って来るが……俺が此処を離れても大丈夫か?」
「ふっ、誰に物を言っているんだ? 私が誰だか言ってみろ?」
『ははは、黒衣隊出身の奴に言う台詞じゃないな……』
「ふ、理解できたなら別に良いさ、さぁ、急いで行って来い!」
『判っ──おい、避けろ夕緋ぃぃ!!!!』
「えっ……? きゃあああ……!!」

激しい衝撃が走る。

一体、何が起きたのか理解できなかった。
気が付けば、自分の機体が横倒しになっており、京麻の機体から次第に離れていくのが見える



「なっ、一体何……!?」

操縦桿を強く握り、前後左右に動かすが機体は動くことは無い。
メインカメラを操作し、自分の機体を見てみる。

そこには、両手両足に絡みついた灰色の触手があった。
謎の触手は、私の機体の四肢の動きを止め、どこかへ引きずっていき、そして止まる。

そして、そこには白い長い口が現れた。



後半へ続く。





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最終更新日  2007/12/16 12:23:24 AM
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