Dreamy afternoon cafe

私の父は、商売人になるのが夢だったようで、終戦後、高校を卒業すると当時暮らしていた北九州の八幡から大阪の本町に丁稚（でっち）として住み込みで商売の勉強にやってきていわゆる修行をし、数年後には福岡の小都市で衣料品店を営み、私はその二男として生まれ育ったわけです。

幼いころから夕食時になると父の晩酌をしているそばに座っては、父の丁稚時代の話やその他商売の話など子供ながらに興味を持っていて、毎日のように父の話を聞くのが好きでした。

それは、幼い時に始まった習慣でしたが高校を卒業して大学の寄宿舎にいる時ですら、たまに帰省した時には、やはり、父と酒を飲みながら話をするのが好きでした。

そうしたことが影響していたのか、２０代の頃の私は、『苦労は買ってでもする』ことが年を重ねたときの自分の役に立つのだと信じて疑いませんでした。　父の背中を見て育ったことの影響だと思いますが。　

高校生のころから貿易がやりたくて、当時オリベッティ社のバレンタインという名の赤いタイプライターを買ってきて一人でタイピングの練習をしていたものです。

大学の寮でも、夜中にぱちぱちとタイプをたたく音を立てていたので、きっと当時の僚友たちは迷惑をしていただろうと思います。　その罪滅ぼしに、英語の試験の山をかけては模擬問題をそのタイプライターで叩いて作って同級生や後輩に渡していました。
ひょっとしたら、それが今、塾を天職としてやっている源となっていたのかもしれませんが。　先日のブログで試験の山をかけることについても触れましたが、多くはこのころ養われたものです。

その頃、タイプ教本の基本通りに練習をしたおかげで、今でも何の苦労もなく相当の高速でブラインドタッチタイピングができています。貿易には英語が必要だと思って英語も独学で勉強していました。　当時、リンガフォンのテープ教材を買ってきて、その流れてくるアメリカ英語の音に惚れ込んで、ぶつぶつと独り言のようにして繰り返し練習していました。

貿易商社に入社してからも、たいがいのことは辛いなどと思うことなく受け入れることができましたし、徹夜の仕事ですら平気でやっていました。　

これを書きながら思い出しましたが、あるとき、翌朝までに仕上げる必要のあった仕事を仕上げるために会社に残って仕事をしていると、朝方の４時ごろテレックス（今でいう電子メール）が入り、誰だろうと思って文面を読むと、スペインのバルセロナの顧客からの引き合い（取引に関する話）でした。　

日本とスペインの時差は７時間ですから、先方は前日の夜の９時、急ぎの内容だったのですぐに国際電話をかけてその場でbooking(契約)に結びつけたこともあります。　さすがに相手も日本が翌朝の４時だとわかっていますから驚いていましたが。

しかし、その頃は、そんなことも平気でこなしていました。
＜つづく～To be continued~＞

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