英語嫌いにさせない
高校1年のCちゃんは、去年と今年と2年続けてスピーチコンテストの全国大会に出場した子で、これまた英語大好きであることは言うまでもありません。今日は来週からの期末試験で準動詞(分詞、動名詞、不定詞)が文法の範囲とのことだったので、じゃあそれをやろうということで、本人が学校ですっきりしなかった部分を聞いて、文法用語の堅苦しさを取り外して単純化しながら取り組み始めました。 といっても決してプリント学習的なことや問題集をやるようなことはしません。 例文を参考にしながら、一緒に考えていくのです。 最初は誰もが高校時代にやった「分詞構文」です。 これは基本が分かれば多少変化してもほとんど理解してくれたのですが、「否定疑問文」という日本人にとって「わけわからん」と投げ出してしまいそうなやつをやりました。なぜ「わけ分からん」と思う人が多いかというと、例えば、教科書にはIsn't he a doctor? (彼は医者ではないのですか) と聞かれて、Yes,he is.(いいえ、医者です)と書かれているのです。Yesなのに「いいえ???」ということになるからです。この場合、変に日本語で説明するからかえって分からなくなるのだと私は思っています。要は、医者である(○)なのか、医者でない(X)なのかで判断すればいいのです。事実が○ならばYesだし、XならばNoとなるだけだと単純に感じた方がよさそうです。彼が医者として存在しているのかを聞いているので、存在していればすなわち彼が医者ならば、Yes,he is. となり、医者でなければNo,he's not. となると感じればいいと思うのです。英語を忠実に日本語にしようとすることは、場合によっては英語の発想の本質から外れることになると思います。だから、Isn't he a doctor? 自体を「彼は医者じゃないんですか?」と考えずに、「彼は医者なの医者じゃないの?」と考えれば、Yes,he is.(医者だよ)で済むのにね。Yes,he is.(いいえ、医者だよ)、No,he's not.(はい、医者ではありません)なんてやるから「わけわからん」ということになり、英語嫌いを増やす原因になっているような気がしてなりません。と、ここまで書き進めてみて「なんとおろかなことを書き始めてしまったのか!」と自責の念に駆られてきました。正直いって、私はこんなわけの分からん尋ね方で尋ねるようなことはしません。だって、返事されてもしばらく真空状態が起こるに決まっているからです。コミュニケーションとしての英語の観点からすれば、やはり「意思を通じ合わせるための言葉」を使うべきでしょうから、知識として知っていることはいいことですが、自分も相手も誤解を招く可能性のある言葉は極力会話では避けるべきだと思います。だって、英語を嫌いになりたくないし、嫌いになる人を増やしたくもないですから。 (文法学者の方からは怒られそうですが...)で、結局、その子は、私の説明に納得してくれて「す~とした」と言ってました。 英語嫌いにさせないことも大切なことだと思うのです。