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カテゴリ:エレクトーンと格闘
今日は,エレクトーンの発表会でした。
私は性懲りもなくばあちゃんに付き合ってエレクトーンを習い続けているのです。練習は普段全然できないので,毎週1回教室で弾くだけですけど,85歳のばあちゃんが続けているので送迎係も兼ねて続けています。 今回の発表会は,ばあちゃんが思ったように仕上がらなくて,データのリズムと演奏がずれると直前になって騒いでいました。ずれることはいつものことなのですが,今回は足まで入れるはずが入れられなかった上,イントロと間奏を最後に練習したのでメインの部分とうまくつながらないというのです。 うまくいかないというのであれば,出演をやめるかといえばさにあらず。「もう覚悟を決めたから」と言って,ちゃんと弾く気でいるのでした。このあたり,仕上がりそうになかったらキャンセルしてしまう私とは違います。できないのがわかっていても敢えて披露しようという度胸の決め方はなかなか真似ができません。 そして,本番の演奏です。参加者は大人ばかり。「大人のオータムコンサート」というのですが,真夏顔負けの暑さの中でのコンサートです。いろいろな年代の方がいらっしゃいましたが,どう見ても85歳のばあちゃんが最年長のようでした。教室のご配慮で,ばあちゃんと私はいつも並びの演奏順です。今日はばあちゃんが4番で私が5番目でした。ばあちゃんは,名前を呼ばれるとさっさとエレクトーンの準備をして弾き始めました。確かにリズムと遅れたり早くなったりしていましたが,みんなが心配して見守る中,どうも気に入らなかったらしく3分の1くらい弾いたところで止めたのです。 ばあちゃんが発表会で演奏を止めることは割とよくあるのでその瞬間は驚きませんでした。でも,今日は演奏を止めた後の演奏開始後すぐに止めるというのを3回繰り返したのです。私はもちろんドキドキしていましたが,会場の皆さんも「ばあちゃんどうした!がんばれ!」というムードに包まれました。日本の皆さんは年寄りにとても優しいのでありがたいです。司会のお兄さんは,手を差し伸べて「どうぞ演奏してください」というゼスチャーをばあちゃんに送っています。さすがのばあちゃんも一体どうするのか,滅茶苦茶ドキドキしながら見ていました。 するとばあちゃんは,また最初から弾き始めたのです。曲は「木綿のハンカチーフ」。ハーモニカのメロディーラインが素敵なアレンジなのですが,それが多少走ったりモタったりしながらイントロからすべり出し,間奏から繰り返し部分を過ぎてなんとかエンディングまでたどり着いたのでした。演奏中,司会のお兄さんはマイクを握りしめながら一生懸命リズムを取って応援してくれていました。会場のお客さんたちも演奏が終わると「うんうん,よくやったよくやった」という感じで頷きながら拍手してくれました。私は,次が自分の出番だということを忘れてほっとしていました。 真似できないわー。ステージで演奏が止まった後,何度スベっても懲りずに演奏して最後に帳尻が合うなんて。よく続けて弾けたなー。ピアノの演奏に比べればエレクトーンははるかに演奏時間が短くて,ばあちゃんは弾き直しても5分くらいの時間ですが,空白の時間中,私は何か声をかけなければいけないか,助けに行くべきだろうかなどと考えてしまいました。担当の先生もいろいろ考えたようですが,ばあちゃんが弾き始めたので見守ったようでした。 ばあちゃんのすぐ後に続いた自分の演奏も,ばあちゃんのことで緊張しているのか自信がなくて緊張しているのか何で緊張しているのかもよくわからないくらい緊張しましたが,右手が震えながらもとにかく終えてどっと疲れました。まだコロナの名残で発表会で歌を歌うことはできないので弾くだけ弾いてきましたが,来年は少しでも歌えると良いなあ,とちょっと思いました。 上手な人はたくさんいましたが,今日の発表会で一番目立っていたのはまちがいなくばあちゃんだと思います。ばあちゃんは,「やっぱりずれちゃったあ!」とか言いながらゴキゲンで,皆さんに「上手だった」と言われながら喜んでいるのでした。 どうやったらこういう境地に至れるのでしょうか。年さえ取ればこんな風になるのかなあ。「ちゃんとやろう!」という気持ちだけ強くて,見栄はあるようなないような感じなので,確かに子どもに戻っている部分があるのかもしれません。でも,自分がやったことに満足しているばあちゃんを見るとそれはそれで良かったと思うのでした。「また来年も出てくださいね!」と教室のスタッフの方や先生に言われたばあちゃんは「来年は足も付けて弾きます。」とか自信ありげに言っているのでした。めでたし,めでたし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年09月16日 15時51分33秒
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