連載おとぎ話-「僕は前衛」その2
正月が明け、出社日だというのにテツロウは大熱をだしてしまった。伽のできない満子は不満げであった。枕元にコンビニおにぎりを残し、パート先である「セーイユー」へ行ってしまった。「うううう」テツロウは夢うつつであった。吐き気で、起きあがりもできなかった。耳鳴りがした。「「おーるうぃぃーあーせいぃぃんぐ」」「何????」「「ぎーぃぃぴーすあちゃぁぁぁんす」」「ピーマン???」力強く鋭い声が脳を駆けめぐった。<起きろ>「いやだ」<起きろ>「いやだ」<たちあがれ>「もう起ってるよ」<それじゃなく、君自身の使命を果たせ>「今日は会社なんか出たくないよ」<会社なんかいかなくてもいい、それを果たせば君は有名人だ>鈴木ひろみつのような丸い眼鏡をかけた男がテツロウに叫んでいるあまりのリアルさにテツロウは起きあがった「誰だい???」しかしそこには誰もいなかった枕元には丸いふちの眼鏡があった。「満子のか??」妻の満子のものにしては縁が大きい。男性用だ。おそるおそるテツロウはそれをはめた。「デユワッツ」ビデオで見たウルトラセブンの変身シーンのように体が変化した。「ひぃぃぃぃぃぃ」セーイユーから帰ってきた「満子」が腰を抜かしたそこにはあの男が立っていた。