カテゴリ:思い出
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人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 英語じゃない英語(?)を信じ切った じいちゃん <Revival> 中学に入った頃……(……だったと思う) 夏の朝……休みの日。だいぶ早く……起きた。 じいちゃんが丁度、井戸端に向かう所……。 いつものように洗面器を持って……手拭いを肩に掛けて、 ……セッタで……スタスタスタ……。 釣る瓶で水を汲み上げて……ザヴァーンと洗面器に溢れさせる。 ブリキの大きな洗面器が水で満杯になる……。 それから、手拭いを腰の辺りに挟んで……、 足を開いて中腰になって……、 ブルブルッと……顔から頭まで……。 何度も何度も……ブルブルッ……。 じいちゃんは、ほとんど丸坊主頭。 完全に……ではなく、少し残したカット。 その頃、一般に大工刈と呼ばれていたように記憶している。 大工さんのほとんどがしていた髪型だ。 じいちゃんは大工で……、 それも、建築大工ではなく、指物大工。 いわゆる、内装関係をやる指物師だ。 したがって、自宅に細工場(サイクバ)があった。 その細工場から、建具や、その部品、簡単な家具類が、 次々に生み出されていった。 じいちゃんが、僕を見つけて、手拭いで頭と顔を拭きながら、 近づいて来た。 「中学に行って、英語習っとるか?」 「……うん」 「じいちゃんも少しは知っとるぞ……」 「えっ……?」 正直、信じられなかった……。 じいちゃんは、明治の西南戦争の頃の生まれだし、 ……生粋の大工職人。 カタカナ言葉など聞いたことも無かった。 「ヒネルトージャーは、水道じゃ」 「…………(゜_゜>)」 「フミャンガデールは、饅頭…………なっ」 「…………(ー_ー)」 「……そうか……、まだ習ってないか?…………」 違う……。 それは無い。 『英語』じゃなく『落語』…………。 落語の洒落の世界の話だって事には、すぐ気付いた。 大人達が良く言ってたから………。 つまり、 『水道は捻るとジャーっと水が出る。饅頭は踏めばアンがでる』 っていう冗談の世界だ……。 「じいちゃん、誰に習ったの……?」 「……ん、ああ、郵便局長さんよ……。(^。^) 局長さんは年だが物知りだ……」 そういえば、ここのところ、じいちゃんは台所周りの 仕事ってことで、局長さんの家に通っていた。 きっと、局長さんが、冗談で言われたのを、 じいちゃん、信用してしまったに違いない。 当時、郵便局長、警察署長、校長先生、お坊さんと言えば、 地域の皆から、尊敬の念を集めていた人達だ。 「じいちゃん……、あのね……今度、 局長さんに確かめた方が良いよ……」 「なに!!間違っとるか?おかしいか?」 「……うーん……(;一_一)」 「局長さんがウソを言うわけないがなぁ……」 「うーん…、じいちゃん、ドイツ語かもしれん……(^_^;)」 「……ドイツ語……なぁ。よしよし、今度聞いてみよう……」 局長さんを、全く信じきっているじいちゃんは、 ニコニコ笑って、母屋の方に悠々と肩を振って戻っていった。 はっきり、駄洒落だって……言えなかったよ。 (;一_一) 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ==================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 14年間蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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