カテゴリ:思い出
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? 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ お世話になった先輩を病床に見舞う<下> 【前回】お世話になった先輩を病床に見舞う<上> 「うん、既に70歳も半ば近い人生で、 健康だけは自信があった僕だが……まさか、 こんな病に侵されるとはな――。 …………思いも寄らない事だよ……」 「何で……先輩なんですかね。 なんで先輩が癌にならなけりゃならないんですかね。 悔しくて、悔しくて……堪りませんよ」 「まぁまぁ……泣くなよ……男だろ……アリガトね。 振返ってみりゃ―幼い頃に戦争の悲惨さや、 戦後の食糧難を体験して、 日本の大変な時代の歴史を見届けた歳月だった……。 良く学び、良く汗をかいて働いてきたよ」 「…………」 「日本の驚異的な高度経済成長で、 想像以上の社会を体感することもできたよ。 残された余命を思うと、 生きて行きたいと思う執着心は強いが、 ……しかし、抗がん剤治療による副作用は、 僕の体をありとあらゆる症状で襲ってくるんだ……」 「……こんな事を言ってはなんですが、 人一倍辛抱強かった先輩がそこまで苦しんでおられるのは、 神が試されているのかも……と思ってしまいます。 ……スミマセン。 先輩に、勝って欲しいと思います…………(;一 一;)」 「泣くなって言っとるやろう……もう(^_^;) まあな、いっそのこと治療を止めて、 まだ訪ねていない日本のあちこちの旅をして愉しく過ごしたい ……という想いやら、体に宿った癌細胞が内臓に転移して、 他の機能までも犯していくのではないだろうか……。 ……等と時折り訪れる不安な気持ちを抑えきれない思いで、 闘病生活を送っとるよ。(一_一)」 「そうでしょうね。不安でしょうね……そうですよね。 当たり前ですよ。何故、先輩なんですかねーー……」 「闘病生活に負けそうな時にな『今日の体調は?』って、 遠距離電話をしてくれる、嫁いだ娘や、『お爺ちゃん元気?』 と、あどけない笑顔で訪ねてくれる息子の孫の姿を見た時、 また、極端な食欲不振の時に想像を絶する気遣いをしてくれる 家内……嬉しくてな。 ……支えられとるよ。ありがたいよ。(^O^)」 「……良いご家族ですね……。 先輩、頑張れますよこれは。頑張りましょう。(*´ω`;)」 「また、泣く……。<`ヘ´>しっかりせんね。( "⌒∇⌒" ) 今、私の体に宿っている『悪友』が、 願わくば『親友』となって、明日を生き抜く……これが、 現在、私に与えられている人生だから……な」 「……はい……」 「だから、今を大切にして、今日に感謝して、明日に希望と、 目標を持って『たった一度の人生』『たったひとつの命』を 貫いて行こうと決意しているよ」 「先輩の命をご家族や友人たちが、そして後輩たちも、 見守っていますから……、先輩、精一杯生きて下さいよ……」 「うん、余命がどうなるかは天に任せて、後悔なきように、 生き抜いていきたいと想う日々を過ごしているんだ。 ありがとう。ありがとう。 ありがとうございます……」 「それを聞いて安心しました。今日は、来た甲斐があります。 また、呑んで歌って踊りましょうね。……きっと」 「よし、分かりましたよ。ありがとう。元気が出たよ。(^。^) よく来てくれました。ホントに……ありがとうーー(^O^)」 ……様々にお世話になったこの気丈で偉大な先輩は、 にっこり笑う様なお顔で……この半年後に、 旅立たれました。 最期まで、沢山の事を教えて頂きました。 ひとつひとつの言葉は、耳に残っています。 早、13回忌も近づく今でも……無念でなりません。 ………………南無。 <完> 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ========================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今まで蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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