第9話 『-人を超えし者-』
『CRONOUS』 ~黙示録~第9話 『-人を超えし者-』「今日はありがとうございました」僕は狩りを共にしてくれた一団にそう言って頭を下げる「いやいやそんなに気を使う間柄でもないでしょw」一団の戦士がそう言って笑うと周囲に居る仲間もうなずく「こっちがもう少し落ち着いたら顔を出すからヨロシクと伝えてくれ」戦士はそう言うと仲間と共にテラの街の雑踏に消えた今、狩りを共にしてくれた戦士の名は梵天丸さん黙示録にも在籍している戦士である以前にも書いたが…また掛けで複数のギルドに名を連ねる冒険者は少なくはないとは言え実力が備わっていなければそれもできないから彼のように複数のギルドに名を連ねるという事は実績があるという事になる彼のエピソードはまた後日にするとしてそもそも冒険者とは何かという話を今日はしたいただし明確に話すとなるとこの大陸の歴史に触れる事にもなるそうなると…少々難しく、長い話になるので簡単に話そう…この大陸には大きく分けると2つの人種がいるまず1つは「人」…すなわち普通の人である訓練や学習で冒険者になれなくもないがそもそもの戦闘力のベースが違うためかなり厳しい道のりとなるそしてもう1つの種族…「人」であるけして書き間違いではなく「人」と「人」であるただし…後者の「人」は見た目は人と同じであるが流れてる血が特殊なため前者の普通の人とは根本的に違う…いわゆるこの大陸の古い歴史に出てくるウォリアー、パラディン、マジシャン、バルキリーこの四種族の血を受け継いだ人である現在は…純血の者はほとんどおらず混血の者が大半古い歴史に出てくるような驚異的な力は薄れているが明らかに普通の人とは根本的に違う冒険者となるにはやはりこの「古の血」が必須となる現在では…この伝説の四種族の名も「クラス」と称され職種的な扱いになっているがその力はやはり絶大であるいわゆる普通の人はこの時点で守られる側に属するのが一般的で冒険者を補佐する仕事をする事が多い食事をする施設、寝泊りをする施設、道具の販売、武具の販売…様々であるまぁ…中には無駄にただ街をふらつくだけの者もいるが…そして普通の人とは違う力を持った者が冒険者となる守る側に属する人たちであるだいたいはギルドと呼ばれる団体に所属するが…あえてその道を選ばずに単身で傭兵や浪人といった道を選ぶ者もいるのだが衣、食、住といった生活をするうえで安定感を求めるのならば間違いなくギルドに入る方が正しい選択である当然、それによっての人間関係や役割がついて回る為…時として厄介ではあるがそれを飲み込むか否かは人それぞれといったところだろうそしてこの無数に在るギルドを束ねるのがユニオンギルドであるユニオンギルドには普通のギルドにはない数々の権限が与えられるそれ故に力のあるギルドはその地位を目指すが、これもそう簡単になれるものでもない僕達のギルド「黙示録」はあえてそこは除外としてるのでこのユニオンギルドについては機会があれば話をするとしようさて…ギルドはユニオンギルドによって統治されているのだが…そもそもこのギルド自体は王国の一部の民主団体となるすなわち王国直轄の軍隊もあり冒険者の最上級はここに該当する力があり認められれば登用される事も在るが…やはりお家柄というくだらない物も存在する僕達からすれば雲の上の「位」と言ったところだろうかなんだか結局難しい話になったのでこの話はこの辺で〆たいと思うさて、冒険者と称される者については「血」が必須であるという事としたが実はこの「血」についての興味深い話があるのだが…『カノン魔法学校 ~数十年前~』「そんなバカげた話…信ずるに値はしない!」「それは人の理に反する!そんな実験認めるわけにはいかんな!」1人の男が研究を発表するとそれに対しての反論が嵐のようにおこった「確かに確証はない…しかし各種族の血を分析するとあの種の共通点が見受けられる…そしてその共通点は混血となった今も脈々と残っている。つまり今まで定説とされた混血によって色濃い血が種として残るとされていたが…他の血は消えたのではなく残っているというのは事実…つまりその血を活動可能レベルまで引き上げれば種のハイブリットも可能と…」男がそう説明すると「もうよい!こんな論議…続ける価値もない!」そんな声と共に講堂から1人…また1人と消え…ついには男1人となってしまったこの男こそが若き日の「孫」である…孫はマジシャンの家系に生まれ…若い時期からその魔力の強さを発揮し有望視されていたカノン魔法学校を首席で卒業し王国の魔法研究所に在籍するのだがある日…孫は自分の血の中にはるか昔に混ざったウォリアーの血とパラディンの血が存在する事を知り仮説を立てたおそらく血の中でいちばん濃い物が発動するのが基本…つまりマジシャンの家系においてマジシャンの者が生まれるのはその血が濃いからでありごく稀に…マジシャンの家系にもかかわらず別の種の能力者が生まれる事があるのを今までは「不義」などの忌まわしい者としてきた…故に生れてすぐにその存在を抹消されてしまうケースも少なくなかったそれを孫は…血の突然変異によるものとしたこの突然変異を偶発ではなく意図的に発動させることが出来ればマジシャンでありながらウォリアーやパラディンといった別種の力を使えるようになるまさに「人を超えし者」の誕生である無論、成功する保証はどこにもないのも事実…実験するにしてもリスクを伴う物となるわけで結果は見ての通りである…誰1人として孫の発表をまともに受け取る物はいなかったそして孫はこの日を境に魔法研究所を去り人の前からも消えた…その後…数年の歳月が流れたある日モンスターとの攻防戦が激化する一時はかなり優勢だった王国軍だったが少しの油断から形勢が逆転しいくつのの街を失う結果となるそして…最後の砦としていたウーノス城を明け渡す事を決断したその日…孫が現れた「戦況は?」孫が指揮をとっていたマジシャンに聞くとマジシャンは首を横に振って答えた残されたパラディンとマジシャンで足止めをするのが限界で押し返す事は出来ない状態で押し返すにはウォリアーが必須となるも肝心のウォリアー…しかも戦闘に長けた者の大半が負傷し戦列を離れているのが決定打らしいすると孫は息を大きく吸い込み唸り声と共に気合いを入れるしばらくすると各部の筋肉が大きく隆起しはじめ肉体が屈強の戦士並みの鍛え抜かれた物へと変わるそれを見ていたマジシャンがうろたえて後ずさりをするそして孫は呼吸を整えながらライオンハートの咆哮をあげると近くにあったタムファーと盾を装備したその後…孫は数名のウォリアーを従え敵陣に切り込む控えていたバルキリーとパラディンが後に続き劣勢だった前線を立てなおし戦況を覆した孫はマジシャンでありながらなぜにウォリアーとなれのか?その後の戦闘でも時折パラディンになったりしたのも確認されている孫の功績は王の耳に届き王国軍への誘いもあったが孫はそれを断っている孫はただ自分の仮説が正しかった事を証明したかっただけだと言ったがあとにも先にもこの特異的な能力が使えるのは孫のみであった『黙示録アジト ~現在~』「アホか!…重くて運べないわこんな物!」白魔童がアジトの入り口前に詰まれた米俵と奮闘していた「もうしっかりしてよ!みんないなくて男手は白さんだけなんだからね!」アデレードが白魔童を怒鳴る「俺はか弱きマジシャンなんだよ!」白魔童はアデレードに言い返す「どうしよう…こんなのが入口にあったんじゃ中に入れないし…」「じゃさ…俺がこっち持つんで…お嬢とカラーさんでそっちを…うんで転がして…」白魔童がそう提案すると「私はパス…爪が折れるから」カラーはそう言ってきっぱり断った「ちょwww爪って…爪はまた生えるだろ!」白魔童がそっぽを向いたカラーにそう言うとカラーの鋭い視線が返ってくる「い、いやぁ…つ、爪は大事だよね…あはははは……ごめんなさい…」白魔童は視線に耐えきれず頭を下げたと、そこに孫が帰ってくる「ほほほほほ…何やら賑やかいですねぇ…」「おおおお!孫さんいいところに!今、この米俵がジャマで難儀してたんよ…ちょちょいって運んじゃってくださいw」「白さん!なにそんな無茶な事を!」白魔童の発言にアデレードが噛みつく「ふふふふふ…お嬢は知らなかったか…孫様の凄さをwww今こそ見せてやろう伝説のハイブリットマジシャンの凄さを!wwww」白魔童は自慢げにそう言って高笑いする「やれやれ…困ったものですねぇ…隠居生活の老兵に…」孫はそうため息混じりに言うと大きく息を吸い「はぁぁぁぁぁぁああああああ!!」と気合いを溜める孫の体中の筋肉が隆起して常に鍛えているうほほいのそれを超えるかのような肉体へと変わる「え?ウソ…」「マヂで?」それを見たアデレードとカラーが唖然として顔を見合わせた「ははははは!どうだ!ビビったろwwww」白魔童が腕組みをして高笑いする「そこであんたがふんぞり返るなよ…」カラーがつぶやくように言ってため息をつく「さて…久しぶりですしそんなに持たないので運んじゃいますか」孫はそう言うとライオンハートの咆哮を上げて米俵を軽々と持ち上げた「孫様…すごーい…」アデレードが呆然としながらそんな言葉をもらす「ほほほほほ…ではドアだけ開けてもらえますか?」孫に言われてカラーがドアを開けたそしてアジト内に運び込もうと孫が一歩踏み出した時…「あ゛………」孫はけったいな声をもらす…そしてその場に米俵を下すと動きが止まった3人は動かなくなった孫を見て首をかしげる「こ、腰が…」「え?…ええええええ!」その後…メンバーが帰ってきて事なきを得たが孫はしばらく腰痛で療養を余儀なくされた…『To Be Continued♪』