テーマ:ペットの死(562)
カテゴリ:クリスと仔猫たち
梅雨の晴れ間。
雨が上がる日が来るのを、父母はずっと待っていた。 ステラを、早く土に還してあげたかったのだ。 やっと今日、天気がいったん回復した。 だが、夕方からはまた雨が戻るという。 それまでに仕事を終えようと、父は店に行った。 ステラの件では、多くの皆さんから支えていただいた。 「こう言う言い方も何かもしれないけれど…」と、母の友人は電話口で 「もし、その子が母猫のお腹の中で亡くなってしまったら、難産になったりして 母猫やきょうだい猫も大変なことになっていたかもしれない。きっとその子は 皆を守るために、頑張って生まれてきてくれたんだよ」と言ってくれた。 父母とオンラインゲームで親交のある方は、 「ステラのためにお花を用意しました。画面の向こう側でだけれど…」と、 会ったこともない父母の声に応え、ステラを供養して下さった。 そして、このBlogで支えてくださった皆様にも、この場を借りて御礼申し上げたい。 仕事を終えて、父母が自宅の裏に降りた。 庭のない家だが、隣家との間にわずかな敷地がある。 ここから見上げると、3階の父母宅の寝室がある。 父が穴を掘りはじめた場所は、クリスの産箱の真下にあたる壁際だった。 少しでも皆のそばにいて欲しい、との願いは、クリスたちにもわかるだろうか。 ステラは可愛い仔猫だった。 真っ黒な体に、四肢のつま先と下あごに白が入る。尾の長さは中ぐらい。 目の色と性別は、わからないままだった。 もしも無事に生まれてこられたならば、きっと愛らしい子に育っただろう。 母の手のひらに納まってしまう、小さなステラ。 事情が事情なので、今まで、遺体が傷まないよう、冷蔵庫に納めざるを得なかった。 すっかり冷たくなってしまったステラを、ティッシュで包み直す。 母が産箱から取り出したときには、生のぬくもりこそ失っていたものの、ここまで 冷えきってはいなかった。 また、自責の念がつのる。 あまり大きくはない穴だったが、それでもステラには充分ゆとりのある広さだった。 その底に、ステラを納める。 父が土をかける。小さなからだは、すぐに見えなくなった。 市の防災無線の、夕方5時の放送が鳴った。 3日前、クリスの最初の子どもが産声をあげた時間だった。 終わってしまってから、母は後悔した。 最後に、ステラをあたためてあげればよかった。 手のひらで包み、頬を寄せて、少しでもあたためてから土に還したかった。 …とはいえ、今から掘り起こすわけにもいかない。 大地のぬくもりが、きっとステラをあたためてくれるだろう。 雨が、また降り出した。 おやすみなさい、ステラ。 きょうだい達が新しい家庭に迎えられて巣立った後も、あなたはずっと藍野家の子だよ。 ずっと、ずっと、うちの子だよ。 次に生まれてくるときは、ちゃんとお腹のふさがった、元気な子に生まれておいでね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 17, 2005 09:59:16 PM
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