テーマ:乗馬・馬術(33)
カテゴリ:藍野家の日常
父母が、経営する店舗のフランチャイズ本部で行われた、オーナー向けの勉強会に出席した。
接客のあり方や、スタッフ間の信頼感の築き方など、たいへん良い勉強をしてきたようだ。 講義の中で、"R.I.S.E."という言葉を習った。 Icebreaking(打ち解けあう) Research(相手から答えを導く) Success Experience(成功体験を積ませ評価する・ほめる) の頭文字を取り、語呂がいいようにIとRの順を逆にして、R.I.S.E.と呼ぶそうだ。 これは、オーナー・店長がスタッフを育成するときの段取りを説明したものだが、 ・Icebreaking(打ち解けあう) 1.先に相手を理解する(自分が理解されるのはその後) 相手のことを知る努力をする 長所を見つける、ほめる、伸ばす(美点凝視) 期待をかける(君ならできる・君を信じてる…) 2.自分の心を開く 3.共感・共鳴する 共通の目標を持つ 同意する事を増やす ・Research(相手から答えを導く) 1.相手の中の答えを探る(自分で答えない) 2.効果的な質問方法を使う 過去の失敗を叱るのではなく、未来の成功について考えさせる なぜできないのかよりも、どうすればできるかを質問する ・Success Experience(成功体験を積ませ評価する・ほめる) 1.適切なステップを設定させる 一気に高い目標を設定しない 設定した目標を共有する 2.成功体験をリードする 経過を観察し、関心を示す 期待をかける・伝える(君なら絶対にできる…) 繰り返し、想い(関心・期待)を伝え続ける 3.明確に評価する(認められたいという心理を満たす) 即座にほめる その都度、ほめる 達成感・成長感を与えるために、この一連の流れ(1~3)を繰り返す というお話だった。(レジュメより抜粋) これを聞いた母は、はっとした。 変な例えに聞こえるかもしれないが… 母にとっては、これは、まさに、私すみれ(馬)が日々受けているトレーニングの 理念、そのものに聞こえた。 正直に言うと、私には「人間を自分の背に乗せる」ことに、恐怖感がある。 だが、トレーナーのKさんや身の回りのお世話をして下さるMさんは、私にトラウマが あることを理解し、その上で自身の心を開いてくださる。 そして、Kさんは「私もスミに勉強させてもらっている。一緒に頑張ろう」と、 私を励ましてくれる。 また、私が馬場でどのような運動をしたらいいかを、鞭や馬具で強制することなく、 私自身に「Kさんは私に何を求めているか」を考えさせる。 (鞭は「指示の伝達の道具」としては使用するが、打ちすえることは決してしない) そして、私がKさんが求めるのと違う動きをしてしまったときは、また別の指示の 出し方でアプローチしてもう一度考えさせてくれたり、あるいは、ひょっとすると 私は理解しているけれど体調に不具合があって自由に動けないのでは、と気遣ってくれる。 こんなヒントをもらいながら、私はKさんが自分にどのような動作を求めているのかを 自分の意思で考える。 そして、私がKさんの求めるとおりの動作ができたときには、すぐに褒めてくれる。 Kさんが最終的に求めるかたちに向かって、段階を追って私に課題を与えてくれ、 それができるよう励ましてくれ、できるたときにはすぐ褒めてくれる。 そして、また一段上の目標をマスターできるように、トレーニングは続く。 まさに、私すみれが受けているトレーニングはR.I.S.E.そのものだ…と、母は驚いた。 正直に言って、日本では、ここまでの手間をかけて馬の調教をする施設はあまり多くない。 鞭で打ったり、動作を矯正する馬具を装着したり、あるいは力ずくで手綱を引いたり、 「馬を屈服させ、束縛して、人間の望む動作をさせる」ことが主流である。 もちろん、そうでない施設もあるにはあるのだが… あたかも人間の企業人財(あえて『人材』とは書かない)を育てるのと同じ手法で、 馬と“対話”をしてくれる、馬術チーム。 母は改めて、KさんやMさんへの感謝の念を深めた。 やはり、強制された目標よりも、自分の意思で定めた目標の方が、達成したときの喜びは大きい。 それは、人も馬も、同じことである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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