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カテゴリ:生育診断の実際。
温暖化で増えるといえば、意外な虫の害。
イチゴ栽培において28度前後の温度が高い時期に、株のクラウン部 に発病するのが、 ↓ イチゴの炭疽病[たんそびょう]です。 まずイチゴ葉の外縁が黄化・褐変し、そのあと外葉が枯死する株がみ られ、最終的に上記の写真のような株そのものの褐変から枯死に至る というふうに病状がすすみます。 とはいったものの長年にわたってイチゴ栽培を手がけておられる農家 さんたちにとっては、さして恐ろしい病気といったものではなく、 季節がすすんで次第に高温期が過ぎたり、病斑を確認する初期の段階 での適切な薬剤散布をおこなったり、かん水の量を少なくして加湿を 避けることなどによる適切な処置で防げる病気のはずなのですが・・・ 本作にかぎっては 宮崎のイチゴ農家さんにとって勝手が違いました。 いつものように 適切な炭そ苗対策をおこなっても効果がないのです。 新芽がのびず、展開した葉の葉柄が赤味を帯びてきて、葉の縁が黄化 や褐変し、症状が重くなると、株や根までもがが枯死してしまう。 これは大変ということになり、県外のイチゴのにたような事例を調べ てその原因がわかったのは、11月もおわるころになってのこと。。 じつはこの症状は虫の害。ハエの仲間であるチバクロバネキノコバエ [チビクロバネキノコバエとも]の幼虫による食害だったのです。イチ ゴに寄生するこのハエの幼虫は透明といってもよい体色をしており、 大きさも最終的な段階でも四ミリほど。成虫は透明ではなく頭が黒で 身体は褐色ではあるものの体長が約2ミリ前後しかないのですから、 これではなかなか見つけられなかったのも いまとなってはよくわ かります。 ちなみにこのハエの生活史は ❝未熟な有機物に誘引された親が産卵、 卵から成虫になるまでの時間が25度Cの気温条件で2週間ほど❞と いいますから、今作のような気温の高い気象条件であれば 順調に世 代交代しながらその生育数を増やし、結果的にイチゴの地下部や地際 部をも食害・加害していった ということなのでしょう。 さてそこで、このハエに対する防除方法です。 ハウスイチゴ栽培においては、交配にミツバチを使っているケースが 多いので、なるべく薬剤に頼らない方法をとるということになれば ● ハウスの開口部[入口や換気部分]に1ミリ目あいのネット展張 ● 圃場の周辺にある雑草の処理や作物の残さの片づけ ● 圃場の周りにある場合には、たい肥舎などの消毒 などといった対策に加えて、なんといっても ● 未熟な有機物を圃場に大量に使わないこと これが 大切なポイントとなります。 炭疽病とおもって対策を実施して効果がなかったはず だなと、原因が分かってしまった現在ならおもえるの ですけれど・・・まさか原因が虫だったとは。。という ことで 農業はプロファイリング の回は こちら。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 9, 2020 12:02:45 PM
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