|
テーマ:甲斐の風景(15)
カテゴリ:キリシタン
【甲斐の風景】 前述までのお寺の帰り道で、とある村の入り口付近の道路脇にこうした石塔や石碑が建てられているところがありました。「二十三夜供養塔」と彫られた石塔と、「南無観世音菩薩」と彫られて比較的小さな石碑です。これだけならば、それほど気にはならないのですが、この村にあるお寺は日蓮宗のお寺です。ですから、こうした石塔や石碑が建てられていることが不思議でなりませんでした。 日蓮宗のお寺には基本的にご本尊がありません。すべては「南無妙法蓮華経」というお題目を唱えることに集約されています。まして、二十三夜の月待ちをお寺がすることもありません。ですから、こうした石塔や石碑が建てられていることが不思議でなりませんでした。 ただ、最近ふと考えるようになったのですが、宗門人別制度下でお寺は村人の死に関わるイニシエーションにしか関わることが出来ませんでしたから、こうした石塔や石碑が建てられても、そのまま放置されていた可能性があるということです。そして、宗門人別制度下では、そのお寺の教えを一般民衆に広めることも許可されていませんでした。ですから、「南無観世音菩薩」と彫られた石塔が建てられても、お寺は沈黙していたのであろうと考えられます。 会津で、曹洞宗のお寺の檀家になっている村に、念仏講で用いられたのであろうと思われる文書が残っていたそうです。現在は、当該市町村の公民館で保存されていると記されていました。ただ、あの曹洞宗のお寺の境内にも「子安観音」堂が建てられています。これも、会津では特別珍しいことではありませんが、甲斐でも同じなのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.04.03 17:53:42
コメント(0) | コメントを書く |