会津キリシタン研究所

【秋の磐梯山】

　若松と猪苗代の関係は、飯田と高遠の関係に近かったのかもしれません。飯田城から高遠城までの距離の方が遠いのですが、京極領だった時には既に高遠はキリシタンの拠点だったわけですから、そう考えられると小生は思っています。そして、保科正光が高遠藩主になった時には、高遠は既にキリシタンの拠点になっていたわけですから、保科正之公が高遠藩主になられた時にも、キリシタンに関しては同じ情況であったのであろうと思われます。

　そして、保科正之公が会津藩主になられた時に、蒲生家や加藤家の家臣も、保科正之公の家臣団に加えられたことは、『会津藩家世実紀』に出てくる人名を考えると間違いないと思われます。但し、蒲生時代の末期に、猪苗代ではキリシタン弾圧が行われ、セミナリオが取り壊されていますが、あの時に殉教したキリシタンは猪苗代の城に仕えていた武士とその家族であったように思えます。

　理由は、『新編会津風土記』に記されていることの中に、元和年間に廃村になった村があるという記録がないことです。また、『文禄三年蒲生家高目録』に名前の出てくる村の石高が、『会津鑑』にあるその村の石高と大きく異なっているケースも見受けられません。つまり、元和八年（１６２２）に殉教したのは、農村部の人々ではなかった可能性が高いと考えられます。

　江戸時代に猪苗代城代の領地だったのは、現在の猪苗代町と磐梯町です。以前にも書きましたが、猪苗代城＝亀ヶ城は「一国一城令」の例外として、城がありました。『猪苗代町誌　歴史編』には、外堀と内堀がどこにあったかが記されていますし、外堀の名残は今でも残っているであろうと思われます。亀ヶ城の桜は５月の連休明けに満開になることが多いですから、その頃に、三日くらいかけて、丹念に猪苗代町と磐梯町を巡ってみて下さい。あれだけ色々なモノが残っているのですから、必ず、不思議なモノに出会えるはずです。