|
テーマ:日本の未来(224)
カテゴリ:日本の未来
【厳冬期の吹雪の中で】 昨日は昼頃から隣の部屋でテレビを着けっぱなしにしていました。今から18年前に書き上げた論文の内容が、現実になってしまったからです。「宗教とは何か」ということに関するコンセンサスがないまま、日本は宗教に関して非常に無知な国になってしまいました。そして、宗教が支えている典型的な集団を理解出来ずにいたことのツケが、今現実になっています。 「イスラム国」のことです。オウム真理教の事件と同じことが、グローバルな領域で起こったと言ってもいいかもしれません。「イスラム国」に「人道支援」と言っても、彼らはまったく受け容れません。そうした考え方が「イスラム国」にないからです。それだけではありません。労働力として移住してきたイスラム教徒が、様々なところで疎外され、蔑視されてきたのです。ですから、日本にあるモスクで、日本人捕虜の解放のための祈りが捧げられています。同じイスラム教でも、歴史や文化が異なります。 宗教は、少し専門的な用語でいうと、「究極的価値」です。そしてそれは、個人の中で完結しているものではなく、その「究極的価値」が広がっている社会全体に広がっていて、その社会を規制し、調和させていますが、広がっていない部分に関してはすべて「敵」と見なします。それだけではありません。「敵」を支援する国家は、それがどの様な国家であろうと「敵」なのです。そして、「イスラム国」の規範は、彼らが理解している経典=コーランなのです。 小生は、しばらく前から心配していました。「イスラム国」にとっては、彼らが理解しているコーランなのですから、「イスラム国」以外のイスラム教国もまた「敵」なのです。日本の政府はそうしたことを知っていて、「人道支援」をしたのでしょうか。それが知りたくて仕方がないのですが、マスコミではそうしたことに関しては一切、語られていません。 「21世紀は宗教戦争の時代になる」とおっしゃっていた方がいらっしゃいました。個々の国家が持っている社会的規範が、全世界で通じるとでも考えていたのでしょうか。ある大国は膨大な予算を使って、「イスラム国」を空爆しています。外国によって資金源が断たれ、原油の価格が下がれば、当然のこととして「イスラム国」は危機感を持ちます。自分たちの考え方が正しいかどうかは、まったく省みられません。 同じような戦争をキリスト教もしてきた時代がありました。イギリスです。清教徒革命ののち、政府はアイルランドに軍事侵略し、ローマ・カトリック教徒を迫害しました。J.F.ケネディ大統領の先祖は、その時代にアイルランドからアメリカに移住してきたと言われています。そして、清教徒が築き上げたはずのアメリカで、現在、一番力を持っているのはローマ・カトリック教会です。 アメリカのプロテスタント教会には、明らかな社会的格差があります。それに悩んでいる方とアメリカでお話ししたことがありました。そうしたことをアメリカのキリスト教会は当然知っています。それでもなお、そうした情況は現在の続いているようです。 以前はよく、東京分室の近くの道を、夏でも頭にスカーフを巻いて歩いている女性とすれ違いましたが、最近はまったく見かけなくなりました。そして、ネット上にはそうした女性を非難する書き込みが溢れているところがありました。日本国憲法が補償している「信教の自由」は、外国人の方々にも補償されなければなりませんが、そうしたことを見過ごしにしてきた政府には、「イスラム国」の現在を理解できているかどうか、非常に不安です。 世界は今、厳冬期の吹雪の中にいるのと同じだと小生は考えています。そして、それを解決することが出来る知識を持っている人は、一人もいないというのも現実であろうと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.24 10:28:03
コメント(0) | コメントを書く
[日本の未来] カテゴリの最新記事
|