会津キリシタン研究所

【川中島古戦場跡】

　善光寺を訪ねた後、伊那谷に向かうために高速道路に入るために車を走らせていたら、川中島古戦場跡があったので立ち寄ってみました。すると、ボランティアガイドの方が中を案内して下さったので、非常に興味深いお話をお伺いすることが出来ました。山梨県からいらっしゃった方々にするお話と、新潟県からいらっしゃった方々にするお話は、あえて異なったものにしているとおっしゃっていました。

　そして何よりも興味深かったのは、肝心なところになると、「『甲陽軍艦』に書かれているのですから、信じて下さい。善光寺さんにお参りに行くのと同じで、信じることが大事なのです」と微笑みながらおっしゃっていたことです。『甲陽軍艦』の資料的価値はほとんどない、というのが最近の歴史学での常識になっていることを知っていましたから、非常に感動しました。学校で歴史を教えていらっしゃった方のようです。

　歴史を研究するためには、『会津藩家世実紀』のような文書集であっても、クリティカルに読まなければなりません。例えば、新約聖書には二つの「主の祈り」がありますが、それをどのように考えるかという作業と同じことを、歴史研究でもしなければなりません。

　映画やドラマはかなり脚色されていますし、「時代考証」の結果を受け容れるかどうかは、プロデューサーやディレクターの判断だそうです。勿論、プロデューサーやディレクターが史料をクリティカルに読み解いているケースもあるだろうと思います。『八重の桜』はそうして視点で見ていても、実に興味深いドラマでした。