会津キリシタン研究所

【福島県中通り地方の転切支丹類族墓石】

　これらの墓石は、とある道路脇にあった小さな墓地に残っていた墓石です。どれにも、上部に＜○＞が彫られていますし、下段の墓石には「皈空」と彫られていますから、転切支丹類族の墓石であろうと思われます。そして彫られている年号は江戸時代中期以降の年号です。

　そして、この墓地の前にある道路を挟んだ反対側には、少し広い空き地がありました。もしかすると、以前にはここに何らかのお堂が建てられていたのかもしれません。道路が整備された時に取り壊された可能性もあると小生は考えています。

　また、上部に彫られている＜○＞ですが、どれもほぼ同じ大きさですから、元禄年代に使われたものと同じものが、宝永年間にこの＜○＞を彫るために使われた可能性を否定できません。つまり、村にそれが残っていたか、お堂にそれが残っていたかもしれないと思っています。

　これまでに訪ねてきた中通り地方に残っているキリシタンの痕跡を考えると、少なくとも白河市から福島市までの阿武隈川一帯にもキリシタンが広がっていたのであろうと考えられます。そして、そうしたキリシタンと会津のキリシタンが関係を持ち続けていたことも、十分に考えられます。中通りと会津を結ぶ峠道はいくつもありますし、その峠道沿いにもキリシタンの痕跡が残っています。