会津キリシタン研究所

【会津の山村】

　これは会津の低山帯にある村の墓地で撮った写真です。墓地にある家族墓に彫られた姓からすると、蒲生氏郷が会津に入ってくる前から会津にいた武装農耕集団であろうと考えられます。ですから、この村がキリシタンになったのは、蒲生氏郷が会津の領主になってからのことであろうと思われますが、この山村から山を下りた一帯にも、転切支丹類族墓石が残っています。

　去年になって、ふと興味深い本を出版社で見付けて、それを読んだのですが、蒲生氏郷が会津の領主になった時にキリシタンになった武装農耕集団の中に、蒲生氏郷には仕えなかった人々がいたようです。つまり、蒲生氏郷に仕えるためにキリシタンになったのではないということになります。その本に記されていることからすると、間違いないと思われます。

　郷土史研究家の方が、残されている史料と口伝で伝えられてきたことを研究されると、会津藩が編纂した史料には記されていないことが浮かび上がってきています。そして、当然のこととして、そうした口伝伝承は現在も確実に潜っているのであろうと思われます。特に、保科正之公が会津藩主になられてから帰農した武装農耕集団に関しては、非常に興味深いことがありますし、この墓地へ行く路を奥へ進んでいくと、別の村に出るようですが、その村のお堂には「子安観音」像が祀られています。

　それだけではありません。そこからまた奥に入ったところにあった村には、確実にキリシタンがいたことを示す記録が残っているようです。その記録を見ることが出来る人が、それを村人に伝えたと、伝えられた方から直にお伺いすることが出来ました。そして、戊辰戦争の時に、西軍と戦った村々があったのですが、そうした村々にもキリシタンの痕跡が残っています。