|
テーマ:キリシタン(4919)
カテゴリ:キリシタン
【「子安観音」の謎】 これはここで何回もご紹介したことのある、武蔵国のとある曹洞宗のお寺の観音堂の縁に祀られている「子安観音」石像です。ここを最初に訪ねたのは2007年5月4日のことでした。出掛ける前に、ネット上で少し調べていた時にこの石像の写真を見ていたので、「やはりそういうことか」という思いがしました。 観音菩薩は菩薩ですから、男でも女でもありません。性を超克した存在です。ですから「仏」なのですが、この「子安観音」石像は抱いている子供に授乳しています。会津のとあるところにある乳房のある「子安観音」像の写真を、とあるお寺のご住職に見ていただいたら、即座に、「これは仏ではない」とおっしゃいました。そしてこの石像は江戸時代末期に彫られたもののようです。蓮華座に彫られた年号からそれが判ります。 そして、「子安観音」は『儀軌』という経典には載っていません。つまり、「子安観音」という名称は、明治以降に作られた可能性があるということになります。そして、こうした乳房があって、しかも乳児に授乳している像は、菩薩ではないのですから、これを仏像と考えることは出来ません。16世紀後半から17世紀初頭に現在の中国にいたマテオ・リッチというイエズス会の宣教師が、キリシタンが禁止されている日本に、白磁製の観音菩薩に似せた聖母マリア像を送り込んだことが明らかになっていますから、それが日本の中に広まったのであろうと思われます。 また、こうした「子安観音」石像はこのお寺だけでなく、会津にも何体も残っていて、会津のとある曹洞宗のお寺の境内には、綿入れを着た子供を抱いている「子安観音」石像がありますが、そのお寺には観音堂も建てられています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.09.06 20:38:58
コメント(0) | コメントを書く |