クラバート(プロイスラー作)
もう十年以上前から(読もうかどうしようか)と悩んでいた本をついに買いました。なんでそんなに悩んでいたかというと、絶対「怖い本」に決まってるから。なんたってカバーの絵が「頭は人で体はカラス」なんだもん。邪悪過ぎ。わざわざ注文して買うことはなく、身近な本屋で見かけることはなく、図書館に行った時は思い出さず、十数年が過ぎてしまいました。昨年末だったかに新聞にこの本の書影と紹介が載っていたので、夫や子供に「おもしろいと思うし読みたいんだけど怖そう」というと「買っちゃえ、買っちゃえ」で、ようやく買って読みました。身寄りのない男の子クラバートが、思いがけないことから魔法を学ぶことになり、自分の大切なものを守るために強大な敵と戦う話です。……まとめるとどっかで聞いたような話だ(笑)たしかに怖かったです。ちょっとした描写でぞっとします。クラバートは水車場で働くことになるのですが、製粉機の投入口付近に歯や骨の小片が散らばっているのを見つけ、でもなぜかすぐにそれを忘れてしまう場面とか、同僚が死んだ時の職人達の反応とか…淡々と書かれているのがよけいに怖いです。ドイツとポーランドにまたがるラウジッツ地方の古い伝説を下敷きにして書いたというだけあって、話に深みがあります。一つ一つのエピソードがおもしろく、だんだんと謎がわかっていく過程がおそろしく、季節の描写もすばらしい。長いお話が終わる時、深い満足感があります。【今日の一冊】 【中古】単行本(小説・エッセイ) クラバート [KRABAT]【画】価格:1,100円(税込、送料別)楽天ブックスでも取り扱ってます。【送料無料】クラバート改訂価格:1,680円(税込、送料別)6年生の娘には少し怖すぎるかなあと思ったのですが平気だったようです。彼女が先に読んだので「怖くなかった?」と聞くと「怖いとこもあるけど、ハッピーエンドだし、お母さんが読んでも大丈夫だよ」と言われました。読後、二人で「おもしろかったねえ~」と言い合いました。*おまけ*宮崎駿は『クラバート』を下地に、「千と千尋の神隠し」を作ったんだそうです。なるほどね。『クラバート』そのままをアニメにしたほうがおもしろかったと思うなあ……と思ったらチェコでアニメになってました。これは見たいような見たくないような(よさそうなんだけど自分のイメージが崩れそうでもある)クラバート+短編(DVD) ◆20%OFF!価格:3,948円(税込、送料別)*おまけのおまけ*【送料無料】大どろぼうホッツェンプロッツ改訂版価格:945円(税込、送料別)『クラバート』の構想に行き詰まっていた頃に書いたのがこの本なんだそうです。好対照の楽しく愉快なお話。