〔ゴゴゴゴゴォッーー　ガタン　ゴトン　ガタン　タタン　タタン〕




「おい　ヤス！」

「ああ　竜二の兄貴　ども」

「なんだよ　お前　一人で　おでんかよ」

「いや～　兄貴　きのう　結花に逃げられちゃって…」

「お前も　懲りねぇヤツだな　
　また　結花ちゃんお願い制服着て　なんて頼んだんだろ」

「違うッスよ～　もうー」

「まあいいや　関係ねぇから　俺も食うかな　おでん
　オヤジさん　俺も　大根と玉子と　あと　コンニャクね」

「あれ　兄貴　酒は…」

「俺は　これから　まだ　用事があるんだよ」

「用事って？」

「これをな　サブさんに頼まれたから　持ってくんだよ」





「なんスッか　コレ？」

「お前　店　手伝ってて　これ知らねぇのか？」

「はあ～↓」

「カーバイトランプだよ　みたことねぇのか？」

「普通　どこの夜店でも　電気しょ　電気　ランプだなんて」

「どこでも　電気があるってわけじゃねぇんだよ　まったく」
　
「ところで　どうやんスッか　コレッて？」

「しょうがねぇなあ　教えてやるから　よく聞け
　　　　　先ず　ココん所に　この石　入れんだよ」

「石スッか？石が燃えるなんて聞いたこと　ナイナイ」

「まあ　聞けって　この石がカーバイトだ　なぁっ
　それで　こっちに　水入れんだよ　
　すると　こっから　水が　落ちて
　石と反応して　ガスが　出んだよ　ガス　アセチレンガス
　そんで　ここに火を点けて　ガスが燃える　と　そういうこと　わかったか？」

「やっぱ　兄貴　頭いいスっね　さすが高校２年を　２回も・・」

〔ゴキッ！！〕

「うっせー　中退で悪かったな！」

「痛いッスよ～　そこまで言ってねぇでしょう　まだ～
　　　　　　　口から　脳みそ　出たら　どうすんスッか～」

「無いものは　で・な・い！　
　なんなら　代わりに　
　頭にカーバイトつめて　　
　口から水入れて　　
　鼻から火　出すか　お前！」
　
「わーあー　兄貴　鼻に水　入ったじゃないですか～　もう～」

「バカ　ほっといて　
　オヤジさん　厚揚げと　大根もう一個ね」

「兄貴～」




　
〔ゴゴゴゴゴォッーー　ガタン　ゴトン　ガタン　タタン　タタン〕

　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく





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