なんとしても借金を20以下に
もしイーグルスが今シーズン、このペースで勝ちつづけると(負けつづけると、という方が正しいのかもしれないが)だいたい46~7勝90敗くらいになる。いわゆる借金は44くらいか。これがどういう数字かというと、22勝できるピッチャーが加入してもやはり負け越すということだ。(22勝0敗はありえないだろうから)ピッチャーの補強だけで勝ち越しに転換できるギリギリの線を探ると借金20、このあたりが目安になる。10勝5敗のピッチャーが二人加入すれば勝率五割ラインに到達するからだ。割と現実的な数字になる。岩隈が来期計算できるピッチャーとして復活してくれるならば10勝(5敗以内)のピッチャーをひとり見つけてくればいいだけだ。で、今季借金を20以内にするために必要な勝ち星を計算してみた。最終的に58勝78敗(引き分け0)ならば丁度借金20になる。つまり残り試合を28勝(21敗)、勝率でいうと.510のかなりのハイペースで勝ってゆかなければ到達できない数字ではある。しかし、6月後半の戦いぶりを見ればあながち不可能とはいえない。そしてそれに必要なのは先発投手陣、特に一場の踏ん張りと朝井の復活のような気がする。不思議なものだなと思う。ずっとずっと昔から共に近鉄のファンだった男がいた。「最下位でもいい。借金は20以内」これはもともと彼の持論だったからだ。近鉄が6位5位を繰り返していた時期(監督が佐々木→梨田のころだから98年から00年の間だった)も、「最下位でもええねん、借金が20以下なら」と言い続けていた。最初の頃、彼の言っている意味とか理由がさっぱりわからなかったのだが、最下位だった87年の翌年88年にニ位になったときのことを言っているらしかった。(ちなみに89年は優勝した年だ。)87年の近鉄の成績はというと52勝69敗9引き分けで借金が17だった。(130試合制)そして「借金が20以内なら翌年優勝争いも夢ではない」という彼の説が証明されたのが2001年の近鉄の優勝だったのである。もちろん、強力な打線の援護なしには考えられないことだったが、後半、一軍入りした岩隈の活躍があって最下位からの優勝という奇跡的な出来事が可能になったのだ。最近、いろいろな楽天関係のBBS掲示板を見ると、この「借金を20以内に」というフレーズを見かけて懐かしくなることがある。書き込んでいるのはその彼ではない。彼は一昨年の春に亡くなったからだ。きっと彼が生前周りにいた近鉄ファンに熱心に説いて回った結果なのだろう。「近鉄の遺伝子」がこのような書き込みとして脈々と受け継がれているということなのだろう。まあ、世の中そう簡単には行かないものだ。それは知っている。しかし「借金を20以内に」という言葉を口にすると不思議に勇気が湧いてくる。魔法の言葉というやつか。済美高校の校歌か。