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テーマ:登山の効用(1)
カテゴリ:心・旅
長野県駒ヶ根市の「駒ヶ根ロープウェイ」落雷によ
り運行不能になった事故で、山頂近くの駅に取り残さ れてた利用客は、落雷事故から十三時間半以上たった 午前三時四十五分、補助電源で運行したゴンドラによ り、全員が下山した(中日新聞より)。 この記事で、数年前に、中央アルプスを、あえぎあ えぎ登ったことを思い出した。 北海道にいた高校生時代、結構、登山がが好きで、 友人たちと夕張岳などを何度か登攀したものだが、そ れも若いころの話。 何しろ、三十数年ぶりの登山とあって、少々心もと なかったが、随行者が山歩きのベテランということで、 安心してお供した。 初日は、ロープウェイで山頂まで行き、山小屋で一 泊。次の日は、朝七時から夕方五時まで縦走という強 行軍であった。 正直いって、かなり苦しかった。しかし、それにも まして、いろいろな新鮮な発見があった。喜びがあっ た。煩わしい都会の喧噪を逃れたいという気持ちも、 もちろんあったが、たまには、静かに自分を見つめ、 心のあり方を知りたいという欲求のほうが強かった。 登山なんて、苦しいばかりで、生産的には何の意味 もないし、全くのムダである…という人がいる。たし かに、そうかもしれない。汗まみれになって、巨岩を 伝い歩き、険しい渓流を下るとき、なんてバカなこと をしているんだろう…という思いがないといったら、 ウソになる。途中で「ヤメター」といって、何もかも 放り出し出したくなるときもあった。 (つづく) 自然は厳しい。厳しいだけに、いつも緊張感を持っ ていなければならい。心を引き締めて、一歩一歩、着 実に前進しなければならない。 つまり、人生である。苦労して、苦労して、頂上に 辿り着いた安堵感と満足感――それは、山に行った人 でなければ分からない独特の世界だろう。 繚乱と裂き競う山の花の美しさや、空の青さ、澄み 切ったわき水なども、下界では味わえない新鮮な驚き であった。 山を降りて、途中からタクシーに乗った。舗装道路 をスイスイと走る快適さに、新たな感動を覚えた。 人生、時には、ムダと思えることもやってみるべきだ。それが、明日への生きる糧になることもある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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