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上海ショックでわかった「暴落トレード」の極意とは?
HARBOR BUSINESS Online 「上海とギリシャ、2つの台風はいったん落ち着きましたが、世界の金融市場はまだ不安定。ショックの火種は各所にくすぶっています」 そう警告するのは、世界のファンド筋に多くの知己を持つ為替ディーラーの西原宏一氏だ。矢継ぎ早に発生した金融市場の大混乱だが、これらの危機は序章にすぎないとの向きもある。そこで、西原氏に今後警戒すべき、3つのショックをあげてもらった。 まず一番に警戒すべきは「原油価格の暴落」だという。 原油価格の暴落がもたらすリスク 「すでに昨夏の100ドルから50ドル割れへと落ちていますが、7月に核問題で停止されていたイランの原油輸出が再開。需要が増える見込みはないので、供給量が一気に高まれば、ふとしたはずみで暴落して“逆オイルショック”発生の可能性はある」(西原氏) 原油価格が低下すれば、消費者に多少の恩恵はあるが、金融市場は大混乱となる。 「原油価格の暴落は、コモディティ市場に派生しやすいんです。そうなれば資源を主力とする国の経済は大打撃です。原油価格の暴落はカナダ、鉄鉱石ならオーストラリア、乳製品だとニュージーランドといった国に甚大な悪影響を及ぼします」(同) 次に大きなリスクとしてあげられるのが、アメリカの利上げだ。 「’06年以来の利上げが年内にも行われます。そこで思い出されるのが、’13年のバーナンキショックです。アメリカの金融緩和で世界にあふれた資金は新興国へと向かいました。しかし、バーナンキFRB議長(当時)が金融緩和の縮小をほのめかすと、新興国から資金が一斉に逃げ出し、株や通貨は暴落。日本でも日経平均が1日で1000円以上も落ちました。9月とも言われる利上げが間近に迫れば、バーナンキショックならぬ、イエレンショックが発生する可能性もあります」 そして3つ目がギリシャ危機で揺れるEUの分裂だ。 「反EU政党が台頭したり、地域の独立運動が盛り上がったりと欧州統合に向かっていたエネルギーが分裂にシフトしつつあります。ギリシャ問題も結局は先送りですし、日本がバブル経済の破綻処理を先送りし続けて“失われた20年”を過ごしたように、欧州も先送りを繰り返せば、どこかで破裂する懸念があります」(同) このように世界中に点在する暴落の火種だが、悲観する必要はない。ショックが起きれば、それだけ激しく金融市場が動き、儲けのチャンスとなる。大局で見た場合、各ショックで予想される金融商品は表のとおりだ。タイミングを見計らい、仕込んでおくのも一つの手だろう。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=54378 だが、暴落にはリスクがつきまとう。そこで、6~7月にかけて発生した中国&ギリシャショックでトレーダー2人に極意を聞いた。 ’15年に起こる可能性の高い危機 【原油価格の急落▶ 豪ドルなど資源国通貨売り】 中国の景気減速により需要が減少、さらにイランの原油輸出再開により供給過剰が重なり、原油価格が暴落、コモディティ市場が総崩れとなり豪ドルやカナダドル、NZドルなど資源国通貨も暴落へ 【米国の利上げ▶ 新興国株&通貨売り】 米国は年内利上げの見通し。2年前、バーナンキ前FRB議長が金融緩和縮小をほのめかしただけで新興国通貨は暴落、日経平均も1000円超の下落とバーナンキショックが襲った。利上げ実現で再来か 【EU分裂▶欧州株売り】 スペインではカタルーニャやバスクの独立機運が高まり、スコットランドの独立運動もくすぶったまま。欧州各地で反EU政党が台頭するなど、欧州分裂へのエネルギーが爆発すれば欧州発のショックもあり得る 急落時に1500万円を投じた株式トレーダー まずはバリュー投資に定評のある株トレーダーのかぶ1000氏。上海ショック時には1500万円を投じて割安銘柄を拾いにいったという。 「寄り付きで大きく下がっていた銘柄は直近の安値を参考に指値を入れました。それでも買えたのは欲しかった銘柄の半分くらいですけどね」(かぶ1000氏) 「買いたいけどちょっと高い」なんて銘柄を急落時に買っていったわけだ。西原氏もこう助言する。 「世界でショックが起きれば日本株も急落するでしょうが、そこは押し目を拾うのが基本路線。アベノミクスにとって株高は生命線、瞬間的な急落はあっても買い支えてくれるでしょう」 うまく拾えれば実りも大きい。そこで、かぶ1000氏に急落時に拾いたい銘柄を5つあげてもらった。 かぶ1000流 急落時に拾いたいバリュー銘柄5選 【遠藤製作所】JQ・7841 ゴルフクラブのヘッド素材でトップ。赤字が2期続いているが、人件費圧縮などリストラを進め業績底打ちの期待もある。上海ショックでも安値は限定的、戻りも急だった 【共成レンテム】東2・9680 北海道を地盤とする建設機械のレンタル業者。ジワジワと営業地盤を拡大し、最高益更新が続いているわりにPBRは0.57倍、PERに至っては5.7倍と割安感が非常に強くお買い得 【エンビプロHD】東2・5698 建築資材や廃車などの鉄スクラップを東南アジアなど海外向けに販売。下落が続いた鉄スクラップ市場が底打ちし、業績の下ブレリスクが低下。PER6.7倍と割安水準で配当利回りも3.5%と高い 【日本農薬】東1・4997 農薬大手。PERは12倍、PBRは1.39倍と割安感は薄いものの、TPP締結で輸出増が期待されるTPP銘柄の本命だ。中間決算が絶好調で今期業績の大きな上ブレ期待も追い風 【ムロコーポレーション】JQ・7264 ハーバービジネスオンライン © HARBOR BUSINESS Online 提供 ハーバービジネスオンライン 自動車用を主とする精密プレスメーカー。PERは7倍台、PBRも1倍割れと割安水準にあり、かぶ1000氏も今回のショックで指値を入れて待ち構えたが届かずに現在上昇中。次の急落待ち 「急落時にうまく拾えると、戻りも早い。遠藤製作所は2週間足らずで20%上昇したので、もう売却して40万円近い利益になりました。大切なのは急落時に安値で拾えるよう、平時は資産の10~15%はキャッシュにして備えておくことですね」 続いて、FXではどうか。現役東大大学院生でFXトレーダー・田畑昇人氏は今回のショックを利用し、数百万円の利益を出した。彼が注目したのは、月曜日に発生した「窓」。金曜日の終値と月曜日の始値の乖離を狙うトレードだ。 「月曜日に窓が発生しても、いったんは金曜日の終値近くまで戻すことが多かったんです。そこで、月曜日に早起きして窓を確認できたら、買いポジションでエントリー。窓を3分の2くらい埋める方向に動いたら決済して、利益を確定させます」 この2人のように、金融市場を揺さぶるショックもうまく立ち回れば、資産は一気に増やせる。 「利益が億を超えるような個人投資家には、暴落時にうまく稼いだ人が多い。暴落はむしろチャンスなんです」(西原氏) 次なる暴落に備え、口座と資金を準備しておきたい。 【西原宏一】 シティバンクでチーフディーラーなどを務め、’09年に独立。注目度ナンバーワンのプロトレーダー。著書『30年勝ち続けたプロが教えるシンプルFX』 【かぶ1000氏】 中学生のときから株を始めた生粋の株式投資家。バリュー株への投資を得意とし、累積利益は2億6000万円超。HP:http://plaza.rakuten.co.jp/kabu1000/ 【田畑昇人氏】 東京大学大学院在学中。大学3年時にFXを始め、独自のトレード法を確立。近著に『東大院生が考えたスマートフォンFX』。HP:http://shototabata.com/ <取材・文/高城 泰(ミドルマン) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.08.10 13:35:56
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