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【今日の復刻記事】 迫田さおり バレリーナとリオのジャンプ 2011.02.23 久しぶりに女子バレーボールの試合(JT vs 東レ)をテレビ観戦したら 解説が、迫田さおりさんだった 懐かしい 懐かしついでに 彼女(コートネームはリオ)について書いた過去ログを復刻してみる ―― 復刻記事 ―― 迫田さおり バレリーナとリオのジャンプ リオ」こと、迫田さおり選手のアタックフォームは,世界一美しいと思う 今日はそのジャンプの秘密について考察してみたい まず、リオのジャンプ・フォームの美しさ これはバレーボール雑誌「月刊バレーボール」に於いても、模範的なスパイクフォームとして、リオのスパイクの分解写真が紹介されているなど、身びいき無しに定評のあるもの もちろん、テレビで見ても、試合会場で見ても、その美しさと空中に舞う高さは、会場のファンの嘆声を誘う その容姿と共に、リオはバレー界で、最も「見せる」選手と言える ❏ ❏ ❏ ❏ むっしゅえるむさんが,ご自分のブログで、こうつぶやいている ---- リオスイッチは、時間が空中でとまるのだ。 サオリスイッチが、流れを決めるなら、リオスイッチの華麗なる空中ショーは流れを呼び込むものなのだ。 どうみても315センチはありそうな華である 315cmとは、リオのジャンプの最高到達点である(推定) 以下は,私の独り言だが ❏ ❏ ❏ ❏ リオ(迫田さおり選手)の驚異的なバックアタックは, バレー【観戦】を バレー【鑑賞】にと、 バレーに対する「パラダイム」を変えてしまったと思う リオのバックアタックは,バレー界に於ける【現象】になってしまった バレー界は,彼女に感謝しなければいけない むっしゅえるむさんから、こういうレスをいただいた ---- そうなんです。もう「美意識」をもって見るものなんです。 というか、動くアートです。むかし、おそろしく跳躍できるニジンスキーがバレエを変えたように、このバックアタックはバレーを変えました!で、それに一番影響を受けたのがほかならぬ木村沙織選手なんだと思います ---- ニジンスキーとは、ロシア出身の昔の伝説の男性バレエ・ダンサー そのジャンプが美しくて高いので、一躍、世界の寵児になった ちょっと昔の話になるが、英国のニジンスキーという馬が史上最初の三冠馬になって、ニジンスキーという名前を人々の記憶に、また蘇らせたのだが 競走馬に、ニジンスキーと命名するなんて、センスがいいな~ ❏ ❏ ❏ ❏ ここで本題だが リオのジャンプは、 「滞空時間が長い」と、よく言われる うっかり、なるほどと思ってしまう だが、本当にそんなことがあり得るのか? そのへんを,考察してみたい 考えてみたら,選手のジャンプの質や体型や体重(失礼)で、滞空時間が違うはずがない 選手が最高到達点から落ちてくる時間は、引力の作用だから,等しく平等なはずである 華奢なリオでも,あの中国の主砲、巨漢、王選手でも、同じはずである 東レで言えば,リオでも,荒木主将でも同じはずである(失礼) アリストテレス以来の2000年間 「物体は、その重さによって落下スピードが違う」 と思われていた しかし ガレリオ・ガレリーのピサの斜塔での有名な実験で証明しようとした 「物体落下の法則 The Law of Falling Bodies」通りなら、 ◆ 落下は重さに関係無い 現代では、Apollo 15 Mission で宇宙船の中(真空)での実験 ハンマーと羽毛が同時に床に落下した しかし、地上では【空気抵抗】があるから、落下のスピードが違ってくる 空気抵抗の大きい羽毛の落下が遅くなる バレー界に、空気抵抗が異常に大きい(笑)という選手がいるはずがない では、なぜ、バレーでは、あたかも、「滞空時間の長いジャンプ」が、常識のようにい言うのか? バレー解説者達も、そのこと矛盾には気がついているようなのだが ◆ いや、それに気がつかずに、ジャンプの高さと混同しながら、深く考えずに乱用している解説者がほとんどか? 「滞空時間=空中で与えられた準備期間」が長いと,スパイクの「ため」が効き、同時に、スパイクの「打ち分け」などが可能だ・・・と言うような意味合いのようだ 多くのバレー関係者が,「物体落下の法則」に反した【滞空時間】が実在するがごとく語る それに、むっしゅえるむさんも、リオのジャンプは,時間を止めると言っている 謎は深まる ❏ ❏ ❏ ❏ ところが この間、ある番組で,バレエダンサーのジャンプが紹介されていたのを見て、ヒントを得た その番組では,優秀な女性バレエダンサーと,まだ修行中の学生ダンサーのジャンプの違いを、超高速度カメラ画像でみせて、一流のダンサーのジャンプの美しさの秘密・・・が解明されている ジャンプの違いとしては,もちろん、高さもある しかし、観客の目に印象として,美しさや芸術性に於ける違いをおこさせるポイントは ジャンプの頂点での,開脚の角度と、同時に床と平行に伸ばした手や腕の高さである事が解説された 女性バレエダンサーが,ジャンプして開脚する バレエ用語では,専門的に名称があるようだが,忘れた この開脚が舞台と水平に,180度に開かれて,直線に見えると,バランス的に、一番美しく見える また、同時に水平方向にパラレルに両腕を伸ばす その延ばした両腕の位置が高いほど,優美に見える 頭部を無視すれば 両手・両脚を開くと、カタカナの「エ」の形に似ているだろうか? その結果として,ダンサーが、優美で、一瞬止まったような錯覚を起こし 観客の目に対して、空間的に、出来るだけスケールの大きな、表現力に秀でた形を見せるのである これに対して,まだ初心者的な、バレエ練習生のジャンプは 開脚角度も足りないし,腕も上がっていない 結果として,極端に言えば,何もしないまま、丸太のように(失礼)、ドスンと言う形で落ちる 美を表現し得ていないからなのである ❏ ❏ ❏ ❏ これと、似たような事が,バレーのジャンプにおいても言えるのだと思う 同じジャンプでも,リオのジャンプは,フォームからして,他の選手と違う 長い助走から,猛スピードで進む 両手をそろえて,踏切って、飛び上がる それから、左腕を進行方向に大きく伸ばす サッカーのアジア選手権決勝でダイレクト・ボレーシュートを決めた李忠成選手が、直後に中天に弓を引き絞るようなパーフォーマンスを見せたが、あれに似ている そうしながら、強い背筋を生かして,思い切り身体をしならせる そのピークでは、身体が,本当にCの形になる 体幹がしなやかでないと出来ない事である 同時に、身体をねじって、右肩を後方に引く 右肘を高く上げて・・・ それから、華奢な身体に似合わない、鋭く強烈なスパイクである スパイクが終わると着地 両足を深く折りたたんで,ショックアブソーブをフルにして着地する この一連の動作が,スムーズで,ムダが無く,美しい 白鳥の飛翔のようである リオのジャンプが「滞空時間が長い」と言われる原因は,この様に,多くの動作が ◆ ノビノビと,スケールが大きく ◆ 滑らかに,しかしメリハリを持って ◆ 美しく優美に なされるから、 バレエの場合と同じで同じジャンプでも、 (1) 非常に多要素な動作が視覚情報として観客の頭にインプットされる つまり、視覚情報の質が高く、量が多いと,脳内で、その情報読み解きに時間・手順がかかる分だけ、「時間が伸びて感じられる」という「錯覚」をおこさせるのだと思う (2) また、その動きが美的だと、その対象に引き込まれるために、心理的に、時間が余計長く感じられる 反対に,ただポンと,垂直に飛び上がり,丸太のような腕でポンとスパイクをして、そのまま、ドスンと落ちる(悪意の感じられる表現かも知れない)(笑)のとは、視覚情報の量と、質が違うのである 観客としては、後者に関しては,視覚情報が少ないから,ジャンパーの動きに吸い寄せられないから、ただながめるだけで,視覚情報読み解きもほとんどしないから,時間が短く感じる そのまま、ストンと、ドスンと(笑)落ちることも予想できるから、意識的な時間が短くなる 要するに、リオのジャンプは、実際にも、日本人選手中、最高の高さではあるのだが その上に、その動きの独特の美しさで、見るものの側に、あたかも、滞空時間が長いがごとき、錯覚を起こさせるのである 同じ時間でも、「時間が長く感じられた」という経験はだれでもしている 物理的な時間と、意識内の時間は、必ずしも一致しないのである ❏ ❏ ❏ ❏ ―――― ストップモーション ―――― もうひとつ、別の言い方をすれば バレエの跳躍や、リオの空中スパイクは ◆ 一種の、ストップモーション効果 を観客の目に与えるのだと思う それが【滞空時間が長い】という感覚を与える 分野は違うが、歌舞伎に於ける、「ミエ」も同じ効果を狙ったのだと思う 江戸時代の歌舞伎の時代には 映画のストップモーションは、まだ無かったのだから ああいう形で、演技的な【ストップモーション」を考案したのである ・・・と書いたのだが、 敢えて、訂正したい 歌舞伎の「ミエ=見得」は、ストップモーションでもあるが むしろ、クローズアップ、ズームアップだろう スローモーションに当たるのは 歌舞伎の勧進帳において、 弁慶が花道を、 「時間をかけて」「一歩ずつポーズを決めながら」退出する演技 弁慶は、本当は、一生懸命に、義経を追いかけて行くのだが その一生懸命さを表現するために、 わざと、あんな、遅い、誇張した、「走り方」(笑)の演技になる あれは、調べてみれば「六方」と呼ばれる演技の型 ---- 六方【ろっぽう】 特別に大きく手を振【ふ】り、足を力強く踏【ふ】みしめながら歩く演技です。 主に舞台【ぶたい】から花道【はなみち】を通って引っ込【こ】むときに行われます。六方では右手と右足というように同じ方向の手足を同時に動かして歩きます。 さまざまな種類がありその役の性格や気持によって、使い分けられています。 ---- 弁慶のは「飛び六方」 あれこそが、昔の歌舞伎に於けるストップモーションではないか?
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最終更新日
2020.12.21 06:51:11
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