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日本語というもの 昨日「外国人ライターたちの日本語に関する座談会」という記事を出したが 確かに俳句・短歌は、日本語の簡潔表現の最高峰である 定型短詩形式に無理やり押し込めるために その中に、比喩・省略・暗示などもあって 外国語への単純な訳など極めて難しい 難しいだけでは無く、意味が希薄に 時にはほとんど無意味にまで、なってしまう ○○○ 例えば芭蕉の 古池や 蛙飛び込む 水の音 これについては、以前、ブログ記事にしたことがあるが これを英訳すればどうなるか?が、いい例だと思う ー 実は、今、米国の芭蕉の俳句を論じたサイトをみつけたので いずれ、英語のまま、記事としてアップしようとは思うが ー ○○○ その中で、有名な人の訳を2つ見てみると ○○○ 古池や 蛙飛び込む 水の音 ○○○ The ancient pond A frog leaps in The sound of the water. (ドナルド・キーン訳) ○○○ Old pond - frogs jumped in - sound of water. (小泉八雲=ラフカディオ・ハーン訳 ) ○○○ さすがに英語だと、蛙、だけではすまない ドナルド・キーンさんは、単数形、一匹にしていて 小泉八雲は複数の蛙である 現在形と過去形という違いもある そうなると世界も少し違う ○○○ ドナルド・キーンさんの世界は 現在、今、蛙が飛び込んでいる(笑) ○○○ 小泉八雲の世界では 複数の蛙がポチャン ポチャン と、すでに飛び込んでいて しばらく小さな音が響いていた そうして、池の表面の波紋がようやく収まったか収まらないか そんな世界だと思う ○○○ ただ、これは、私が敢えて深読みをしているのであって 英詩としては、芭蕉の俳句という下駄をはかせてもらっているものの 伝統的な「英語の」詩のレベルには、とてもかなわない ○○○ 私としては俳句の英訳は、残念ながら、たいして意味のある事では無いと思う ただし日本の文芸芸術の紹介の手段としてはいいものだし 多少、QUALITY が落ちても、英米人には面白いものかもしれない * * * また話が勝手に OUT OF BOUNDS してしまったが 言いたかったことは 俳句・短歌という定型短詩が簡潔日本語の頂点である事 ○○○ だが、それだけでは、まだ無い もう一つ言いたいことがある それは 「漢字の威力」という事である ○○○ 試しに文章における漢字の量を意識的に増やしてみると良い 急に文章が、引き締まって、表現が形而上的・抽象的になり レベルが上がってくる 時によっては、高雅という感じにまで成る ○○○ ただ、反対に親しみやすさは減る わかりやすくなる、場合もあるし、そうでない場合もある これは漢字の威力だと思う 漢詩のすばらしさは漢字に負うものだと思う ○○○ いわゆる漢字文化圏というものがある 漢字の発祥の地、中国を中心に その属国朝鮮(オイオイ) 台湾 日本 越南(ヴィエトナム) ○○○ ただし、中国以外、漢字を今でも使用している国は 台湾と日本だけである 北朝鮮の事は、正直、よくわからないが 南朝鮮・韓国は、愚かなことに、漢字使用をやめてしまった ヴィエトナムも、昔は、チュノムという 合成漢字みたいなものを含め、漢字の国だったのに (そりゃあ、中国に600年も征服されていたのだから) フランス宣教師の奸計に乗って(笑) アルファベットに変えてしまった これも結果的に愚かなことだとは思うが ○○○ 私はヴィエトナム戦争当時の南ヴィエトナムの 首府だったサイゴン(今のホーチミン)に商社員として駐在していた 少しヴェトナム語を勉強したこともあって知っているのだが ○○○ ヴェトナム語には、征服者中国の漢字が濃く溶け込んでいる その溶け込んだ語彙の分野別で言えば、為政者中国の ー 政治的語彙 ー 軍事的語彙 ー それに加えおそらく文芸的語彙 なのである ○○○ 抽象的な語彙は、漢字が多い だから、ヴェトナム語を日本人が学習しようとすると かなり漢字の恩恵にあずかって、容易であると思う 現に私がそうだった ○○○ こう考えてくると 韓国・ヴェトナムが、たとえ、漢字を廃止したところで その韓国語・ヴェトナム語という言語の背骨あたりに たとえそれが漢字という形態を変えても CONCEPTION として 漢字が濃く濃く溶け込んでいて ある意味、日本語がそうであるように その言語の半分は中国語である と言い切ってもいい そう私は思っている ○○○ 現在、語族としての日本語を説明する説は多いが 主流な説は、日本語がアルタイ系言語と オーストロネシア語の混合語起源とするものである ○○○ 私はもちろん、この説がかなり信頼性のあるものだとは思う 日本語と朝鮮語は文法的に非常に近い その他、満州語・ラップ語・ラトビア語・フィンランド語 ・マジャール語などにも近い ただ、発音は母音の多い南洋的な響きがあり オーストロネシア語系であると思う ○○○ しかし、忘れてはいけない 漢字導入後以来の日本語は、半分中国語である という側面もある 要するにハイブリッドであると言えば簡単か?(笑) ○○○ しかし、日本語は漢字導入で中国語に征服されたわけでは無い(笑) 漢字とつなぐ機能の、助詞としての機能も大きい 漢字=中国語を最大に生かし、日本祖語の響きをしっかり保持する、「ひらがな」 それに外来語のレセプター(受容器)としての「カタカナ」 彼らも偉大なプレイヤーである 漢字・ひらかな・カタカナ これらが三位一体となっている日本語は 世界最強の言語の一つだと思う ○○○ ああ、しんど きょうは これくらいに しといたるわ
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