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プーチンに「寝返り」へ…! なんと「サウジアラビア」が“アメリカと仲間割れ”で、いま「中東」で起きている“ヤバすぎる現実”…! 10/20(木) 7:33配信 現代ビジネス 米国政府は10月11日、OPECプラス(OPECとロシアなど大産油国で構成)による減産決定を受け、サウジアラビアとの関係を再評価していることを明らかにした。 このままではアメリカとサウジの関係が抜き差しならないものになる可能性がある。 OPECプラスは10月5日、11月から日量200万バレル(世界の原油生産の2%)の減産を行うことで合意した。 実際の減産幅は日量100万バレル程度にとどまる見込みだが、大幅な減産を行わないよう働きかけていた米国の意向は無視された形だ。 国内の反対を振り切って7月にサウジアラビアを訪問したバイデン大統領のメンツも丸つぶれだ。 米国政府は代替策を検討しているようだが、SPR(戦略石油備蓄)の追加放出など打つ手は限られている。国内の原油生産が増加する可能性も低い。 OPECプラスの決定を受けて、9月下旬に1バレル=76ドル台だった米WTI原油価格は80ドル台後半に上昇。このままでは再び1バレル100ドル台に高騰しかねない。 11月8日の中間選挙を控えるバイデン政権はガソリン価格の抑制に努めてきた。 ガソリン価格は一時の高値から下落していたが、10月に入り、再び上昇しており、与党民主党が打撃を受けると懸念されている。 「ロシアが原油価格をつり上げた!」 イスラム教シーア派のフーシとの停戦合意が失効。フーシ―は石油会社への攻撃を宣言している Photo/gettyimages サウジアラビア政府は「OPECプラスの決定は世界の原油市場の安定に貢献する」と強調しているが、米議会では「サウジアラビアがロシアに加担して原油価格をつり上げた」との不満が爆発しており、悪名高き「NOPEC法案」への関心が再び高まっている。 この法案は、反トラスト法(米独占禁止法)に規定されている「産油国及び国営石油会社が訴訟対象にならない」という免責条項を廃止し、サウジアラビアなどを米国の裁判所に訴える権限を司法長官に与えるという内容だ。 昨年に下院の委員会が承認し、今年5月には上院司法委員会も承認しているが、この法案が再び議会で審議されるのは中間選挙以降であり、成立するかどうかは不透明だ。 この法案以上に気になるのは、メネンデス・上院外交委員長(民主党)が10日「武器売却などサウジアラビアとの協力関係を凍結すべきだ」と発言したことだ。 7月のバイデン大統領のサウジアラビア訪問以降、米国政府はサウジアラビアの武器売却を再開しているが、見返りである「増産」が反故にされた今、武器売却を再び凍結する可能性が高まっている。 サウジアラビアにとってこのタイミングで米国から武器が調達できなくなるのは痛い。 今年4月に国連の仲介で成立していたイエメンのイスラム教シーア派武装勢力フーシとの間の停戦合意が、2日に失効してしまったからだ。 この合意は6月と8月にそれぞれ2ヵ月間延長されてきたが、「自らの支配地域の苦境が好転する兆しが見えない」としてフーシが延長に応じなかった。 国連は「引き続き停戦延長に向け取り組む」と表明しているが、フーシは「侵略国の石油会社や港などへの攻撃を再開する」と警告を発している。 侵略国とはアラブ連合軍の中核を成すサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のことだ。 4月の停戦合意発効前、フーシは弾道ミサイルやドローンを用いてサウジアラビアやUAEの石油施設などへ越境攻撃を相次いで行っていた。 3月下旬にはサウジアラビア西部ジッダの国営石油会社サウジアラムコの石油貯蔵施設が攻撃を受けたことで供給懸念が高まり、原油価格が一時高騰している。 長年の投資不足がたたって、OPECプラスの中で増産余力があるとされているのはサウジアラビアやUAEだけだ。 イエメン各地では早速、戦闘が再開されたと報じられており、米国からパトリオットミサイルなどが調達できなければ、サウジアラビアの石油施設は再びフーシのミサイルなどの餌食になってしまうとの悪夢が頭をよぎる。 泥沼化するイエメン情勢だが、2015年にイエメン内戦への軍事介入を決定したのは次期国王を目指すムハンマド皇太子だった。 火花を散らすバイデン大統領とムハンマド皇太子 原油価格の状況はまだまだ予断を許さない Photo/gettyimages サウジアラビアでは権力の移行が最終段階に来ているとの見方が強まっている。 サウジアラビアのサルマン国王は9月27日に実施した内閣改造で、自身が兼務していた首相にムハンマド皇太子を指名した。 王位継承を円滑に進めるための布石だと見られているが、ムハンマド皇太子への権限移譲が進んでいるものの、サウジアラビア王室内では現体制への不満がいまだにくすぶっているとの観測がある。 ムハンマド皇太子とバイデン政権との関係が再び悪化しつつあり、今後サウジアラビア自体の地政学リスクが材料視される可能性も排除できなくなっている。 OPEC第2位(日量約450万バレル)のイラクも心配だ。昨年12月に米軍が事実上撤退したイラクでは政情不安が深刻化しているからだ。 昨年10月に総選挙が実施されたが、いまだに政権が樹立される目途が立っていない。 石油資源に恵まれているのにもかかわらず、インフラ不足のせいで国民は水と電気の不足にあえいでおり、各地で抗議活動が激化している。 2003年の米軍のイラク侵攻後、最悪の政治危機に陥っていると言っても過言ではないが、米軍が再びイラクの内政安定に汗を掻くつもりはないようだ。 原油はまた100ドル超えるのか… 現在生じている騒擾は石油施設が集中する南部バスラなどにも飛び火しており、イラクからの原油輸出が大幅に減少するリスクが生じている。 このように、米国の関与低下が中東地域の地政学リスクを高めている。 そうなれば、原油価格は1バレル=100ドル超えとなってしまうのではないだろうか。 藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.20 18:08:01
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