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「生命とは何か?それは動的平衡」 福岡 伸一(生物学者、青山学院大学総合文化政策学部 教授、ロックフェラー大学 客員教授) 2018年7月22日 動的平衡の生命観 生命とは何か? 人類がずっと考え続けてきたこの問いに、 現在、生物学は 何と答えることができるだろうか。 20世紀の中盤、 DNAの二重らせん構造 が解明された。 相補的な構造を持つDNAの鎖が、 互いに他を鏡に映す 対応関係で存在している ことは、 そのまま 遺伝情報の複製と伝達 を示唆するものだった。 その結果、 これ以降の生物学は、 生命を「自己複製するシステム」 と定義した。 しかしもうひとつパラダイムがあった。 この発見に先立つこと10年ほど前、物理学者のエルウィン・シュレディンガーは自著『生命とは何か』の中で、 高度な秩序を保つ生命が、生命として存在するためには、 システムの内部に蓄積されるエントロピーを常に捨て続ける特別の仕組み が必要であると考えた。 この視点から生命を定義できるはずだったが、さすがのシュレディンガーも、特別な仕組みがどのようなものであるかを言い当てることはできなかった。 シュレディンガーの著書に先立つこと、さらに10年ほどまえ、 ドイツから米国に亡命してきた生化学者ルドルフ・シェーンハイマーは 画期的なアイデアを思いついた。 同位体元素で栄養素を標識すれば、 生体内部の代謝を可視化できる かもしれないと。 実験結果は驚くべきものだった。 生体のあらゆる構成要素は 絶え間のない 分解と合成の最中 にあり、 栄養素の構成要素と常時交換されている。 栄養素は単なる燃料ではない。 生命は流れの中にあること をシェーンハイマーは明らかにした。 彼はこれを 生命の”dynamic state" と呼んだ。 日本語では 「動的平衡」(dynamic equilibrium) と言うのがよいと思う。 ここでは、 新たな合成のために、 先回りするかのごとく 分解が絶えず行われて バランス(平衡)が保たれている からである。 また積極的な分解は、 シュレディンガーが予言した、 エントロピーを排出する特別の仕組み でもある。 この予言を 具現化するかのように、 20世紀後半から21世紀にかけての生物学は、 生命がつくることよりも、 自らを壊すことを 一生懸命に行っている様子を 次々と明らかにした。 ユビキチン系、 プロテアソーム、 そしてオートファジー の研究はすべて、 シェーンハイマー/シュレディンガーの流れをくむ もうひとつの パラダイム=動的平衡の生命観 の上に位置づけることができる。 生命とは何か、 と問われれば、 それは動的平衡である、 と答えることができるのである。 ==== 私のまとめ ==== (1) DNAの二重らせん構造 ➡ 遺伝情報の複製と伝達 (2) 生体のあらゆる構成要素は 絶え間のない 分解と合成の最中 にあり、 栄養素の構成要素と常時交換されている。 栄養素は単なる燃料ではない。 生命は流れの中にある
しかし、すごいな 分子生物学的には 明日の私の身体は 部分的に 入れ替わっていて 今日の私ではない だから~ 例え、浮気をしても責任は取らなくてもいい ・・・とはならないか? ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて久しくとどまりたるためしなし。 世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし ー 鴨長明 ー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.10.25 18:58:41
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