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2011.07.25
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カテゴリ:旅行・史跡など

富士山宝永山登山詳細、後編です。


赤岩

ここは登山道から外れるので行くことが出来ませんが、宝永山で有名な赤岩です。

赤褐色のきめ細かい層で出来いますが、これは古富士火山の噴火で降り積もった地層なんです。関東ローム層の色と比較すると面白いと思います。
赤岩は新富士火山に埋もれていましたが、宝永大噴火(1707(宝永4)年)で隆起しました。

宝永第1火口壁

第1火口の底目指して進撃中です(笑)。
真上から迫ってくる宝永第1火口の壁面に圧倒されます。


第1火口から第2火口を望む

第1火口の底まで到着しました。宝永噴火口は3つ折り重なるように存在しています。
上から第1火口、第2火口、第3火口の順番です。大きさも第1火口が一番大きく、第3火口が一番小さいものとなります。

第3火口は残念ながら火口壁で阻まれて見えませんでした。しかし第2火口の方ははきれいに見えました。

さて宝永大噴火の噴火の順番ですが、意外に思う方も多いかと思いますが、小さい第2火口or第3火口から噴火が始まり、一番高い場所にあって一番大きな噴火口であるは、一番最後の噴火であったと考えられています。

なぜそんなことが分かるかと言いますと、航空写真などを注意深く見てみると、第2火口と第3火口は、宝永山の隆起(宝永山は、今の新富士火山に埋没していた古富士火山部分が、噴火の最中に隆起して出来た山です)によって片側が引っ張られています。また第1火口の噴火口によって上側が削られた跡があるからです。

第1火口の足場

ここからが試練の始まりです。第1火口の壁面を上りながら、山頂を目指します。

写真で見て分かっていただければいいのですが、斜面も角度がある上に石と砂利で登山道が覆われています。一歩足を進めと半歩沈む感じでした。絶対に杖が必要です。杖を買ってなかったことを何度も後悔しました。

上に行けば上に行くほど砂利が酷く、蟻地獄の死闘という感じになっていきました。

第1火口壁面上の方から

火口壁をだいぶ登った所の一枚です。携帯酸素を片手に、酷い時は5、6歩おきに一休みしながら登っていました。

このあたりは砂利がさらに細かく深くなってまして、3歩進んで2歩滑る状態です。酷い時は足を持ち上げただけでずるずる滑ります。また靴は砂で塗装されたようにカーキ色に変わってしまいました。

登山の際はすれ違う人達と「こんにちは!」と挨拶するのがマナーですが、私をはじめ、登っている面々は普通に挨拶するのも正直辛い局面
でした(苦笑)。

「頑張れ鳥さん!」
「えらいコース選んじゃったね、でも上はいいよ」
「蟻地獄はもう少しで終わるよ。頑張れ!」

という、降りてくる登山者からの声に励まされつつ、文字通り一歩一歩踏みしめながら登っていきました。「登山は自分との戦いでもある」という言葉がありますが、まさにその通りだと実感できます。

第1火口壁面

登り切るまで後一歩のところです。第1火口壁の先端の写真です。斜面の傾斜が激しい事がよく分かりますね。

第1火口の大きさは1.3~1.6キロメートルぐらいです。日本火山学会の定義では、「2キロメートル以下の噴火口は「火口」、2キロメートル以上の噴火口は「カルデラ」」となっていますので、もうちょっと大きければ、「宝永第1火口」ではなく「宝永カルデラ」と呼ばれていたかも知れません。


宝永第1火口壁を登り切ったところ

ようやく蟻地獄を抜け火口壁の上に着きました。
思わず「やったぞ!」と叫びたい気持ちになりました。それは私だけではないようで、少し離れたところでは、「ヤッホー!」と叫んでいる人もいました。

宝永山頂上

宝永第1火口壁を登り切ったところから、宝永山山頂までは5分ぐらい離れたところにあります。山頂に何があるかと言えば、写真にあるこれだけなんですけどね(笑)。

宝永山山頂から駿河湾を望む

宝永山山頂から駿河湾方面の景色です。左手に愛鷹山も見えます。天気がいい時は、駿河湾が一望できるそうですが、残念ながら雲がかかっていてイマイチですね。

宝永山山頂から愛鷹山・伊豆半島を望む

愛鷹山のショットです。雲がいい感じに晴れてくっきりと見えます。


宝永山山頂から箱根、相模灘を望む

御殿場、箱根方面の景色です。写りが悪いので分かり難いですが、箱根山の向こうに相模灘が見えます。

御殿場は、残念ながら伊奈神社の位置は分かりませんでしたが(当たり前ですが)、この宝永山が噴火した際、こちらに向かって焼き砂が降り注いだんだなと思うと、色々思うところがありました。

宝永山から山中湖を望む

ガスがかかって見えにくいですが、写真左側の湖は山中湖です。


宝永山から富士山山頂を望む

こちらは宝永山から富士山山頂のショットです。

富士山山頂は宝永山より約1100メートル高いですから、手に届きそうで届かない悔しい距離ですね。
こちらに挑む日は来るのか? ・・・さすがに体力無いので無理そうです(汗)。

宝永山山頂を30分ぐらいうろうろしていましたが、やっぱり山頂は風が凄く強いですね。轟音と旋風に驚いてしまいます。タオルや帽子を飛ばされた人もいまして、気をつけないと危ないです。私も帰りのバスの時間が気になり始めたので、そろそろ下山することにしました。

富士宮6合目方面を望む

行きは蟻地獄でしたが帰りのは爽快な下りでした。一種スキー感覚でずるずると下ることができます。もっとも下手すると転んで大怪我しますから、加減は気をつけないといけません(私も一度転けました)。

落石

宝永第1火口の底に着いた際、「ひゅるるるる・・・」と大砲の砲弾が落ちてくるような音がしました。
あ、落石だと周囲を見回してみると、第1火口の上から小さな石が二つ、やや離れたところに転がってきました。

今回は火口の底に落ちてきたので被害はありませんが、これが火口ではなく、稜線に落ちていったりすれば、登山者が大怪我する大惨事になる場合がありますから注意が必要です。


   山頂から降りてくる登山者

六合目まで戻ってきました。

富士山山頂方面から降りてくる登山者を撮してみました。見えにくいかも知れませんが、写真中央に写っているピンク色の服を着ているのは、幼稚園か小学校一年生ぐらいの女の子です。頑張って山頂登ってきたようです。凄いですね。

他にも、宝永第1火口の火口壁 のところで、目を回しながら頑張って登っている10歳ぐらいの男の子や(「頑張ってね」と声をかけましたが、答える余力は全くないようで、ご両親と思われる2人が、「頑張ります」と答えてくれました)、火口の底のあたりをニコニコしながら歩いている4歳ぐらいの子もいました。

行きも泊まりがけで山頂目指す小学生ずれの一団と会いましたし、お子さんの登山者が多いのに驚きました。

みんないい思い出ができたでしょうか? 頑張って登山を成し遂げた記憶が、これからの人生に大きな糧になってくれればいいなと思います。

雲海に埋まる愛鷹山

富士宮口五合目に帰ってきました。途中から足がカクカクして大変でした(苦笑)。すっかり体が鈍っているなと苦笑いしきりです。
これは五合目から愛鷹山を撮った一枚です。今度は雲海に埋まって見え無くなっちゃいました。

気圧で潰れたペットボトル

これは家に帰ってから、持ち帰った空のペットボトルを撮ったものです。

潰れているのがお分かりいただけますでしょうか? 登山中空っぽになったものを普通に蓋を閉めて、リュックの中に放り込んでありました。気圧の差でこうなることは分かっていたのですが、ネタになるなと思いまして(笑)。

気圧も酸素の薄いこととあわせて、山の上と地上の小さいようで大きい差です。

今回の富士山宝永山の登山行はこんな感じです。少しでも登山に興味のある方の参考になれば幸いです。






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Last updated  2011.07.26 01:04:11
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