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カテゴリ:旅行・史跡など
第二郭部分にある建物跡です。 深大寺城の特徴として、本丸である第一郭よりも、第二曲輪の方に、大きな建物の跡が見つかる傾向があります。 建物跡から見た第二曲輪を囲むようにある土塁です。 こちらのスペースは第一郭よりかなり広いです。 ちなみに、本来は、土塁の向こうは堀になっていたはずですが、現在は宅地化されており、存在しません。 第二曲輪の土塁(復元)です。本来の位置は、もうちょっと外側だったようです。 第二曲輪外側の第三曲輪につながる虎口です。 ・・・と言っても、復元されたもので、位置はもっと外側でフェンスの向こう側にあったようです。 文字どおり形だけの復元です。 第二曲輪内にあるそば畑です。 ここで育てられたそばが、城兵の食糧になる・・・わけではありません(笑)。城跡で後世つくられた畑です。 見どころとしてはこんな感じです。 まぁ、こんな感じなので、お城に興味のない人なら10分程度で終わってしまうかもしれませんね(苦笑)。 私の場合は、今回は40分位(自転車こいでいてやっぱり疲れてました)、前回は2時間位徘徊していました。これはこれで、見るところやうろうろできる個所はある感じです。 物好きというのはいるものなんです(威張る)。 さて、深大寺城の構造を見てみたいと思います。 遺構から読み取れるのは、結論から言うと(あくまで私の出した結論ですので、ご注意ください)、深大寺城は、防衛のための拠点というよりは、大規模な侵攻作戦を想定した作戦基地という趣があります。 まず深大寺城は第一郭付近を一番高所とした舌状台地となっています。西方を除く三方が湿地帯になっています(その沼地の一角に、現在神代植物公園があります)。 当時の多摩川北岸では、このような舌状台地はよく見られました。 この城を攻撃する場合、攻撃側は湿地帯は軍勢を展開させる事が出来ないので、攻撃は西側からしか出来ません。 そのため第一郭のある南東側を最終防衛線とし、北西側に第二曲輪、第三曲輪が広がる三層構造になっているのです(ただし、第三曲輪の外側に、未完成の堀の跡が見つかっており、未完成で終わった第四曲輪も計画されていたと思われます)。 各郭は堀と土塁で分けられており(ここの堀は薬研堀ではなく平地になっています)、見た目ではピンとこないと思いますが、防御効果は高いものです。 例えば敵が攻め寄せてきて、(現在は存在しない)第三曲輪から第二曲輪に攻め寄せてきた場合、土塁の上と櫓(第二曲輪の両端には、櫓が建てられるスペースがあります)から側面を射掛けられることになります。 曲輪間の堀が平地なのは、逆襲部隊の待機通路として利用するためのものと考えられています。 攻撃により第三曲輪を城兵が放棄した場合、土塁上の城兵は、板などを使って土塁間の橋を作って第二曲輪に後退し、堀に待機した逆襲部隊が、第三曲輪もしくはその外側にいる敵部隊側面を突き、敵の後方を突き崩すという、構想を持っていたと考えられます。いわば、堀を利用した馬出です。 本丸部分が小さく、外側の曲輪が大きいのは、舌状台地のスペース上の問題もあったと思いますが、最も大きな理由は、外側の曲輪が大軍を収容するスペースとして計画されていたことが理由ではと思われます。 つまり、もともとこの城に詰めている城兵の数は多くはなく、もし不意の敵襲があった場合は、スペースの小さい(つまり少数の兵力でも守れる)、第二曲輪と第一郭を防衛線とした守備構想であったと推測されます。第三曲輪とその外側は、大軍が駐留するとき以外は、使う予定が考えられていなかったともいえます。 そして第一郭には大きな建物跡がなく、第二曲輪には大きな建物跡がある理由ですが、これは城兵が駐留していたスペースが、第二曲輪だったからと思われます。 つまり城主もしくは主君が本拠地とするための城ではなく、侵攻作戦の途上に、短期滞在のための城なのです。第一郭は、主君が滞在した時用に立派な建物が作られる予定だったのでしょう。それが出来る前に放棄されたのです。 あとこの城は突貫工事で作られた形跡が見られます。 その痕跡は、前回の写真解説のところでも簡単に触れました薬研堀でみられます。 薬研堀は、その構造上、小さい労力で起きな効果を発揮できる堀ですが、どちらかと言えば、野戦築城タイプの城で多用されることが多いものです。 時間と予算に余裕をもってつくられた城を作る場合、堀は深く、そして広く作られる場合が多いのです。その方が確実で効果的なのです。 つまり大軍を収容できる防御力の高い城を、短期間で築城する必要があって作られたと分析することが出来るのです。 では扇谷上杉家が、どのような経緯で深大寺城が築城したかのか、そしてどのような経緯で歴史から消えていったかについて、また機会を作って書いてみたいと思います。
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