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2014.07.08
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近影3

本日二回目の投稿です。

・「泉ヶ滝」の水枯れ、滝沢林道、大沢崩れの崩壊について

東日本大震災の後も、被災地近くでは井戸や温泉が涸れたり、逆にわき出す量が増えたという話は多く聞かれています。地震によって水脈が途絶える、逆に水量が増えるという事象は珍しくないのです。

大震災後、富士山でも僅かながらマグマが上昇していますから、影響があった可能性はあると思います。

しかしブログで何度か触れていますが、火山噴火は、「マグマの上昇→噴火」という単純図式ではありませんから、今差し迫って富士山噴火の前兆現象と位置づけるのは無理があると思います。

次に小御嶽神社近くの地割れと滝沢林道、大沢崩れについてはあわせて考えてみたいと思います。

まず富士山西側の大沢崩れです。

円錐形の美しいかたちをしている富士山ですが、もちろん左右対称の均等なスタイルというわけではありません。傾斜も緩いところ、厳しい所など多々あります。

富士山の西側、大沢崩れは傾斜がきつく、風向きの関係で風雪の影響を強く受けて風化が進んでおり、日々崩壊が進んでいます。なんと一日あたり約275トンもの土石の崩落が起きているのです。

したがって、今年3月に起きたというレストハウスを直撃した崩落は、施設に被害が出たという意味では驚きがあるものの、「地熱上昇による「万年雪」の融解が進行している」事の証明には全くなっていません。

ぶっちゃけ、レストハウスに被害が出たのは今回が初めてではなく、平成16(2004)年にもスラッシュ雪崩が直撃しています。何故今回だけ噴火の兆候として取り上げているのか、私には理解できません。

次に大沢崩れから富士山を挟んで反対の北東側にある滝沢林道ですが、ここは大沢崩れ同様地盤が弱く、崩壊が起きたりしていたため、ずっと交通規制がされている地域でもあります。

昨年道路を陥没させる大規模な崩落があったのは確かですが、「8合目以上の斜面地下に眠り続けてきた「凍土層」が融点温度を超えて一気に解け、大量流下したとも考えられる」証拠は確認できていません。

ついでに言うと、富士山の永久凍土は、山頂に近い3600m位にあります。今回の滝沢林道の崩落地点は、1850~1900m付近ですので、凍土層が解けて大崩落を起こしたのなら、標高差から考えて、被害地域はもっと広範囲で、もっと深刻なものになるはずなんですけどねぇ。

最後に小御嶽神社近くの地割れですが、これについては少々心配しています。

このあたりは富士山の土台となっている小御嶽火山の古い地層で、噴火が無くなって久しく、岩盤の劣化が進んでいるのではないかと考えられるからです。

湯気らしきものが噴いている写真は私も見ていますが、これの正体は火山性ガスではなく、水だったようです。

冬の富士山山頂付近は、氷点下20度を下回る地域です。そんな環境では熱湯ではなく普通の水であったとしても、「高温」です。太陽光で一部雪が解けて水蒸気化して吹き出した結果(雪の下の岩の材質によっては、太陽光を吸収して雪を溶かすことはあります)、噴気活動のように見えたのではないかと思います。

そう考えると、記事の結論とは異なり、小御嶽神社近くの地割れ、滝沢林道、大沢崩れの状況は、噴火の兆候とは言いがたいものです。しかし1つ気になる材料はあります。

それは富士山の山体崩壊の可能性(小規模なら山崩れレベル)です。

富士山は、山頂からの噴火活動が下火になってから相当時間がたっており(過去2千年の噴火は、全て側火山の噴火です)、溶岩流の上塗りによる補強がないため、岩盤の風化・劣化は着実に進行していると考えられています。このまま噴火がなければ、富士山は南にある愛鷹山のようになってしまうでしょう。

それがいつになるか、その日が来るかはわかりませんが、噴火の災害だけでなく、山体崩壊による災害というシナリオも、ハザードマップの大きなテーマとなるでしょう。

・赤池について

赤池は記事にもあるように、青木ヶ原樹海の中に時折現れる50m位の池のことです。
「7年に一度・・・」とあるように、毎年出るわけではありません。周期的には6~10年ごとという感じのようです。

もう少し正確な言い方をすると、精進湖の水位と関連性があるようで(地下で精進湖・西湖・本栖湖は繋がっていると言われ、精進湖の水位が高くなり他の二湖に流れ、それでも収容しきれない時に、溢れて出現するようです)排水路などが整備されておらず、精進湖の水位が今より高かった昔は、毎年のように出現していたようです。

前回の赤池出現は、平成23(2011)年9月頃ということですから(その前は平成16(2004)年、前々回は平成10(1998)年です)、まだ周期的に出ないのはおかしな話ではないでしょう。1年ぐらいの豪雪や梅雨の大雨では出現するものではないようです。

最後のところですが、平成12(2000)年に低周波地震が多発し、火山学者が警戒したのは事実です。しかし目立ったマグマの上昇は確認できず、 富士山は噴火しませんでした(「富士山は寝返りした」と火山学者たちは評しました) 。これは平成23(2011)年も同様です。

だから、私はこの記事を書いた方とは異なり、あげられた内容を読んでも「「富士山の火山活動は間違いなく加速している!」と推測せざるをえないのだ」という見解に、全然同意出来ませんでした。

もちろん、富士山は火山ですから、明日にでも噴火を引き起こす可能性はゼロではありません。しかしそれは科学的な分析に基づいた予測ではなく、ただの確率論的な話においてのことです。

多分今回の記事も、日頃から「富士山はもうすぐ噴火する」と主張している何人かの先生(その多くは、煽るようにメディアに自説を発表しても、学会で専門的な論文の発表は一切しない種類の方々)に取材したり影響を受けたりして書いたんだろうなと思いますが、正直もっと勉強して欲しいと私は感じます。

まぁ、書き手がどんな結論を推測しようが自由ですけどね。地学が高校生レベルの素人の私から見て、不十分と感じる記事では、失礼ながら素晴らしい内容とは言えないでしょう。

また今回の記事を書いた方はそう言う言い方をしていないので良いのですが、この手の記事で多いのは、散々煽ったあげく、「噴火が起きるかどうかはわからないが、用心に越したことはない」とか、「噴火しないことを祈るばかりだ」という台詞を、枕詞のように使う方もいますが、それを見るたびに「煽ったヤツが言う台詞か!」と、不愉快な気持ちになります。

なぜなら、「富士山噴火カウントダウン」 とか、「これだけ噴火の兆候がある」などと言っておきながら、「噴火が起きるかわからない」などど、自分についてはしっかり逃げ口上を作っているわけですから、無責任にもほどがあります。のせられて慌てふためいた方が馬鹿を見ます。

記事を書くことを仕事にしているなら、内容にふさわしい知識と責任を持ったものを書いたもらいたいと思う今日この頃です。

それではまた。

※2016/10/08 カテゴリ変更






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Last updated  2016.10.08 09:48:54
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