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2014.07.28
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カテゴリ:旅行・史跡など

続きです。そう言えば一週間前の今頃、山の中でビバークしていたんだなぁ(汗)。

DSCF5286s.jpg

鎖場を登り切ったところから、次の難所へつりを撮ったところです。

分かり難いのですが、中央の横に伸びている切り込みみたいなのが道で、その上に見えるのが掴まるための鎖です。もっとわかりやすい写真撮れれば良かったのですが、バランスを崩したら危ないので、怖くて体を伸ばせませんでした(依然高所恐怖症発病中)

鎖場は少しも怖いと思いませんでしたが、こっちはかなり怖かったです。もし足を滑らせれば、100メートルぐらいは落下しますから、強風の時は絶対通りたくないですね。

ここで、9合目までご一緒した女性登山者が降りてきました。

「あ、鳥さん、今来たの?」
「はい、ようやく着きました」
「山頂行ってきたわよ。10合目という看板だけで淋しかったけど、なかなか良かったわよ」
「・・・・・」

その言葉にどう答えて良いか困りました。

というのも、彼女が行き着いたのは、妙高山の最高点で間違いないのですが、「山頂」ではなかったからです。

紛らわしいのですが、妙高山は山頂が2つあります。1つは彼女の行った南峯にある最高峰の2454メートル地点でこれが10合目です。そしてそこから100メートル位北に離れたところに三角点のある山頂(その付近の標高は2446メートル)があります。つまり妙高山は、2つの山頂を制覇して、初めて登頂したといえる嫌な山なのです。

しかし彼女の様子を見ていると、かなり疲れた様子で、「もう一つの山頂はご覧になりましたか?」などと、水を差すことはできませんでしたから、「お疲れ様でした」と答えるだけにとどめました。こうして彼女と別れた後、私は岩登りに入りました。

岩登り、フリークライミングといいますが、基本はそんなに難しいものではありません。

三点支持(岩を登り降りする際、両手両足の4つで体の重心を支えますが、移動する際、例えば右手を岩から外した場合、他の三点で全体重を支えるようにすることです。三点になった瞬間体がぐらつくというのは、三点支持が上手くできていないためです)の基本を守っていれば、落ちて大怪我をすることは無いのです。後はパズルのように、「この岩は自分の重心を支えられるか?」ということを、探り確認しながら、一歩一歩進んでいけばいいのです。

もっとも私が出来るのは初歩の初歩だけで、本格的な岸壁登りは難しいですけどね(汗)。

妙高山の岩は掴みやすい、足をかけやすい岩が多いので、三点支持しやすくさくさく登れます。
ちなみに私は途中、登山道を示す赤ペンキの矢印を見落として、全く違う方向に登ってしまいました(汗)

DSCF5290s.jpg

山頂付近はこんな感じで岩だらけです。妙高山山頂は溶岩ドームですので、岩はその名残です。

DSCF5298s.jpg

これが妙高山の三角点、もう一つの頂上です。一般的にはここが山頂と見なされています。

当初の予定から1時間半ほど遅れて到着しました。

急いで山小屋まで行かなくてはいけないのですが、少し前から体調が凄く悪くなって(左背中から胸の方にかけて痛みが酷く歩けなくなりました)、動くのが難しくなってきました。
時間はおしていましたが、これでは行動は無理です。やむなく山頂で休息を取ることにしました。

私の携帯はつながらないので、他の登山者が来て携帯がつながるなら、借りて連絡を取らせてもらおうか、もし痛みがとれずに動けない場合は、救助要請も考えないといけないかと考えましたが、こういう時に限って登山者は一人もやってきません(汗)。

30~40分ぐらい山頂にいましたが、誰も来ないし体調の方も落ち着いて、どうにか自力で下山出来そうな感じになってきたので、山頂を降りることにしました。

問題は登ってきた南の赤倉登山道ルートで下山するか、北へ抜け山小屋を目指すべきかです。

地図上の所要時間を比べると、赤倉登山道ルートで下山した場合5時間位かかり、一方宿泊を予約してある山小屋高谷池ヒュッテまでは、妙高山山頂から3時間あまりで着くはずでした。

ですが体調が悪くて、歩く速度が半分に落ちて移動時間が倍になっていると仮定して、赤倉登山道ルートは最大10時間位、高谷池ヒュッテへは6時間かかると考えました。

時刻は14時半過ぎでしたので、赤倉登山道ルートだと、夜中に山中で孤立する可能性が高くなりそうでした(運が良ければ大谷ヒュッテに避難して、休むことが出来たかも知れません)

高谷池ヒュッテに向かう場合、遅くても20時頃に着く計算になりますから、夜にかぶってしまうものの野宿せずに済みそうだと考えました。

言い訳っぽく聞こえるかも知れませんが、最初の予定に頑固に拘ったのではなく、それなりの計算と考えをもとに北へ向かったのです。でも結果的には野宿するハメになったのは、前にブログで書いたとおりです(汗)。

北側のルートは、南と違って鎖場やへたりなどはありませんが、急坂が多くて転びそうな道が続きます。ゆっくりと(というか早く歩けませんでした)降りていきましたが、下に広がる光景を見て驚愕しました。

DSCF5305s.jpg

雪渓です。

確かに妙高山など、頸城三山は、北アルプス同様7月まで雪渓が残っている山ですが、今回最終的に登山した理由は、山小屋情報等で、「今年は雪渓が無くなりました」と聞いていたからです。しかし実際にはたんと残ってました。もしかしたら前日までの大雨で、再び雪渓が出来たのですかね。

写真ではたいした大きさではありませんが、これは序章です。この雪渓を越えると、次の雪渓が現れ、数百メートルの雪の道が続きます。慎重に歩いていきましたが、数メートルも歩かないうちに転倒、滑り落ちるハメになりました。

もし他に登山者がいたら、雪渓を「クワッ! クワッ~!」と叫び声を上げながら、回って滑り落ちていく鳥類の姿を見ることが出来たでしょう。

この時私の脳裏には、中島みゆきさんの名曲「時代」の一説、 ♪まわるまわるよ時代はまわる♪ という部分を替え歌した ♪まわっておちるーよ、鳥類が落ちる♪ が、繰り返し再生されていました(汗)

こうして雪渓を滑り落ちながら、黒沢池分岐に到着しました。幸い雪渓は登山道の上だけだったので、登山道を越えて谷間に落ちる最悪な展開は避けられました(滑り落ちながら、登山コースを示す赤い目印を確認しながら針路を調整していました。開き直りの勝利です!)。もし登山道の外に雪渓が続いていたら、まじめに遭難していたでしょう。運が良かったです。

黒沢池分岐にはベンチが設けられていましたので、ここで一休みすることが出来ました。

黒沢池は、妙高山の水補給地の1つで(しかし夏場などは涸れていることが多いようです)したので、冷たい水を飲んで一息つくことが出来ました(水汲みの時、雪渓に滑って、2回も頭から川の流れの中に突っ込んだのは内緒です)

いやぁ、ここの水は冷たくて最高でした。やっぱり水道水とは全然違う自然な味に舌鼓をうちました。本当に生き返りました。それに水も1リットルほど補給出来ました。

一息ついた私は、山小屋高谷池ヒュッテ目指して、このルート最大の難所である大倉乗越目指して進んでいきました。派手にお尻から滑りましたが、ズボンは米軍の防水加工のズボン(使い込んだので、機能はかなり落ちてきましたが)だったので、下着まで大きく濡れずに済み、靴内も濡れていませんでした。

しかし痛みは感じていませんでしたが、足の皮がむけたりまめが出来たりして、無意識に足が進みづらくなっているよう感じました(予想以上のひどさで、下山後驚愕しました)。事実、この時16時半頃、妙高山山頂から黒沢池分岐の行程は、本来1時間程度ですから、倍の時間がかかっていました。疲労と体調不良に加えてそれが気がかりでした

早く行かないと不味いと大倉乗越に向かいましたが、そこも深い雪渓に覆われていました。

慎重に登りはじめましたが、滑ること滑ること、こちらは先ほどの雪渓があった場所と異なり、斜面は急でした(雪渓を見てみると、他の登山者たちの血と汗と涙の跡(滑り落ちた跡や、必死に雪に掴ろうとした跡)が、見受けられました)

登山の1週間ほど前、DVDレンタルで『八甲田山』を観たからでしょう。鳴沢のゴルジュ(峡谷)にはまって崖を登ろうと、転げ落ちていく雪中行軍隊の姿と、これからここを上ろうとした際の自分の姿が重なって見えてしまいまして、私は大倉乗越を越えるのは無理と諦めました。

となれば下山です。私は大急ぎで黒沢池分岐まで戻り、燕温泉へと抜ける下山道(燕新道)へ針路を取りました。

携帯はつながらず、残念ながら山小屋にお詫びの電話をすることも出来ません。ドタキャンを心の中で謝りつつ、燕新道を下っていきました。

次回はビバーク中の話を中心書きたいと思います。






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Last updated  2014.07.31 21:48:37
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