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2014.10.23
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両羽を揃えて

昨日神戸大が巨大カルデラ噴火と呼ばれる火山噴火が、100年以内に1%の確率で発生するという予測を発表しました。「最悪なら日本の総人口分死亡」と言う見出しをつけた新聞もあって、ギョッとされた方も多かったかも知れませんね。

以下引用します。

カルデラ噴火、桁違い 予測と防災極めて困難- 産経ニュース(2014年10月23日07時59分)


 神戸大が22日に発表した巨大カルデラ噴火の発生確率は、めったに起きない低頻度の巨大リスクにどう対処すべきかという難しい課題を浮き彫りにした。巨大噴火の予測や対策は極めて困難で、専門家は観測や研究を強化する必要性を指摘している。
 巨大カルデラ噴火は、日本では1万年に1回程度の頻度で起きてきた。最も新しいのは7300年前に噴火した鹿児島県南方沖の鬼界(きかい)カルデラで、このときは南九州の縄文人が死滅し、生態系の回復に千年近くかかったとされる。
 東大地震研究所の前野深(ふかし)助教(火山地質学)によると、噴火を繰り返す可能性が高く、リスクが大きいカルデラは九州の阿蘇、姶良(あいら)、阿多(あた)、鬼界、北海道の洞爺(とうや)、支笏(しこつ)、屈斜路(くっしゃろ)などだ。
 ただ、噴火の周期などは未解明で予測は困難。前野助教は「観測で何らかの前兆現象を捉えたとしても、カルデラ噴火に発展するかを的確に判断するのは現状では非常に難しい」と指摘する。
 火砕流は一般に半径100キロの広範囲に及ぶため、噴火後では助からない。実用的な予測が実現しない限り、周辺住民の全域避難も現実的には難しい。内閣府の検討会は昨年5月、大規模噴火対策の提言をまとめたが、カルデラ噴火については具体策を先送りした。
 研究の停滞は九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の再稼働をめぐる議論でも表面化した。原子力規制委員会は今年7月、九州で巨大カルデラ噴火が発生する可能性は現時点で十分に小さいとする九電の見解を妥当としたが、火山学者からは「リスクの認識を誤っている」と疑問の声も出た。
 名古屋大の山岡耕春教授(地震・火山学)は「巨大噴火の予測研究は手付かずの状態。国は研究の充実を急ぐべきだ」と話す。


巨大噴火100年以内に1% 「最悪なら日本の総人口分死亡」- 産経ニュース(2014年10月23日07時59分)


 ■神戸大教授ら試算

 日本に壊滅的な被害をもたらす「巨大カルデラ噴火」と呼ばれる火山噴火が100年以内に1%の確率で発生するとの予測を神戸大の巽(たつみ)好幸教授(マグマ学)らがまとめ、22日に発表した。現時点で差し迫っている状況ではないが、最悪の場合は日本の総人口にほぼ匹敵する約1億2000万人が死亡すると試算し、観測や研究の強化を求めた。
 巨大カルデラ噴火は最大規模の破局的な噴火。火山灰などの噴出物は東京ドーム約8000杯分に相当する100億立方メートル以上で、通常の大規模噴火の数倍から100倍以上に当たる。噴火後、直径2キロ以上の巨大なくぼ地(カルデラ)を形成するのが特徴だ。
 日本では過去12万年間に阿蘇(熊本県)、十和田(青森・秋田県)などで13回発生。これらの規模と頻度を統計学的に解析し今後の発生確率を算出した。
 巽教授によると、巨大カルデラ噴火の発生確率を統計学的な手法で算出したのは初めて。100年以内に1%の確率は首都直下地震などと比べるとはるかに低いが、「いつ起きても不思議ではないと認識すべき数値」としている。次にどこで発生するかは特定できないという。
 被害は九州中部で起きるケースが最悪で、2万8000年前に九州南部で発生した「姶良(あいら)カルデラ噴火」の火砕流や火山灰の到達域を基に算出した。その結果、2時間以内に火砕流で九州の700万人が死亡。本州のほぼ全域で、偏西風で運ばれた火山灰が厚さ10センチ以上積もり、その重みによる家屋倒壊やライフラインの途絶などで壊滅するとした。
 巽教授は日本が消滅しかねない重大な脅威だとして、「地下のマグマの状態を正確にとらえる技術を向上させ、発生メカニズムの解明を急ぐ必要がある」と訴えている。


引用終わり。

前の週プレの記事と違って、今回は内容にケチつける所がないので、これで終了でも良いんですけどね。少しだけ追記させていただきたいと思います。

巨大カルデラ噴火、破局噴火とも言いますが、これが起きる頻度は、研究者により異なりますが、おおよそ7千~1万年に1度の割合で起きるといわれています。

主な噴火例を挙げると、

・鬼界カルデラ(鹿児島県。約7300年前)
・十和田カルデラ(青森県・秋田県。5万5000年前、2万5000年前、1万3000年前)
・姶良カルデラ(鹿児島県。約2万6千~9千年前)
・箱根カルデラ(神奈川県。約5万2千年前)
・阿蘇カルデラ(熊本県。約9万年前)

が有名です。

十和田カルデラは西暦915(延喜15)年にも噴火を起こしています。発生した火砕流(毛馬内火砕流)は20キロ四方を焼き払い、日本で起きた有史上最大規模の噴火でした(この時の噴火と二次災害を元に、八郎太郎三湖伝説が誕生したと言われています)

破局噴火のリスクは日本だけではありません。海外に目を向ければ、インドネシアのトバ火山が約7万~7万5千年前に起こした破局噴火(トバ・カタストロフと呼ばれています)は、地球を6千年にわたって氷河期に追いやり、人類は絶滅寸前にまで追いやられています(1万人程度まで激減したと言われています。激減したものの生き残れた人類とネアンデルタール人(旧人)はまだましで、原人種はこの時絶滅しました。ちなみに人類が衣服を着るようになったのは、トバ山噴火後、寒冷化した環境に対応するためと考えられています)

こう見ていくと、巨大カルデラ噴火は発生すれば、日本どころか世界の滅亡を招きかねないものなのですが(現在トバ火山並の噴火を引き起こしそうなのは、アメリカにあるイエローストーンで、1年1センチ程度マグマで隆起しています)、記事にもあるように研究は進んでいません。

内閣府の検討会で、具体策の検討が先送りされていることを、避難する人がいるかも知れませんが、これは見て見ぬふりをしていると言うよりは、想定することが多すぎて手がつけられない状態と言った方が正しいように思います。予算には限りがありますから、毎年起きる災害の予測や対策と、100年に一度起きるかどうかわからない巨大災害への対応では、どうしても毎年起きる災害の方を優先させざるを得ません。極端な例えですが、「巨大カルデラ火山噴火のために予算を全て使ったので、来年は台風の予測は出来ません」とは言えません。研究は少しずつでも進めていく必要はありますが、この辺の兼ね合いは非常に難しいのです。

来るべき日がいつになるかわかりませんが(断定は出来ませんが、多分今生きている人たちが死ぬまで遭遇しない確率の方が高いと思います)、まぁ、考えすぎて気に病んでも仕方ありませんから、肩に力を入れず、日々頑張っていきましょう。

それではまた。






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Last updated  2015.03.03 21:19:00
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