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カテゴリ:火山・地震情報の見方
2月6日10時25分頃に、徳島県南部を震源とする地震がおきました。 マグニチュードは5.0で、最大震度は5強でした。津波の発生もなく、人的被害なども出なかったようで、その点は一安心ですね。 そんな感じで、淡々と見ていたのですが、ふとこんな記事に目がとまりました。
徳島震度5強、巨大地震の前触れか 過去の南海トラフ地震は直下型の後に…- 夕刊フジ(2015年2月7日17時12分)
列島に緊急地震速報の不気味な音が響き渡った。6日午前10時25分ごろ、四国東南部で地震が発生。気象庁によると、震源地は徳島県南部で、震源の深さは約10キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・0と推定される。徳島県牟岐町で震度5強、海陽町で5弱を観測したほか、三重県から山口県まで広い範囲が揺れた。 人的被害がなかったのは不幸中の幸いだが、震源がM9級とも目される南海トラフ巨大地震の震源域と重なる点が何とも不気味だ。 内閣府による被害想定では、東海沖から九州沖までの太平洋海底に延びるくぼみ(トラフ)付近で起きるとされ、最悪33万2000人の犠牲者が出ると予想されている。 夕刊フジで「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」(木曜)を連載する武蔵野学院大学の島村英紀・特任教授は、「気象庁は『関係がない』と明言していない。明らかになっているだけで、これまで南海トラフ巨大地震は13回起きたことが確認されている。いずれも、西日本で今回の地震のような直下型地震が何度か起きた後に発生している。この経緯からみても、今回の地震は巨大地震の明らかな先駆けだろう」と指摘する。 兆候はまだある。 2013年4月、四国に近い兵庫県淡路島付近でM6・3、最大震度6弱を観測した大陸プレート内での直下型地震が起きた。00年10月には、同じ西日本の鳥取県西部を震源とするM7・3、最大震度6強の直下型地震が発生した。 「この2つの直下型地震だけでなく、見方によっては、多くの犠牲者を出した1995年の阪神・淡路大震災(M7・3)も次にくる巨大地震の先駆けとも捉えられる。11年3月の東日本大震災(M9・0)から、日本の地下は劇的に動いた。4年たって地下のひずみが震災前の状態に戻り、東日本でも大地震の発生リスクが高まっているという研究も出ている。日本列島全体が不安定な状態にあるのは間違いない」(島村氏) 油断は禁物だ。
読んだ感想ですが、唸ってしまいました。 私は地震に関してはあまり詳しくないので(まぁ、ぶっちゃけ火山も素人ですけどね・・・)、キッパリと断言出来ませんが、今回の地震は違うだろ、という気がするなぁが正直な感想です。 今回の地震は、典型的な内陸の活断層地震です(震源の深さは約10km)。 確かに南海トラフ巨大地震発生の50年ぐらい前から、内陸地震が増加する傾向があると言われれています。 そう言うニュアンスで言えば、「先駆け」と言えるかも知れませんが、すぐ南海トラフ巨大地震起きる、その先駆けと言う意味での地震とは考えられないよう感じています。 参考までに、徳島県南部付近の活断層が原因と思われる中規模以上の地震と、南海トラフ地震の発生年月をみてみましょう。 まず前回は、昭和30(1955)年7月27日にマグニチュード6.4の、今回より規模の大きい地震が起きています(この時死者は1名出ています)。 この地震は、南海トラフ地震のひとつである昭和南海地震(昭和21(1946)年12月21日、M8.0)の発生から、約9年後に起きていますので、先駆けにはなっていませんし、余震であったとも言い難い感じです。 その前は、1789(寛政元)年にマグニチュード7.0(±0.1)の地震が起きていますが(詳しい震源地は不明です)、この地震は南海トラフの宝永地震(1707(宝永4年)年。南海トラフの東海・東南海・南海の三連動型地震。マグニチュードは8.4~8.6位)と、安政地震(1954(安政元)年。12月23日に東海・東南海地震、翌24日に南海地震がおきました。マグニチュードは共に8.4です)のどちらからも日付は離れており、先駆けにも余震にもなってい無いようです。 それ以前の地震は、データが不足しているのでハッキリとは言えません。もしかしたら南海トラフ巨大地震の前に、先駆け的に地震が起きていた可能性はあるかも知れませんが、それを「巨大地震の前触れか?」と言うのは、無理がある気がします。 この記事に出てくる島村教授は、普段「地震or噴火を予測した!」と称する某名誉教授たち(複数いらっしゃいます。みな専門は地震学や火山学とは無縁な方です)とは異なり、地震学の教授で専門家なんですが、時折過激な発言をされていますね(それが正しいか間違っているかは、私には判断できません。もしくは記事の伝え方の方に問題があるのかもしれません)。 記事を鵜呑みにすると、明日にでも来るかも知れないというニュアンスに受け取れてしまいますが、個人的にはそれは心配ないと思っています。 次の南海トラフ地震は周期的に、2030~2040年代に起きる可能性が高いと言われています。 最近少し大きな規模の地震が起きるたびに、「あまり地震が起きてなかった地域なのに・・・」→「南海トラフ巨大地震の前兆では」というという感じで騒がれることが多いですが、「あまり地震が起きてなかった地域なのに・・・」は、たいていは思い過ごしか勘違いです。 今回の徳島県南部で言えば、近年は大きな地震はありませんが、小規模・中規模な地震は、それなりに発生している地域です。 人間(特に地震にあまり関心がない人の場合)、大きな被害など実害がないと、地震が起きたことを忘れてしまっているだけという場合が多くあります。 例えば富士五湖周辺は、「東日本震災後、急に地震が増えた」と、週刊誌や、自称地震を予知した方が主張していますが、実際には震災前にも時折地震が起きています。しかし大きな被害が出ていないこともあってか、自称地震を予知した方などは、「山梨県忍野村では、東日本大地震までの10年間、震度1以上の有感地震は一度も起きていなかった」等という誤った説を主張したりしています。 とまぁ、その話は関係ないので置きます。 地震大国・火山大国である日本は、大地震や大規模火山災害のリスクは、常に隣り合わせです。 明日大災害がおきる可能性は常にあるわけですが、確実に予測できる方法は無い以上、考えたところでどうにもならないことは、気にしたところでしょうがありません。 最悪な状況を常に意識することは、危機管理的には悪いことではありませんが、意識しすぎて不安になったり、眠れなくなるようなら、考えない方がいいです。それでは地震や噴火の前に体をこわしてしまいます。 ましてや、地震や噴火のたびに、毎回のように煽り記事を書く新聞や週刊誌など、気にするだけ労力の無駄です。 大災害にいつ遭遇しても対応できる心構えと共に、煽り記事に惑わされない心構えも必要です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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