爆発的な噴火から約1日経ちました。
現在の阿蘇山の状況から見てみたいと思います。
気象庁の正式発表はまだですが、報道では今回の噴火は水蒸気爆発だったとの見解が出ています。
もしそうなら、今回の噴火で内圧が減少したと思われますので、すぐに規模の大きな噴火の起こる可能性は小さいと思われます。
この考えが正しいかどうかですが、気象庁が8日20時に発表しました「阿蘇山の火山活動解説資料」の、火山性微動の振幅データをあげてみます。
これをみると、7日になってから火山性微動の震幅幅が強くなり、小規模噴火後、さらに振幅が急上昇して8日の爆発的噴火に至り、その後急速に落ち着いている様が確認できます。
この感じからすると、本当は7日の小噴火で終わる程度の勢いしかなかったものが、噴火の際に火口が塞がってしまい、さながら目張りをしたヤカンをガスコンロで火をかけたかのような状態になってしまい、その結果爆発的噴火を引き起こしたのかなと感じました。
だとすればその後急に火山性微動が低下したのも、8日の爆発的噴火で、大きな火口が出来たので、阿蘇山内部の内圧が高くなっていないのでは？ と推測しています。
ただし、落ち着いてきたとは言っても、平常時より高い振幅間隔が続いていますから、このままおとなしくなるとは思えません。ただし近日中に昨日の規模を上回る噴火が起きる可能性は小さそうです。
火口の様子ですが、爆発的な噴火のあとは噴火は起きていません。一日噴火の名残の噴煙をはき続けていた感じてす。
ブログであげましたライブカメラで時々見ていましたが、上がっていた噴煙は、水蒸気が中心で、あまりマグマ成分は多くなさそうです。ただしこれは今日の昼間以降の話で、夜中の爆発的噴火時に放出された火山灰はかなりの量のようです。
阿蘇山の北東約6kmにある阿蘇警察署の付近では、約3センチ火山灰が積もっている事が確認され、阿蘇市など4市町村2万9千戸で一時停電が発生したようです。これは火山灰の重みで電線が切れて落ちたり、ブレーカーが火山灰でショートした事が主原因と思われます。
また降灰は折からの風に乗って北東方向に広がっています。熊本県北東部から大分県のみならず、愛媛県、香川県でも観測されています。ただ同規模の噴火が発生しなければ、これ以上降灰エリアが拡大することはないでしょう(ただし阿蘇山北東部などでは、今後も降灰注意です)。
さて36年ぶりと言われる爆発的噴火が起きましたが、今回の噴火で地殻変動の変化は観測されておらず、阿蘇山のマグマ溜まりの大きな変化はないようです。
従って、今回の噴火でカルデラ噴火・・・と言う事態になることは考えにくいでしょう。
今後の展開として考えられるのは、
・当面桜島のような(ここ最近はおとなしいですが・汗)、小規模な噴火が継続する。
・同じく水蒸気爆発で噴火が起きた御嶽山のように、噴火を伴わない火山活動(火山性地震や火山性微動、火山性害の放出など)を中心に継続する。
・桜島と御嶽山の中間位の活動が続く。
と言う感じでしょうか。
噴火についてはそんな感じですが、一点気がかりな点があります。九州は現在(10月9日1事半現在)強い雨が降っているようです。
火山灰は粗製セメントと同様の効果があり、大量の雨を含むと下の地盤を巻き込んで、土砂災害を起こすことがあります。今日明日中は、土砂災害に要注意です。
現地の皆様、くれぐれもご注意ください。また心よりお見舞い申し上げます。
それではまた。
