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カテゴリ:火山・地震情報の見方
さて今年初めて(だったような気がします)の、地震・火山予測商法をボコらせていただきます。 今回の記事です。
2017年4月の火山活動状況富士山・箱根“危険な予兆” 小笠原・伊豆諸島の噴火・警報に専門家「同じ東日本火山帯の列に」 夕刊フジ / 2017年5月6日 17時12分 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170506-00000011-ykf-soci
これは何かの前兆なのか。2015年11月を最後に噴火が途絶えていた小笠原諸島の西之島で再び噴煙が立ち上り始めた。3月には、その北方にある伊豆諸島の海底火山でも噴火が発生する恐れがあるとして、周辺海域に警報が発令されたばかり。専門家は「これらの火山帯は箱根や富士山までつながっている。今後、何が起きるか分からない」と話している。
西之島周辺の海底で13年11月に噴火が確認され、活発な火山活動が続いた末に新しい陸地が誕生したことで、島の面積は噴火前の約12倍にまで拡大した。15年11月からは静かな状態に入っていたが、先月20日に再び噴火しているのが発見された。気象庁は火口から約1・5キロ以内では大きな噴石が飛んでくる恐れがあるとして、噴火警報を発令した。
3月24日には、東京の南約400キロにある伊豆諸島のベヨネース列岩の「明神礁」付近で、火山活動が原因とみられる海面の変色が発見された。噴火警報が発令され、いまも継続している。噴火しても、青ケ島など有人島への影響が出る可能性は低いというが、夕刊フジで「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」(木曜)を連載する島村英紀氏は「明神礁では、1952年に海底噴火が起き、近くを航行していた海上保安庁の船が被害を受けて乗員31人全員が亡くなっている」と指摘したうえで、こう続ける。
「西之島もベヨネース列岩も、そして本州の箱根や富士山も、東日本火山帯と呼ばれる列の上にある火山だ。この火山帯の地下100キロ付近にはマグマがたまっている。噴火して西之島のように陸地を形成することもあれば、明神礁のように再び海中に沈んでしまうこともある」
気になるのは、東京と西之島のちょうど中間地点のあたりにベヨネース列岩がある点だ。小笠原諸島で噴火が起き、伊豆諸島で噴火の兆しありとなると、今度はどこなのか。島村氏は「同じ火山帯でつながっている箱根や富士山でも同様の噴火が起こる可能性は否定できない」と警鐘を鳴らす。
遠い南の洋上のことといって、楽観視はできない。
抜粋終わり。 私の感想は、だからどうしたです。 ぶっちゃけ、火山なんだから、噴火して当たり前でしょとしか思いません。 細かく見てみましょう。
>これは何かの前兆なのか。2015年11月を最後に噴火が途絶えていた小笠原諸島の西之島で再び噴煙が立ち上り始めた。3月には、その北方にある伊豆諸島の海底火山でも噴火が発生する恐れがあるとして、周辺海域に警報が発令されたばかり。 何かの前兆って、ごく普通の噴火活動ですけど。2015年以降の文章については、はいそうですね。
>専門家は「これらの火山帯は箱根や富士山までつながっている。今後、何が起きるか分からない」と話している。 なんで? 火山帯が繋がっているのは事実です。しかし西之島の噴火再開で、なぜ「箱根や富士山までつながっている。今後、何が起きるか分からない」とまで飛躍できるのか意味不明です。 前にもブログで書いたことがありますが、小笠原諸島は火山活動が日本で一番大きな地域です。 第二次世界大戦の激戦地として有名な硫黄島も、戦後70年で大きいところは1m以上、小さいところでも40cm程度隆起しています。そのため海岸近くで撃沈された米軍の上陸用舟艇が、今は海岸で朽ち果てている等という光景も見られるそうです。 西之島のような分かりやすい噴火活動ではありませんが、激しい火山活動が続いていることの表れです。 でもそれに富士山や箱根山がリンクしている兆しは、一度も観測されたことはありません。さらにいうならば、西之島の噴火で富士山などに不審な動きが出たこともありません(箱根山は噴火しましたが、かろうじて噴火だったといえる程度の規模の噴火で、リンクしているなどと言えるものではないでしょう)。
>西之島周辺の海底で13年11月に噴火が確認され、活発な火山活動が続いた末に新しい陸地が誕生したことで、島の面積は噴火前の約12倍にまで拡大した。15年11月からは静かな状態に入っていたが、先月20日に再び噴火しているのが発見された。気象庁は火口から約1・5キロ以内では大きな噴石が飛んでくる恐れがあるとして、噴火警報を発令した。 気象庁の発表の通りですね。
>3月24日には、東京の南約400キロにある伊豆諸島のベヨネース列岩の「明神礁」付近で、火山活動が原因とみられる海面の変色が発見された。噴火警報が発令され、いまも継続している。噴火しても、青ケ島など有人島への影響が出る可能性は低いというが、夕刊フジで「警戒せよ! 生死を分ける地震の基礎知識」(木曜)を連載する島村英紀氏は「明神礁では、1952年に海底噴火が起き、近くを航行していた海上保安庁の船が被害を受けて乗員31人全員が亡くなっている」と指摘したうえで、こう続ける。 ベヨネース列岩で火山活動が観測されたのは、今回が初めてではありません。完全に火山活動が観測されたのは昭和63(1988)年が最後ですが、海面の変色という話は、それこそ数年に一度は発生しています。はっきり言って珍しくも何でもありません。 明神礁の事件も、度々この手の記事で引用されていますが、そう言うこともあったという過去の話です。
>「西之島もベヨネース列岩も、そして本州の箱根や富士山も、東日本火山帯と呼ばれる列の上にある火山だ。この火山帯の地下100キロ付近にはマグマがたまっている。噴火して西之島のように陸地を形成することもあれば、明神礁のように再び海中に沈んでしまうこともある」 うん、そうですね。
>気になるのは、東京と西之島のちょうど中間地点のあたりにベヨネース列岩がある点だ。小笠原諸島で噴火が起き、伊豆諸島で噴火の兆しありとなると、今度はどこなのか。島村氏は「同じ火山帯でつながっている箱根や富士山でも同様の噴火が起こる可能性は否定できない」と警鐘を鳴らす。 だからなんで? 先刻も書きましたが、ベヨネース列岩の火山活動が活発なのは、今始まったことではありません。西之島も一年半の休眠を経てまた火山活動が再開した。まだ噴火活動が活発なんだなと素直に解釈できるでしょう。 しかしそれがなぜ、「箱根山や富士山の噴火の可能性が否定できない」と、一気にウルトラジャンプするのか、全く理解できないのです。 同じ火山帯の上にある。はい、その通りです。 しかし富士山とベヨネース列岩の距離は400km位、西之島はさらに600km位離れています。それほどの距離をものとせず、富士山や箱根山の火山活動に影響を与えるほどの噴火活動が、今現実に起きているのか? またそれを示すデータや根拠は果たしあるのか? と風に少し落ち着いて考えてみれば、実はなんの根拠もないただの煽り記事だと、気がつきます。
私はこの手の記事を見ていつも思います。「可能性がある」「可能性は否定できない」、実に都合の良い言葉です。 だって火山ですから、今日までなんの兆候がなかったとしても、明日大噴火を引き起こす可能性ありますし否定できませんよね? 何せ火山とは噴火するものなんですから。 具体的な根拠もなく、ただ憶測だけの「可能性」をまき散らす。そんなものは科学でも何でもないのです。 それではまた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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