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カテゴリ:火山・地震情報の見方
草津白根山の噴火から始まり、蔵王山の火口周辺規制、浅間山の火山性微動の増加と、最近火山関係のニュースが盛んです。 まぁ、これって一言で言えば、いかに火山に対する関心が低かったかの裏返しなんですよね。だから目の前のニュースを見て、突然起きた出来事みたいに大騒ぎしているという感じかな。 もちろん。蔵王山も浅間山も注意しなければいけませんが、これも従来通りの火山活動の結果です。今回は噴火まで至るか、それともこのまま終了となるかはわかりませんが、流行りものみたいに今は大騒ぎして飛びついて、数か月後には知らん顔では、格好の煽り記事や予測商法のお客様にしかならないだろうなぁと、思ってしまいます。 さていつものように、煽り記事をボコる・・・と言いたいところですが、今回桁違いに数が多くね? ドン引きした私です。「雨後の竹の子」って、まさにこれですね。 なのでいつものように細かく見るのはやめました。タイトルとURLだけを書いて、簡潔にぶっ飛ばすことにしました。 ・・・まぁ、もしもこの記事について掘り下げてほしいとか、そういうお声がありましたら、改めて触れたいと思います。 本白根山が想定外の噴火 これが“要警戒”8つの活火山だ(日刊ゲンダイ) 富士山の宝永噴火のくだりのところで、まず目が点になりました。 ああ山腹からの噴火は、火山学に詳しくない人には衝撃的なことなんだと、妙に納得しました。 「2011年の東日本大震災以降、太平洋プレートと北米プレートの摩擦が強まり、このためプレートが溶けてマグマが生産され、関東から北海道にかけての火山が活発になっている。火山性の微動が起きていたり、マグマの熱から生じるガスや水蒸気で山全体が膨らんでいる火山は要注意です」 初っ端からかなり重症なコメントです(多汗)。 東日本大震災後、プレートの摩擦が強くなったデータは一度も観測されたこともなく、そのように判断出来る兆候が観測されたこともありません。 また東日本大震災で、関東・東北の山で隆起が見られたのは確かですが(富士山も1センチ位高くなりました)、活発化している証拠はありません。 「マグマの熱から生じるガスや水蒸気で山全体が膨らんでいる火山は要注意です」って、何言っているのこの人? この方の頭の中では、鉄パイプでも山に差し込むと、水蒸気が噴き出すとか、そんなふうに思っているんでしょうか(汗)。 草津白根山噴火 温泉キャンセルを風評被害と断じるのは早計(週プレ) と、風評被害を助長させている雑誌がほざいています。 週プレは数年前まで、「九州壊滅カウントダウン」とか、そんな軽薄な煽り記事書いていたのに、今は九州の方は静か目なせいか、少しも触れようとしない。煽るだけ煽った後は知らん顔。全部その場しのぎの適当な仕事ぶりだよね。 あ、でも阿蘇山なり霧島山なり噴火が起きたら、思いだしたように、「本誌が数年前から指摘しているように」なんて、煽り記事書くんでしょうねぇ。笑点の木久扇師匠の答えよりもわかりやすいですなぁ。 さて、ここでも上の先生が出てきています(苦笑)。 ちなみにこの先生、4年ぐらい前から、火山の噴火や大きめな地震があるたびに、「今回の災害は“序章”にすぎない」と言い続けています。 いつになったら序章から先に進むのかな。 スキー客も思わぬ被害に! 今後、噴火する可能性が高い12火山とは(週間女性) 「マグニチュード(M)8・5以上のプレート型地震は世界中で11回あり、発生後に火山が爆発していないのは3・11だけです。 地震の約半年後から約5年以内の数か月ごとに大噴火や小噴火が連発するケースが多く、1つの火山の噴火では終わりません。草津白根山は小規模な水蒸気噴火とみられますが、これは東日本で連発する噴火の始まりとみています」 この先生三度登場。 ちなみに4年前は、「「M9巨大地震から4年以内に大噴火」 過去の確率は6分の6」とか煽っていたなぁ(遠い目)。 そして実際に予測期限通りに災害が起きないと、いつの間にか5年以内とか、どんどん物差しが都合よく変わっていくんだよなぁ。 さて、巨大地震と火山噴火の関連性という話も、たびたびブログで触れていますが、巨大地震が火山噴火を誘発させているかは、事象の中身を慎重確認してみないといけません。火山はその火山特有の噴火サイクルがあるので、単純に結び付けられるものではないのです。 ぶっちゃけ、たまたま地震が起きたときに、火山噴火が起きているという場合も多々あるからです。 ちなみに1千年前の東日本大震災、貞観地震(869年)の際は、約2年後に鳥海山が噴火していますが、噴火規模自体はさほど大きくはなかったようです。そしてそれ以外の山では、噴火の記録はありません。 私からすれば、火山てのは、もともと噴火するものです。日本には100を超す火山があるんですから、どこかしらでいくつもの火山が同時期に噴火したとしても、何の不思議もない話です。 それを無視して、全部東日本大震災に結び付けて、活発化しているだなんだとこじつけるのは、実に短絡的だと思うんですけどね。第一、東日本大震災自体、長年のプレート運動と蓄積によって発生したものなのにね。 あとね、12も火山あげて、噴火する可能性がなんて、ばかばかしいと思いませんか? 日本の火山総数の1割弱を取り上げているんですから。そりゃ、どれか一つぐらい噴火してもおかしくないでしょう。 そんなのは科学的な考察でも何でもない、ただの確率を利用した遊びです。 次は富士山? 草津白根山噴火で気になる「危ない火山」を予測(AERA) 色々記事は書かれていますが、結論は一つ。どこの山がいつ噴火するか全くわからないということなんですね。 予測というのは、「いつ」「どこで」「どのぐらいの規模で」という3つがそろって初めて予測と言えるのです。中途半端なものに、たいそうな言葉を使うのは正直いただけません。 タイトルにある富士山を例にとりましょう。 富士山は宝永噴火から300年以上噴火しておらず、火山のマグマの動きを示す低周波地震も起きています。それらが噴火への長い要因の一つと言えるには言えますが、「近い将来」に噴火する兆候など、何一つ書かれていません。だって噴火を思わせるデータなど観測されていないのですから、当然ですよね。 全部噴火する「かも」と、「かも」の話を並べているだけです。 だいいちね、ここで出てくるK先生は、20年以上前から、「富士山は数年以内に噴火する」と、言い続けている方です。 そして自分の設定した期限が近くなると、どんどん後ろにスライドさせていきます(わかりやすく言えば、毎年「5年以内に」とか、言っている感じです。ぶっちゃけ10年後にも「5年以内に」とか言っているでしょうね)。 実際に噴火が起きる日まで、「〇年以内に噴火する」と言い続けるのでしょう。そんなものは予測でも何でもありません。 ・・・とまぁ、ほかにもネットを見ていてほかにも見かけたことがありますが、URLとか覚えていなかったのと、似たようなものをさらに並べてもしょうがないかと思いますので、今回はこの辺にしたいと思います。 ふぅ、おまいら、こういう煽り記事だけは、ほんと仕事早いよな。 追記 ここで上げられた記事を見てみると、記事で煽りネタを週刊誌や日刊紙に垂れ流している人物が、ほとんど同じ人物から発信されていると気が付くでしよう(他にも何人かいるのですが、今回他の方々はまだおとなしめです)。 昔、「デマに惑わされないために https://plaza.rakuten.co.jp/allmilitary72/diary/201610260001/」でも書きましたが、情報の裏取りと確認は重要です。煽りに騙されないよう、慌てず冷静に、考えて行きたいですね。
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