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カテゴリ:火山・地震情報の見方
>世界的に火山活動が活発化している。 これも今までブログで何度も触れている話ですが、世界的に火山活動が活発化している兆候なんて、一度も観測された事実はありません。 例えば今から100年ぐらい前とい言えば、1902年に西インド諸島にあるフランス領マルティニーク島のプレー火山で大規模な火山災害が発生し、2万8千人以上の犠牲者を出しています(拙ブログ 「忘れられていた火砕流の恐怖 プレー山 1902年」https://plaza.rakuten.co.jp/allmilitary72/diary/201107030000/ をご覧くださいませとコマーシャル)。 1883年にインドネシアのクラカタウ火山で起きた噴火は、3万6千人以上の死者をだし、放出された火山噴出物が約5年間、地球の気温を引き下げて、世界中で飢饉を引き起こしています。 大きな噴火だけを取り上げていますが、上の噴火の同時期にほかの火山(例えば桜島など)は、通常どうりの噴火活動が起きていました。 つまり「今」火山活動が活発化しているのではなく、「常に」火山活動は活発に起きているのです。 それが今だけ起きているように錯覚するのは、当時の災害時期に記事を書いた者が、誰も生まれておらず、災害が起きていることを認識できていない事からくる錯覚です(これは私も含みますが)。 あと、どこかしらの火山がいつも噴火していることや、災害が起きた歴史をまったく理解していない不勉強さゆえと、辛辣に言うことができるでしょう。 >「問題はどこまで行ったら危ないかという境目がわからないことです。富士山で言うと、たとえば地下15~20 kmのところで低周波地震が起きています。マグマの活動に何らかの関連はあるのですが、それがどこまで行ったら噴火が起こるのかという限界がわからない」 仰る通りです。 付け加えるなら、富士山で低周波地震が観測されているのは、1995年にデータベース化されて以来常にの事で、現在急速に低周波地震が増えたわけではありませんので、その辺は落ち着いて慌てないようにしてくださいね。 >近年、富士山の周辺では異変が多発している。2013年には河口湖の水が大幅に減って一時的に離れ小島まで歩いて行けるようになった。2011年の震災後には、富士宮市で地下水が異常に湧出して民家の床下浸水が起きるなどの騒ぎがあった。 これについては、拙ブログ「とあるニュースについて その1 https://plaza.rakuten.co.jp/allmilitary72/diary/201407080000/」「とあるニュースについて その2 https://plaza.rakuten.co.jp/allmilitary72/diary/201407080001/」 で解説したことがありますので、興味のある方はご覧いただければと思います。 まぁ結局のところ メディアの方々が、いかに、目先の事だけをもっともらしくあげつらって報道しているのか、ということに尽きそうな気がします。 あ、そうそう、この4年前の記事でも触れました「赤池」の話については、周期的に今年あたり出現するかもという話題が出ています。もし出るようなら見てみたいなぁと思っています。 >「『水噴火』とは、地下水を大量に含む地盤に地殻変動による圧力が加わり、地盤に亀裂が入って減圧が発生、水が発泡して噴き出ることを指します。地下水の大量湧出はこれが原因とも考えられ、火山活動の副次的な現象です。やがてマグマの上昇が加速し、本格的な火山活動が始まると推測しています」 この「水噴火」という言葉については、木村 そういえばこの先生の予測では、富士山は2014年±5年で富士山が噴火するということでしたね。 まぁ、毎回噴火予測時期が終わりに近づくと、しれっと後ろにずらし(私は25年前から「富士山は数年以内に噴火する」と雑誌で騒いでいる木村先生をよく存じています)、東日本大震災や御嶽山の噴火を、いつの間にか「予測していました」と差し替える方なので、遠からずそういうことになるんでしょうね。 >「富士山は噴火のデパートと言われていて、これまで様々なタイプの噴火をしています。江戸時代の宝永噴火では江戸まで2時間で火山灰が届きました。その前の864年から866年にかけて起きた貞観噴火では多量の溶岩を出しました。 この辺は仰る通りです。 >東京から富士山が見えるということは、間に遮るものがないということ ・・・は? >もし次の噴火が大規模な噴火だった場合、グアテマラのような200℃を優に超える火砕流が東京まで来る可能性もあります 今回の記事で一番絶句したのはこの部分でした。 富士山はマグマの性質上、大きな火砕流が発生しにくいものであることが、今までの噴火から分かっています。 文系の私には「〇の成分が多いと」のような解説は出来ないのですが、一応私の理解している範囲でいうと、マグマの粘着性が強いか弱いかが、大きな火砕流を引き起こすか引き起こさないかのバロメータになっています。 例えば、阿蘇山や霧島山、雲仙普賢岳などはマグマの粘着性が強く、噴出すると飴細工のような溶岩ドームが形成され、それが火砕流を引き起こしやすい傾向があります。対して富士山は、サラサラのマグマなので、火砕流は発生しても、せいぜい数百m程度しか飛ばす能力はありません(なんで富士山のマグマが、サラサラだということがわかるかですが、それはあの美しい姿に証拠が残されています。火口から噴出した溶岩が、火口から均等に流れて冷えた結果、きれいな円錐形の姿になりました。粘着性の強いマグマの場合、火口付近で固まったりいびつな形で広がる傾向があるので(参考例は北海道の昭和新山を見るとわかりやすいです)、あのようなきれいな姿になることは少ないのです)。 もちろん、長期間の火山活動の結果、マグマ成分が変わり、大きな火砕流を発生させる火山に、富士山が変貌する可能性はあります。 ただし前回の噴火から300年余りという短期間で、性質が変化する可能性は、極めて小さいと言えるでしょう。 したがって島村先生の指摘は、はっきり言って根拠が薄い、極めて非科学的な発想です。 以上の点から今回の記事も、しょうもない煽り記事で、一顧だにする価値もなしと私は考えます。 「大噴火のサイン」なんてものは一つも出ていませんでしたしね。 たぶん今回の煽り記事は、今日(7月1日)が、富士山の山開きなので、それを絡めたネタだったのでは? と思っています。 ふぅ、ばかばかしい話です。 皆様も煽り記事など気にせず、御心を乱されませんようにしてください。 日ごろから火山災害と地震について、心構えて準備を作り、正しい知識で正しく怖がる以上に、減災対策はありません。 そうありたいですね。 それではまた。
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